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竜に生まれまして  作者: 雷帝
人竜戦争編
207/211

暴走停止の裏側

お待たせしました

現在、再就職の為、色々駆け回ってる状況です

必要書類を揃え、引っ越しを伴うので行って、新しい家を契約し、出勤に車必須になりそうなので車の購入手続きをし……その他諸々

部屋も荷物で埋まりつつある状況……

引っ越しと仕事始め当初はしばらく更新その他停止すると思いますのでご了承下さい

 本来、この星は全てを吹き飛ばさんばかりの暴風吹き荒れる惑星だった。

 それを、この世界の住人にとっては神とも呼ぶべきレベルの存在の気紛れで抑え込み、更にその存在の後継者がそれを引き継いで、抑え続けてきた。

 かつては大嵐龍王、次いでテンペスタ、現在は空の竜王が。


 ……何が言いたいかというと、元々、この星の大気とはあらゆる生命の存在を許さないとばかりに荒れ狂っているのが当然であり、非常に不安定だという事だ。


 そこへ用いられた今回の魔法。

 技術者達が用いた魔法はいわゆる「雨乞い」の魔法だった。

 その本質は天候を操作し、雨雲、ひいてはその源となる大気の水分を凝縮し、一定空間内に雨を降らせるというもの。ただし、本来のそれは極めて効果が薄い。これは有効範囲を広げれば広げる程に求められる魔力は三乗で増えていき、莫大なものとなる為だ。

 つまり、基本の半径を倍にすれば実際には縦軸も加わる為に八倍の魔力を。

 五倍にすれば基本発動の百二十五倍もの魔力を必要とする。

 そして、この魔法の基本範囲は決して大きなものではなく、その狭い範囲では雨乞いをしても効果はなかなか出ない。だからこそ、現地の部族らも気にせず教えたとも言う。

 

 これを第一の誤算だとするならば、第二の誤算はAI達が魔法を使えたという事だろう。

 そして、最後。

 致命的な問題となった誤算は魔法に対する認識ではなく、AI達が魔法を使う際に電力を魔力に変換した事だろう。

 この世界の住人達は無意識の内に体にある生命エネルギーの余剰分を魔力に変換して用いている。この為、使いすぎると生命エネルギーそのものを消費して、最終的には死に至る。言っておくが、カロリーなどとは異なるので魔法を使っても痩せたりはしない。

 さて、この必要となるエネルギー。

 AI達は自らの生命源となる電力をこれに変換した。

 確かに、彼らにとって電力とは生命に繋がるものだが、これを無意識レベルで流用出来た事で、とんでもない事になった。

 当り前だが、人一人から儀式魔法を用いても精々十数人レベルの生命エネルギーと、実験用の専用大型核融合炉とでは根本的に出力が異なる。当然、有効範囲も威力も大幅に激増した。

 本来、不安定なものを強引に抑え込んできた大気はそれに伴い、暴走を開始……する前に現在の大気の担当者が慌てて抑え込んだ。


 『なんだこれはっ!!』


 空の竜王が常に空を飛び続けているのは別に大地が嫌いだからではない。

 大気というものが極めて不安定であり、管理に万全を期す必要があるからだ。

 これは現在の担当者である空の竜王が先の二体に比べて、力やその扱いのレベルという点で大きく劣るからだ……というか、前の二体の力が巨大すぎたとも言う。

 しかも、その二体をして最初期の大嵐龍王は長い永い年月を費やしながら、巨大な暴風圏をその周囲に常に巡らせている状況にあった。

 ……まあ、テンペスタが示したように、実際には抑えようと思えば抑えられたのだが、「ここまでやりゃいいだろ」と大嵐龍王が……思っていた可能性もある。もはや永遠に分かる事は……ない訳でもない。が、それが可能なテンペスタ自身が時間への干渉を行う気がない以上、やはりそれは永遠と変わらないのだろう。


 さて、話を戻すが、空の竜王は絶賛大混乱中だった。

 それまではきちんと管理出来ていた。

 それが急に空が荒れ狂う様相を呈し始めていたからだ。

 空の竜王はすぐに決断した。

 ……なお、こうした決断や会話は人であれば冗談抜きで一瞬の間に行われている。


 『竜神よ、お応え下さい!』


 新たに生まれた竜王や龍王はいずれもテンペスタの事をそう呼ぶ。


 『無理そうか?』

 『時間をかければ何とかなるかもしれませんが……』


 間違いなく、ロクな事にならない。

 テンペスタもそうだろうなあ、とは思っているのだが、ここには空の竜王とテンペスタの思惑の違いが根底にある。

 空の竜王は自身を「空の管理を神より任された」という認識があり、責任感が強い。

 だからこそ、自身の行動の結果、多少ならばともかく、大きな被害をもたらす結果となっては申し訳が立たないという意識がある。

 一方、テンペスタにしてみれば任せているのだからやってみればいいし、酷い事になりそうならそこは自分がカバーすればいい。どんどんやってみればいいという意識がある。

 早い話、「手を煩わせることが確定なら、被害が小さい内にお任せした方が面倒をかけずに済ませられる」と考えている側と、「こっちもこっそりサポートするんだし、多少の面倒は押し付けてくれればいいさ」と考えている側の違いだ。

 まあ、ここら辺はテンペスタは察しているし、口にしてもいるのだが、言ってもなかなか当人の意識が変わらないのが原因だったりする。

 もっとも、お偉いさんから「もっとどーんと構えて、損害が出たらこっちに押し付ければいい」と言われても、下の者からすれば「では!」と開き直れないのもまた事実なのだろうが。


 さて、そうなれば後は早い。

 テンペスタは即座にまずは強引に気象変化を抑え、そこから原因となる魔法の発動者を発見し、その発動を支えている電力を遮断した。ついでに魔法そのものも解除して無力化してしまう。


 『放置は出来んだろうなあ』


 今後も同じ事が繰り返されないとも限らない。

 故にテンペスタは他の竜王龍王達にも声をかけるのだった。

 ……現在、人が暴走開始したと認識し、暴走した魔法が発動した事態発生より5秒。

という訳で、裏側をお送りしました

引っ越しまでに、もう少し先まで投稿予定です

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― 新着の感想 ―
[一言] あー、そういえばそんな設定あったな・・・。というか、これ人間にとっては致命的な問題では? 主人公も危惧してるように今を何とかしてもこの手の技術は文明の発展あるいは軍事利用も含めて手を出すのは…
[一言] まったく!人間に好きにやらせておくとロクな事しませんね。
[一言] 『鎮圧まで僅か5秒』なのか『鎮圧まで5秒もかかってしまった』のか どっちなんだろう?
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