幕間:対海の龍王1
病院「粘膜も大丈夫だし、過労でしょう」
という訳で、コロナではありませんでしたが、体調崩してしばらく早めに寝てを繰り返してました
未だ体調は完全じゃないですが、仕事休めないのが原因でしょうねえ……
リハビリがてら少しずつ書いていきたいと思います
時間は少し遡る。
連合艦隊は整然とした陣形を組み、進むグループと、どこか雑然とした陣形のグループに別れて進んでいた。
そんな整然とした艦隊の一つで高圧的な態度で悪名高い政治士官の一人がどこか不安げな様子を隠せないでいた。もっとも、この政治士官は、この国では割とマシな部類できちんと現場の意見を聞いて判断してくれる融通を効かせてくれる類の政治士官だったが。
そういうまともな政治士官を艦隊司令部が密かに手配したとも言う。
「なあ、一つ良いだろうか?」
「……何でしょう?」
「……正直に答えて欲しいんだが……勝ち目は微量でもあるのかね?」
政治士官が悩んだ末、艦隊司令官に対して行った質問に艦橋が一瞬にして静まり返った。
もちろん、機器の作動音は響いているが、声はパタリと止んだ。誰もが司令官の言葉に耳を傾けていた。
「公然と聞くのはどうかと思ったんだが……覚悟ぐらいは決めさせてやるべきだろう?」
「……分かりました」
政治士官の言葉に司令官も覚悟を決めたのか深い溜息の後、言った。
「まず、ないでしょう」
「やはりか」
その返答に司令官らがおや?という顔になった。
「予想されていたのですかな?」
「……我が国のトップが急に代わったのは知っているだろう?」
「ええ」
さすがにそれは誰でも知っている。
「……その理由が、今回の龍王との対決にあると言われている」
「本当ですか!?」
ざわっと艦橋も騒めいた。
当然だろう、彼らの国のトップともなれば超エリート達が熾烈な権力闘争の果てに掴み取るもの。失脚すれば命を失う事すらある中、掴み取った権力の座をあっさり投げ捨てて、引退を宣言して行方を眩ませた理由がまさか、という訳だ。つまりそれは、彼らの国の先代トップが「我が国に勝ち目なし」と判断したという事をも意味している。
「どうも、な……これはここだけの話なんだが」
「は……」
「王国は核を直撃させてさえ、同格の竜王に傷の一つもつけられなかったという話がある」
「何ですと!?」
国外の情報となると色々と制限が加えられている。
特に核を用いて地の竜王に傷をつけられなかった、という話は軍事的要素に関わる事もあって、一時はどこからともなくアップされたものの、王国の圧力によって運営企業自体がそうした動画を上げた人物の登録自体を抹消、再登録は不可、という処理を行った事から何時しか表立っては見られなくなっていた。
当然、対立国だった彼らの国では余計にそうした情報は手に入りにくい。
この情報も政治士官である彼があちらこちらの伝手を使って、やっと手に入れた情報だった。
「映像の確保までは出来なかったが、かなり確度の高い筋から得た情報だと思ってくれて構わない」
「……そうですか、だとすると……」
同格の海の龍王相手に、自分達の持つ兵器で果たして太刀打ち出来るのか?
そんな思いが湧いていた。
(こちらの兵器は主兵装がミサイル。水中戦もあるという事で魚雷も増設されたが……)
核すら効かない相手に果たして意味があるのか?
「そんな装備で大丈夫か?」、と問われても到底「大丈夫だ、問題ない」とは言えそうにない。
しかし、だからといって今から装備を変えるなど出来ようはずもない。
「……他国との連携がもう少し取れればなあ」
「……先代だったら可能性あったんだがなあ」
どんよりと重い空気が漂う環境だった。
海の龍王との戦いを書いていきたいと思っています
結果自体はもう書いた通りな訳ですが、壊滅した連合艦隊はどのように奮闘したのか……




