新帝国とテンペスタ
明日のワールドネイションの更新が怪しくなってしまいました
……バイトが急にばっくれたお陰で、急きょ代役で向かう事に。休みが潰れました(orz
別大陸にある新帝国。
順調に開拓が進んでいるようだが……。
『やはり人手が問題か』
「はい」
帝国の者達も当初に比べて大分慣れてきてくれたようで、こうして割と普通に会話出来るようになった。いや、当初は拝まれるわ、顔をあげないわで非常に面倒だった……どうも彼らからすれば皇帝への謁見を元に考えて、やっていたようなのだが。こちらからすれば話がしづらくて仕方がない。
「神竜様のお陰で開拓は進んでおりますが、順調に進めば進む程に人手が足りませぬ」
……その神竜というのもやめて欲しいのだが、そこら辺は諦めてもいる。
彼らの視点でみれば、ギリギリの所で助けに来てくれた救世主なのは事実だからな。
(それにその方が民にとっても受け入れやすいのだろうな)
竜というものが怖れられているのは理解している。
しかし、自分達を救ってくれた神の使いと認識する事で心を納得させているのだろう。なら、神竜呼ばわりぐらい我慢しよう。悪魔だのなんだの言われるよりはよほど良いしな……。
『とはいえ、さらうという訳にもいくまい』
「はい、それでなのですが……」
彼らの話というのは一部の者達を旧帝国に戻したいという事だった。
理由は単純、スカウトだ。
一部、故郷で死にたいという老人もいるみたいだが……彼らの計画としてはこうだ。
まず第一段階として、信頼出来る騎士らを送る。
騎士達というのは貴族階級でもある。騎士という階級自体は騎士爵という一番下の爵位ではあるが、実家はより大きな貴族家であったというケースは多い。例えば、伯爵家の三男坊が成人して家を出る際に騎士という立場を得るといったケースだ。
結果として、彼らは他家とも繋がりがある。
全ての貴族家が潰された訳ではなかろうから、そうした繋がりのあった家を通じて、難民などを募集する事は可能なのではないか、そういう話だ。
『ふむ、だが真面目な者ばかりではなかろう?』
犯罪組織などの流入も考えられる。
追われているから新たな地域へと逃げたい、そんな者だっているだろう。
そうすれば、治安の悪化も避けられまい。
「考えもしましたが、それでも人手不足は深刻なのです。それに……」
ふむ、なるほど。
この大陸ではそもそも襲える程、まだ人がいないと……。
犯罪組織にした所で、結託するような相手がまだろくにいない上、街と呼べるのが一つしかない、と……ああ、なるほど。
山賊をしようとした所で、今の所襲える可能性のある相手というのは周辺の農村に行く行商人が時たま出るレベル。その程度では数十人規模の盗賊団など成立しようもなく、それどころか数人でもやっていけるか怪しい。農業や林業を並行してやらねば食っていけないだろうと。
犯罪組織も貴族と結託するにしても、まだ旨味がろくに育ってない。
奪う者達というのは、奪えるだけの十分な物がない事にはやっていけない訳か……。
無論、悪い影響も与えるだろうが、そうしたリスクと現状を天秤にかけて、招く方を選んだ訳か。
『よかろう、そういう事なら連れて行ってやろう』
「ありがとうございます」
どこかほっとした様子だった。
なおこの時のテンペスタは知らない事だが、帝国の者達はテンペスタの存在も考慮に入れていた。
この地へと赴くにはテンペスタによって運ばれるしかない。
そうして、迎え入れた先で自分達が頭を下げていればどうだろうか……?
当然、彼らはこう思うだろう、『竜が治める大地』と。
さて、果たして竜王級の竜が治める地で下手に犯罪を犯す気になれるだろうか?……自分達なら絶対に出来ない。
それでもやろうとする者はいるかもしれないが、元の配下達であっても竜の怒りを被るのではと考えれば、反旗を翻す者も出てくるだろう。「竜の怒りを被るような真似をするお頭にはついていけない」、そう考える者が一人でも出れば、後はこちらで潰す事も出来る。
この地へとやって来た際に、一部を語る事なく、事実を語れば余計に効果があるだろう。
そう……。
『私達はあの神竜様によってこの地に導かれました。私達がこの大地で生きるにあたって、幾度も御力を貸して頂いたのです』
それだけで随分な抑止力になるはずだ。
昨今は数年おきに姿を見せるに留めているが、それで十分。気が緩みかけた頃に姿を見せてくれれば、それで十分、思い出してもらう事が出来る……。
もちろん、それに気づいた所でテンペスタが気にする事はなかっただろうけれど。
久方ぶりのテンペスタです




