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竜に生まれまして  作者: 雷帝
人竜戦争編
156/211

変わる世界1

その頃、元の星ではえらい事に

 一つの物語は終わりを告げた。

 人の生はどんな英雄であっても大地のそれとは比べ物にならない程短く、大地もまた宇宙自体のそれと比べれば短い。テンペスタ本体にとってはほんの一瞬の話でしかないが、気持ち自体は長々と残る。それが台無しにされる事がなければ、だが。




 ――――――――――




 「落ち着け」

 「離せ、兄者!!奴らの元凶全員ぶっ殺してやる!!」


 気持ちは分からんでもないが……。

 はあ、と重い溜息をテンペスタ(分身)はついて、自らの妹である竜王ルナに視線を向ける。その妹は現在も絶賛、自身の抑え込んだ手から逃れようとガジガジと噛みついている。いやまあ、確かに属性戦では到底勝ち目がないというか、こちらがルナの攻撃を全部吸収して終わってしまうから肉弾戦というのは間違ってはいない。間違ってはいないのだが……それも無謀だと思うぞ。

 過ぎた年月というのはほぼ同じだ。

 だが、その年月を必然的に修行に使わざるをえなかった(そうしないと世界を安定して持ち運ぶ事も出来ない)テンペスタと違い、ルナはひたすら食材発見とその調理法、更に食材の安定供給に費やしてきた。ルナにとってはどんなに素晴らしい食材があってもそれを望んだ時に食べたいと思った者全員が楽しめるのが理想なのだそうだ。

 その為に、この妹竜王は色々やった。

 王国に協力した理由の一つもそれだったが、それではその国の範囲でしか影響がなく、世界の外に出て食材を探すには不向きだと理解し、王国を出た。

 

 最初は自分で世界中を回って食材探しをし、その過程で料理をしてきた訳だが、その内に気づいた、気づかざるをえなかった。

 人の欲というものの巨大さと、後先を考える能力の不足に。

 折角美味な食材を見つけたというのに、それが知られた途端に狩り尽くす勢いで減っていき、時には本当に絶滅して二度と手に入らなくなったものもあった。

 美味な食材のあった地が、そうと知られぬままに鉱山などの開発によって荒らされ、絶滅してしまったケースもあった。

 最初期はルナは怒り狂った。

 怒り狂って、船を沈め、荒らした者達を皆殺しにした。

 しかし、やがてそれにも限界があると悟り、保護を考えたが、そこで金が必要だと理解し、商会を立て、陰からそれを支配し、土地を買い占め、食材の安定供給を図り、絶対数の少ないものに対しては養殖も積極的に進めた。全ては自分が美味いと思ったものを今後も得る為に!

 今では保護活動にも熱心な世界最大級の食材を扱う商社、となっている。で、表向きルナはその商社の過半数の株を握る創業者一族の代表……となっている。実際はずっと生き続ける創業者当人な訳だが。

 世界各地に広大な私有地を持ち、莫大な金をつぎ込んで天然自然のままの環境を維持し続けている。正直に言おう。


 そこまでやるか、お前。


 巨大なメディア企業としての顔も持ち、干渉を目論んだ政治家や組織は徹底的に広報戦略、時にはルナ自身の物理的な力で叩き潰してきた。自社内部に「無駄な金」と呼んで削減しようとした者がいれば、敏腕剛腕と呼ばれて評価されていた表向きのトップであろうとも消してきた。

 ……お陰で、今では陰謀論の黒幕に上げられる事も多い上、実際に黒幕だったケースも十や二十ではないのがまた……。

 祖霊達も世界の裏側で色々と活動しているが、その最初の始まりとも言えたのがルナだった。知らずに彼女の会社に手を出した祖霊が怒ったルナに物理的にボコボコにされて、路地裏に転がされた事もある。そんな彼女が怒っているのは……。

 

 「あいつら!なんで希少な食材が眠る場所で限定核紛争なんかやらかしやがった!!」

 「ルナ、口調が崩れてるぞ……」


 地の竜王のおかげで核融合弾が切り札足りえない事は誰もが理解した。

 しかし、そうなると今度はとんでもない方向に思考を進めて、とんでもない発想をする奴もいたりする。そして、そんな奴が権力を握ってしまうとえらい事になる。


 『竜が浄化してくれるんなら、ちょっと核使っても大丈夫だよね!』

 『竜には全然効かないんだから、一言挨拶しとけば、ちょっと近くで使っちゃっても気にしないよね』


 馬鹿としか言いようがないが、本気でそんな事を考える奴がお偉いさんの立場についてしまった、つけてしまった事が不幸だったとしか言いようがない。結果として、核の使用が行われてしまった。そうして、どこかが一度使ってしまえば歯止めは一気に低下する。

 とはいえ、全面核戦争には至らなかった。

 さすがにそこまでやったら竜が怒るのではないか?と疑ったからだ。実際、そうなったら天罰とでも称して、加担する上層部全員処理するつもりだったから間違いではない。そこまでやらないと駄目な所まで行きかけていたとも言う。

 しかし、限定核戦争は起きた。

 中央大陸近辺でも潜水艦発射型を艦隊に対して使った連中がいた。

 はっきり言えば、世界規模の大戦争が再び起きようとしていた。ギリギリの所で踏み止まっていたのは竜王達が一斉に動き出したからだ。地、風、水……人の世で知られる竜王達に命じて動かし、あからさまに彼らが戦場に割って入った。核でさえまったく効果のない竜王相手に喧嘩を売る奴は……まあ、滅多にいない。

 滅多にいないが、いない訳でもない。そういう連中は竜王に核が効かない事を理解出来ないのだろう。そういう連中は敢えて軍を壊滅させた。自然とそういう連中はいなくなった。

 しかし、全部に介入した訳じゃない。

 そうして壊滅した場所の中にルナが保護していた地域があった。ルナ曰く『あそこの昆虫達は見た目は悪いけど美味しいの!!』、だそうだ。

 もっとも、『今はまだ受け入れられる奴はそうはいないだろう』と判断して、保護。貴重な昆虫達の宝庫として特別に許可を得た生物学者などが入っていた訳だが……そこに流れ弾となった核が着弾した。犠牲者自体は半ば住み着いていた生物学者達のグループぐらいだったが、世界的に有名な生物学者などが複数名犠牲になった事で人の世界でも大きな話題になった。

 しかし、それ以上に「拙い」と思った私は即座に空間をちょっとばかし飛ばして、ルナを引き寄せて、こうやって取り押さえている。絶対飛び出すと思ったからだ。


 「離せー!離せ、兄貴ー!!あいつらぶっ殺す!!」

 

 ……あそこの昆虫の美味さに関してはルナ曰く「地上のものの中では五本の指に入る!!」と断言していたからさぞかし怒っているとは思っていたんだが。なんでも地形やそれが生み出す独特の気象、それに適応したそこに生える植物、そこで独自進化を遂げた昆虫達の特質が相まっての味になる……らしいので地形も変わった以上、ただ自然を再現しただけでは同じものが出来上がるとは到底思えん。

 さて、ほんとどうしよう……これはやるまいと決めてたんだが時間を巻き戻した方が手っ取り早い気がしてきた……。

昨年、ダイソーで手に入れた塩キウイ飴がおいしかったので今年も探してみたら見つからない……

仕方ないので同じ会社が作ってる塩トマト飴を試しに入手してみました

……思っていたよりは甘いし、悪い訳じゃないけど、トマト感というかトマトだ!と分かるぐらいに味と匂いが口の中に入れると凄い……

塩タブレットだけじゃなく、塩飴もこれだ!ってお気に入りが手軽に手に入るといいんですけどねえ。なんで、塩キウイ見当たらなくなったんだろ

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