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竜に生まれまして  作者: 雷帝
人竜戦争編
168/211

変わる世界10

 母竜との最後の別れは簡素だった。

 なぜか、母竜は死んだ訳じゃない。今もまだ生きている事は生きている。ただ、眠りについているかのような時間が長くなっているだけだ。何時かは死と変わらぬ文字通りの意味での永遠の眠りにつくのだろう、とは理解していても……。


 「まだ生きてて、今後も当面消える訳じゃないとなると実感湧かないわね」

 「母さんレベルだと同化して消えるまでにも長い長い時間かかるだろうしね……」


 ルナと氷竜王がそんな会話をしていた。

 そう、非常に長い時間がかかる。

 考えてみてくれ、ただ寝てるだけで今後百年は優に存在していて、もしかしたら偶に目が覚めて会話も出来るかもしれない相手。そんな相手と最期のお別れ、なんて言っても実感湧くだろうか?多分、人でも実感湧かないのではなかろうか?

 ただ、それを差し引いても我々竜にとっては別れ、というものに対する感覚が鈍いのは理解している。

 なにせ、我々は長い時を生きる分、別れも多数経験している。それにいちいち精神的に打撃を受けていてはきりがない。そうした意味合いでは精神的な構造そのものが異なるのだろう。


 「さて、物は相談なんだけど、次世代ってどうなってるの?」

 「「次世代?」」


 はて、何の事だ?

 氷竜王の話に首を傾げる。


 「時折、竜王のなり損ないが生まれるけど、どうするのか、って話なんだけど」

 「別に放置しておけばいいんじゃないの?」


 あっさり言い放ったのはルナだ。


 「いや、それをすると生態系が」

 「ルナの言う通りだな。多少乱れた所で、それもまたこの星の生態系というものだろう」


 む、何だか弟が頭を抱えている気がする。


 「そういう訳にもいかないんだろ……」

 「「何故いかん(けないの)」」


 疑問だ。

 多少生命が消し飛ぼうともそれが生態系の結果ならば受け入れるべきだろう。


 「……ルナ、いいのかい?美味しい食材が全滅するかもしれないよ?」

 「テンペスタ兄さん、なり損ないの対策に協力しましょう!!」


 ……妹よ……。

 いや、お前らしいのは認めるが……。


 「でも、竜王になる事自体がなくなるならともかく、そうでないなら何かの対策取らないといけないんだよ。人だけで対応したんじゃあ絶対悲惨な事になる」

 「人が対応したら……うーん、怪獣映画とかみたいな結果になりそうね」


 否定は出来んな、確かに。

 人の世界では戦艦と呼ばれる船が現在、新規に建造されている。

 最近では列車砲なんて代物も復活予定だそうだ。

 それもこれも全ては野良竜のせいだ。基本、竜王がある程度管理はしているのは事実だが、全部を管理している訳じゃない。で、俺はといえば基本、同族の管理なんぞしていない。俺の仕事はこの惑星そのものの管理であって、生命に関しては……本体が基本的な生命の枠から外れた時点で基本ノータッチだ。

 というか、俺にとっては竜も人も同じ生命だからな。下位だろうがなんだろうが、生活の為に暴れた結果、害獣として人が討伐しようとするのは理解するが、竜が人を襲ったとしてもそれが生活の為ならそれも仕方ないと思ってしまうんだよなあ……。

 で、そんな竜達に対抗する為に、人族は大型の砲を配備すべく奮闘中だ。

 実の所、原因の一つは大地の竜王のせいみたいだがな……あれで人族は「今回は理知的な竜王だったから良かったけど、話の通じない竜に襲われたらどうなるんだ?」と今更ながら不安になったらしい。


 「確かに遭難扱いになっている船舶の中には実際にそうなったものもあるし、人知れず島民が全滅した島だってあるからなあ……」

 「あるんだ……」


 そりゃあ、ある。

 というか、ない訳がない。

 うーむ、本当に考えないといかんのか……?

変わる世界

変わらないといけないのはさて、何でしょう?

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