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竜に生まれまして  作者: 雷帝
人竜戦争編
53/211

竜王戦その2

体がだるい

暑くて夏バテ気味です

いやまあ、最近太り気味なので、ダイエットのつもりであれば……?

 激戦、ではなかった。

 滅竜教団は確かに事前に準備を十分に整えた。

 前回の子爵様が率いて、戦闘に及んだのは四機の機竜。今回、滅竜教団は実に二十四機の機竜を揃え、更に砲撃にも別個戦力を用意していた。我が王国の機竜戦力の半数にも匹敵する巨大な戦力だ。これだけの戦力を揃える事が出来た滅竜教団はやはり竜討伐の専門家であり、同時に王国と繋がっていたという事だろう。

 いや、一部王国でも用いていない技術も使われているという事を考えると、他にも繋がっている所があるやもしれん。


 「それでもこれであるか……」

 「はっ……」


 奇襲、いや竜王の寛大さ、或いは悠長さ、やさしさといったものに付け込んだ初撃は大地を貫き、竜王に怪我を負わせた。

 それは地中から飛び出した竜王の体を見れば明らかだ。

 体には複数の大穴が開いている。惨い光景と言っていいだろう。

 間違いなく、人であれば致命傷。奇跡的に内臓などの致命的な個所を避けたとしても動けるような怪我ではないだろう。

 なのに、未だ竜王は平然と動き続けている。

 

 「血が流れておらんな」

 「そういえばそうですね」

 

 確かに肉は破損していても、血がまったく流れている様子がない……。どういう事だ?いや、よくよく見れば、僅かに液体が滲んではいる、か?

 

 「まあ、我らが考えていても仕方あるまいよ。別の場所で見た竜王らしき存在なども常識の外なのである」

 「確かに」


 半透明の何かだったか?

 空に浮かぶ、そんなものがふわふわと浮いていては、何をしてくるのかどうやって倒せばいいのかさっぱり分からんし、予想もつかん。

 とはいえ、今回のこれも大概だ。

 たった今も、機竜の一体が大型のランスに見える武器をドスリ!と突き刺し、直後そこが爆裂したがやはり動きは止まらない。まったく痛みを感じていないように向き直った巨大な竜王はその巨腕を振るい、掠りつつも必死に機竜は回避する。

 何せ、他の機竜が離脱援護の為に攻撃しても知らんぷりだ。

 たった今のランスによる攻撃にしても離れた場所から加速をつけての全力のランスチャージをかまして、やっと突き刺さっている。生半可な攻撃では今のように無視され、攻撃しても相手の肉体を破壊しているのにまったく関係なしとばかりに無視され、攻撃される。

 本当に生物なのか、こいつは!?

 うん?なんだ、奴が動きを止めて踏ん張って……?


 「嫌な予感がする。皆伏せるのである!!」

 

 ですね、私も嫌な予感がして伏せて、直後にそれが正解だった事が分かる。

 何と、竜王の体のあちらこちらについた傷から液体が噴出したのだ。

 ただ、ぴゅーと噴き出しただけならまだしも、その勢いは暴力そのもの。細身の一撃は機竜の一機を真っ二つに切り裂き、太目の一撃が直撃したまた別の機竜がひしゃげ、粉砕される。必死に回避してもやっと築き上げた陣形はガタガタに崩れてしまい……。

 

 「これは当初予定通りになりそうですね」

 「仕方ないのであるな……我輩達も準備しておかねばならんのである」


 ああ、本当に竜王なんて敵に回すものじゃない。




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 はは、はははははははははは!!!!

 これだ、これこそ竜王!!

 これが私が愛した竜だ!!

 ジェナス高司祭はまだ生きていた。

 死んでいれば既にもう一つの作戦は発動しているのだから、それは周囲も理解していた。

 もっとも、ジェナス高司祭が生きているのはほとんど奇跡のようなもので、周囲には壊れた砲が横倒しに何個も転がり、叩きつけられて死んだ者や単純に上空に吹き上げられ落ちて死んだ者など周囲に彼以外に生きている者は誰もいなかった。

 何とか作戦にしたがって、部下の機竜達は竜王の動きを制限しようとしているようだが。


 (長くはもちませんね)


 万全の状態とはいかないかもしれないが、仕方ない。

 現状でも十分と考えなければ。


 (しかしまあ、これだと上位竜をもっと優先して仕留めなければなりませんね。竜王とまともに戦うにはそれが必須でしょう)

 「作戦を早める。十の後開始するので各自備えよ」

 「「「「「「「高司祭様……」」」」」」」


 まあ、彼らは作戦の発動が何を意味するか分かっていますからね。多少なりとも心配してもらえるというのは良い気分です。 

 しかし、六機の隊長格の機竜が現在も全て尚健在なのは良き事です。

 

 「一機を先に離脱させなさい。竜王と戦うはまだ時期尚早、まずは上位竜や属性竜を相手にすべきと」

 「分かりました」


 指揮順位が私の次に位置する機竜隊の隊長が指示を出す声が聞こえ、それに従って一機が離脱していきます。

 ふう……。

 気力でもたせていましたが、もう限界に近いですね。

 服も流れ出した血で真っ赤に染まり、地面にも血溜まりが出来ています。両足も妙な方向に曲がっていますねえ、というより骨が皮膚を突き破る事なく、こんな曲がり方するんですね。

 ま、片腕は少なくとも無事、声も出せる。私自身の手で一撃を加える事が出来るのです、よしとしましょう。


 「四、三、二、一」


 ゼロ。

 その一言と共に起動させます。

 砲はただ砲撃のためだけにこの地に運んできた訳ではないんですよ。破壊される事など分かりきっていましたからね……。

 激しい閃光と爆発、炎の中ジェナス高司祭は僅かに笑みを浮かべたまま息絶えた。



次回にて一旦竜王戦そのものは終わりです

その後、この戦いの後の展開を書いて、再々来週は別作品を……

竜王もただやられたりはしませんので、そこはご安心を


暑さでつい冷たいものに手が伸びますが、それを飲んだり食べたりしてると今度はお腹を壊す

食欲が減るからどうしても簡単なものになりがち

皆さんもお気をつけて下さい

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