とある番組(前編)
竜もリハビリ開始
次回は月曜更新予定です
【竜というものについて】
さて、皆さん、本日は龍もしくは竜と呼ばれる存在達について語りたいと思います。本日のゲストはこちらの方々です。どうぞ」
「「よろしくお願いします」」
こちらこそよろしくお願いします。こちらが聖竜教のニコラス司教、お隣が帝国国立メイゼン記念大学で教鞭を取られているメイゼン教授です。確か、メイゼン教授は新帝国成立時の忠臣として名高いメイゼン伯爵のご子孫であるとか?」
「そうですね、初期の頃は色々と資料が紛失してしまったりしたので何代目かは不明になってしまいましたが、その通りです。その関係で代々竜の方に関して調べものをしてきました」
さて、そもそも私達は龍、もしくは竜という存在はどのような方なのか余りに知らないのではないか、そんな声から今回の番組作りは始まりました。
お二方は比較的竜という存在に対して近しいと言いますか、私達より詳しいと思うのですが、いかがでしょうか?ニコラス司教からお伺いしても?
「そうですな……正直に申し上げましょう。私達、聖竜教の聖職者も御方々の事に関してはあまり知らないのが実情なのです」
そうなのですか?
「私共にとって、御方々は崇める存在であって、調査の対象ではないのです。ただ、仕事柄、聖地など御方々に関しる地に関してはどうしても詳しくなりますが」
聖地ですか。
かの有名な癒しの泉などが代表ですね。
「そうですね。今も尚、強い癒しの力を持った水を与えて下さる泉です」
泉に関しては『もっと恩恵を与える人数を増やすべきだ』という声もあるようですが、いかがでしょうか?
「ははは、私共も『あいつらが自分達で使ってるんじゃないか』などという声があるのは知っております」
あ、いや、これは申し訳ない。
「いえいえ、お気になさらず。……結論からいうと難しいとしか言いようがありません。一口に泉と申しますが、実のところそこまで大きなものではないのです」
そうなのですか?
「今回、上の許可を得て写真をお持ちしました。こちらになります」
これは……思っていた以上に小さいですね。
傍に立つ方からすると岩の間から流れ出る清水と、泉は……ちょっと大きめのお風呂ぐらいでしょうか?
「そうですね。昔はもっと大きかったとも言われておりますし、残っている絵を信じるなら泉自体の大きさも今の十倍以上だったとされておりますが……何分にもこの地に御方々が降り立つ事はほとんどなくなってしまいました。それでも泉の力は昔と変わらないと言われておりますので、おそらくは地下水脈自体が枯渇しつつあるのではないかと言われております」
水の枯渇ですか。
「ええ、長い時間の間に周辺の開発が進み、聖地近辺にも都市が成立しました。こうした開発が地下の水源にダメージを与えてしまったのではないかと考えております。実際、周辺の開発が進んだ頃と、水量の減少が一致しております」
なんと!
現在は対策は?
「国とも相談しておりますが、難しい、というのが現実ですね。何しろ既に都市が成立しておりますので……まさか都市を今から更地にして元のようにするという訳にもいきませんし、周辺都市の地下開発を厳しく制限するような法案が成立しているのが救いですね」
なるほど……。
一人二人ならまだしも、千人万人単位では移住も難しいという訳ですか。
この水量となりますと、確かに人数制限をするしかなさそうですね。
「その通りです。清水を全部回収して、泉そのものが消滅した場合、どのような影響が出るかも分かりませんし、何とかこれ以上泉が小さくならないよう取水量を制限しますと余計に……」
確かに、要求に応じた結果、泉自体が駄目になってしまっては元も子もありませんね。
なるほど、得られる水の量自体がここまで限られてしまっていては水の奇跡を得られる人数も減ってしまいますね。
「そうです。加えて、なるべく我々も余裕のない方を優先しておりますので……」
なるほど、言い方は悪いですが、難病でも命の危険が目前に迫ってない方は後回しにせざるをえないという事ですか……。
そうなりますと、歩けず車椅子、といった方なども緊急性という点では低いと判断せざるをえなくなってしまいますね。
「そうですね。大金を積み上げたり、色々な伝手を通じて何とか、と頭を下げてこられる方もおられるのですが……」
なるほど、ありがとうございます。
お待たせしました。
では続けてメイゼン教授にお話しを伺いたいと思います。
多少は以前より周囲が落ち着いてきたので、書いていきたいと思ってます
……狙ってた通りの結果が出てるとは言い難い状況ではありますけどね(苦笑




