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竜に生まれまして  作者: 雷帝
人竜戦争編
167/211

変わる世界ー昔語り3

 最初デキソコナイが感じたのは「滑った」という感覚だった。

 僅かに首を傾げ、逃さないようにとしっかりと掴もうとしたが、やはり掴めない。


 オカシイ


 デキソコナイには知性などほとんどないが、全くない訳でもない。

 そんな僅かな知性でそう感じるが、飢えからか更に触手を伸ばす。


 ぎゅりぎゅりりりりりりり

 パキリ


 触手同士が擦れる音に紛れて、僅かに異音が聞こえた。気のせいかとも思ったが。


 パキリ

 パキリ


 音は次第に連続してゆく。

 そうして次の瞬間、獲物を捕らえたはずの触手が一斉に凍り付いて、砕けた。


 ぎゅり?


 その中から出てきたものに疑念を感じる。

 見た目は完全に球体の氷。

 それが宙に浮かんでいる……。

 さては中に隠れたかと思い、触手を伸ばすが……。


 パキリ


 次の瞬間、伸ばした触手が凍り付き、砕け散った。

 それだけではない。次第次第に触手の動きが鈍りだす。


 ぎゅ?


 さすがに慌てて逃げ出そうにも自身の動きそのものが鈍っている事に気が付く。

 なぜだ?周囲はそんなに温度が下がっている訳じゃない。これぐらいなら問題なく動けるはず。

 なのに、動きはどんどん鈍っていく。

 訳が分からないまま、デキソコナイは次第に動きを鈍らせ、やがて永遠に動きを止めた。




 ――――――――――




 ……なんとか無事終わったか。

 ルナが言っていた、竜王になるとならないでは全然違うと。

 ……それを実感した。

 見た目こそ慌てていた事もあってこんなだが、こうなる前と後では見えるものが全く違う。

 ただ温度を下げる必要などない。奴を構成する物質の根源、それそのものを停止させればいい。

 あれは確かに一部竜王化してはいたものの、確かにデキソコナイとしか言いようがなかった事が今となっては分かる。本来、属性を蓄え、竜王となった場合、通常の物質世界には縛られない存在となる。だからこそ竜王は数百年から時には千年を超える年月を生き、核兵器などの人族の強力な兵器を受けても平然としている事が出来、最期は自然へと還っていく訳だが奴は物質世界に縛られたままだった。

 だからこそ、物質を構成する根源に干渉しただけで、こうもあっさり終了してしまう。

 しょせん物質に干渉しかしてないから、こちらへ攻撃してきても全然怖くもなんともない。本当に竜王化した時、竜王の本質は物質世界のそれではなくなるからだ。


 「まあ、変に本物だったら余計ややこしくなってただけだしな……」


 あっさり片付いたのだからよしとしよう。

 それにしても。


 「……せめて知恵ある奴たまには生まれてこないかな」


 母が還る日は着々と近づいている。

 そして、何時かは自分だってそうなるんだろう。そうなると……自分の次が心配だ。

 どいつもこいつも人の世界に目がくらんで世界の管理を放棄しやがって……。

 

 「いつかはこれも人の世界に押し付けないといけないのかなあ」


 そんな事をふと考えてしまった。

人の世界に押し付けたらどうなるのか?

まあ、間違いなく……怪獣映画みたいな事になるでしょうねえ

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