知るか知らざるや
お久しぶりです
再就職後の職場で四苦八苦しております……慣れねえ(orz
『お前達は理解しておらぬだろうが、この星の大気は不安定なのだ』
それこそ、常に空の竜王が調整の為に飛び続けねばならぬぐらいに。
そう言われて、一同は思わず顔を見合わせた。
『別に、我らだけならば気にするような事でもないのだが……真っ先に死ぬのはお前達、人であろうからな』
「「「「「…………」」」」」
反発心は湧かなかった。
というより普通に考えれば、世界的規模な大災害が発生した時、核兵器の直撃にも平然としている生命体と、ナイフ一本でも当たり所が悪ければ死ぬ生命とではどちらが先に死ぬかなど分かり切っている。
(そりゃまあ、竜王と比べたら絶対自分達が先に死ぬよな)
口にはしなかったが、人族全員の心が一致した瞬間だった。
他の竜王はともかく、心ぐらい読めるテンペスタに、人の心の機微というものを悟る事が出来るぐらいには人と共に生きてきたルナの兄妹はそれを察していたが、そこは口にする事なく話を続けた。
『お前達は知らぬ事とはいえ、人の世界を滅ぼしかけたのだ』
「「「「「………」」」」」
何とも微妙な表情を人族一同は浮かべた。
正直に言おう、その理由は我を含む他の竜王・龍王達も理解した。何せ、思わず、今回の一件で一番迷惑をこうむった空の竜王は海の龍王へと視線を向けたぐらいだが、海の龍王は知らんぷりをした。
海の龍王が怒って、一度人の文明を丸ごと洗い流したのはつい先日の事だ。
我こと竜神テンペスタが魂の保護と自然を操っての支援を行い、更に人の竜王と呼ばれるルナが祖霊達もこき使って残った人の世界側からの支援を行っていなければ、人の世界は悪ければ中央大陸の部族と、帝国のみが残るだけの世界となっているか、或いはまだまだ復興途上、食う物にも困る悲惨な状況になっていたはずだ。
それを考えれば、一度は死んだ人族達が何とも言えない顔をしたのも、空の竜王が海の龍王に視線を向けたのも当然と言えるだろう。
「……その、よろしいでしょうか?」
『何かな?』
微妙な空気が漂う中、人族の一人が手を上げた。
「言い訳のつもりはございませんが、私共は此度の魔法はもっと影響が小さなものだと思っておりました。私共が魔法を使おうとしても大した力も出ず、だからこそ、今回の実験ならば精々が雲一つ生める程度のものだろうと……そう思っておりました」
まあ、そうだろうな。
こちらの沈黙を続けろ、という意味と取ったのかそ奴は話を続けた。
……他が委縮する中で、話をするとはなかなか肝が据わっている。
「ですが、僅かな時間ではございましたが、明らかに予想以上の魔法が発生しようとしておりました事は私共にも分かります。その原因が分からぬ事にはおそらく私共が止めてもいつか同じ事が起こると思いまする。なにとぞ……魔法が暴走した理由と、大気が……こう申してはなんですが私共の作った魔法発生の為の道具程度で危険な事になった理由についてお教え願いたいのです」
『ふむ……』
さて、と他の竜王龍王達へと視線を向ける。
……勝手に決めるのは簡単だが、我は今ではほとんど自身で決める事はない。
彼らが失敗した時の後始末やサポートは行っているが、決定は任せている。
原因は既に我の本体はこの世界の外に出てしまったからだ。あくまで世界の管理は、その世界の内で生きる住人が行うべきだと考えて、極力決断は自身が行わないようにしている。
(賛成)
ルナが先陣を切って、人には聞こえる声でそう述べた。
今を生きる竜王の中では最古参故にルナが一番に声を上げるのが半ば慣例と化している。
竜であっても慣例というものからは逃れられないのかと思うと少しおかしかった。
(賛成致します)
(同意致します。そうせねばまた馬鹿が生まれましょう)
(……賛成)
(賛成するよ)
続けて空、海、地、氷が次々と賛成を告げる。
『よかろう、ならば語るとしよう』
この瞬間に、いくつもの可能性が見えた。
完全に星を壊してしまう未来もある。
この星の本来あるべき姿へと戻ってしまう未来もある。
全てがうまくいく未来は決して可能性が高い訳ではなく、破滅の可能性は決して小さくはない。
それでも……。
『それを選択するのは彼らである』
我ら世界の理の外から来た竜ではなく。
久々の投稿でございます
再就職先は決して悪い場所ではないんですが、何をしていいのかがまったく分かりませんからね
どうしても色々とメンタルに来る事が多いです。言われても?マークが頭上に浮きまくる事も……
それでも、仕事を果たす事を求められるんですよねえ……




