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竜に生まれまして  作者: 雷帝
人竜戦争編
69/211

幕間:新宰相

最近、疲れが取れません

仕事帰る>寝る>仕事の日々……誰か疲れを取る術を(にんにくとかのサプリメントとかは既に使ってます)

 はい、私が宰相になって交渉に出向きます。

 いいですね?

 はい、決まり!!

 ……。

 はい、私は現宰相となった前宰相の息子です。

 今、私はボルシオン火山へと馬車で向かっています。無論、一人ではなく多数の馬車と護衛を引き連れてですが。


 先代宰相である父は帝国に全てを捧げた人ではない何かでした。

 後に私自身が政務に関わるようになってから悟った事ですが、父は崩壊しようとする帝国を必死に支え続けていたのでしょうね。そこには家族の情愛すら入り込む余裕がなかったのでしょう。その証拠にと言ってはなんですが私は三男です。

 長男である兄は教育係が父に媚びようとした事で失敗しました。

 まあ、教育係を擁護するならば彼は優れた教育人であろうとした結果、前の職場で失敗していたのですね。いえ、失敗というか彼は厳しく教育した結果、職を失った為に今度は甘くしすぎた。ほどほど、というのが苦手な人だったのでしょうね。その厳しさをこそ父が求めたものであったというのに。

 結果、傲慢に育った兄は他ならぬ父の手によって教育係共々、迷惑を被った領地の民衆の前で処刑されました。

 それを見て、母は心を病み、次兄は元々長兄に自分の立場を脅かす奴と虐められていた事と父の厳しさに震えあがり、継承権を放棄してしまいました。

 お陰で三男であった私が繰り上がった訳ですが、感激なんて微塵もありませんでしたね。

 なにせ、調子にのった長兄は処刑、教育係も同罪。それを知ってる私の教育係は厳しい事厳しい事。父は言うに及ばず、心を病んだ母は遠くへ療養という名の監禁。甘える相手なんてどこにもいませんでした。

 ただ、実際に帝国の政務に父の後継者候補として携わるようになってからその理由を悟らざるをえませんでしたが……。

 バカな三代前の皇帝のせいで、帝国の財政は火の車。

 統制が緩み、各地の貴族は好き勝手している。

 このままでは愛する祖国が他国に食い散らかされてしまう。

 そんな思いから必死に働いて、最期は狂ってしまったんでしょうね。


 そんな父が殺され、次の皇帝も暗殺。

 表向きはぼかされてますが、父が遺した情報網からの話を元にすれば暗殺なのは間違いありません。

 帝国の貴族達による権力争いは最早止まりようがありませんでした。次の皇帝が名ばかり皇帝の道を選んだのは賢明だったでしょう。権力を求めれば間違いなく今の皇帝も暗殺されていたでしょうからね。将来的には皇帝の権威を取り戻すべく動かねばいけないでしょうが、それが出来るのか。

 正直、権限の委譲が終わる前に父が暗殺された事で私は半分諦めていました。

 そんな折のあの竜達による襲撃、いえ報復騒動です。

 あの時、帝都への攻撃を防いだ、一際圧倒的な存在感を放つ竜は幾つかの事を宣告しました。言い回しは多少もったいぶっていましたが、要約すれば。


 『あと三ヶ月だけ待ってやる』

 『きちんと権限と地位持った奴が謝罪に来い。単なる下っ端が来たなら今度こそどこに逃げようが消し飛ばす』

 

 この二点に尽きます。

 三ヶ月というのは長いようですが、謝罪の品を積んだ馬車で移動する事や、準備も考えれば話し合いに使える時間は一月程度でしょう。

 しかも、それはギリギリまで時間を使った場合で遅刻したらどうなるかを考えれば、そんなに時間的余裕はありません。

 ……まあ、まず間違いなく時間を宣言する事で長々と会議で時間を潰される可能性を消したんでしょうね。

 更に。


 『帝国の貴族達が竜に喧嘩売って来たから買ったぞ。貴族達が謝らないならまだまだ喧嘩続いてると判断するからな』


 という意味合いの事を帝国全土に放送してくれました。

 ええ、帝都だけじゃなく帝国全土に対してあの竜は一瞬で声を届かせていたんです。お陰で、各地の領主なんかからの半ば以上パニックになった連絡が翌日以降次々と殺到する事に……。

 お陰で、他の貴族達も焦りを隠せなくなりましたね。私が宰相になる事に拒絶を示す者もがくっと減りました。


 『え?私がなるのに反対?なら、あなたが宰相になって竜達と話をしてきてくれるんですね?では、それで決定という事で』

 『そ、そういう訳ではない!!』

 『ではどういう事です?どなたが竜達の所に行ってきてくれるんです?』

 『…………』


 責任ある立場の奴が来い、と宣言してくれて助かりましたね。

 宰相じゃなくても、なんて言う奴も初期はいましたが、「じゃあ責任ある立場ってどういう相手ですか?」「竜達が納得しなかったら責任取ってくれるんですよね?」「きちんと反対者は名簿にして竜に示した方がいいでしょう。他の人が巻き添えになっても困りますし」なんて言われたら慌てて撤回してくれましたよ。

 他の人が巻き添え云々を口にした時点で、周囲の空気が瞬時に当人を切り捨てる方向に、名簿作成に賛同する空気に変わったのに気づいたんでしょうねえ。

 

 「さて、どこまであの竜は理解してあの発言をしていたのか」

 「?宰相閣下、なにか」

 「何でもありませんよ。独り言です」

 

 現在は改めてボルシオン火山に向かっています。

 どういう話になるんでしょうね。

 同行している面々は決死の覚悟ですが、私自身は今から楽しみです。

 ええ、同行してる者達はいずれも帝国を救う為にと死を覚悟しての志願ですが、私はそうはならないと思っているのですよね。

 願わくば、これが帝国を変える一手とならん事を。 

本日は鍼灸院

鍼灸に行くようになってはや四ヶ月か……早いなあ

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