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竜に生まれまして  作者: 雷帝
人竜戦争編
132/211

現状の竜達

新章前の現在の竜達の様子です

 さて、分身……と言っても本体が強くなりすぎた上、世界から弾き出されてしまったので今では我がこの世界の本体みたいなものだな。

 本体はあれだ、サイズ的にはともかく、霊的な許容量の面で手持ちのバッグの中に車は入れられんという事だな。


 『で、お前ら一体何の用だ』

 「はあ、実は暇なのです」


 中央大陸には竜が住まう。

 それは今では他の大陸に暮らす者達にも常識と化した話。

 しかし、その大半は知恵なきトカゲ達。現在も活動している竜らしい竜王は全部で五体しかいない。竜王の分類に【祖霊】は含まない。何故なら彼ら【祖霊】自身が自分達を「我らは竜を原型としながら、竜である事を捨てた者」という意識を持ち、竜王と称さない事にある。

 別段、自分達を卑下して言っている訳ではなく、竜として生きるよりも人として生きる事を選んだ事に対する彼らなりの誇りというのが正しいな。

 事実、【祖霊】達の生き方と竜王の生き方はまったく異なる。ルナも何時しか竜王ではなく、【祖霊】を名乗るようになっていた。

 そんな、【祖霊】達の生き方は非常に活発だ。

 政治、経済、学問、遊戯、医療や各種の工芸に至るまでそれぞれの好奇心の赴くままに常に全力で動いている。そして、ルナのように表には出ず、自由気ままに動くのではなく、表でも動くのならば見た目だけ年を取ったように見せかけ、人形を後継者として育成している振りをして、適当な所で死んだように見せかけて入れ替わる、という工作を行っているのが普通だ。

 共通しているのは他大陸で活動する時は、「自分達の出自を隠す事」という暗黙の了解がある。

 どうも精神も人に近いものになっているらしく、それを破り、自分達の出自や存在を明らかにしようとした【祖霊】はいずれも他の【祖霊】によって消されている。自分達の秘密を守る為に同族を殺す、というのも我々と【祖霊】、その精神に大きな違いが起きていると感じる理由だ。

 そして、そうした暗殺含め何等かの理由で数が減った時、【祖霊】達は新たな【祖霊】を生む。

 その時、彼らは最初から竜ではなく、【祖霊】として生み出す。いやまあ、元々互いの力を合わせて、新たな存在を生む訳だからな。自分だって両親というか両竜がもし、人の姿を模して形成していたらそういう姿で生まれて来たんだろう。

 彼らは未だ、自分を全ての祖として崇めてくれているようだが……何時かはそれも忘れる時が来るのだろうか?

 

 そうした【祖霊】と異なり、竜王の生き方は実に変わり映えしないのもまた事実。

 現在、中央大陸含め世界各地に暮らす竜王や龍王は自分を除き全部で五体。……いや、これでも増えた方だ。

 なにせ、中央大陸で起きた人と竜の戦いが終わった時、自分以外の起きていた竜王なぞ火の竜王一体だけだった(あの暴走に巻き込まれていたが、何とか一命はとりとめた)。しかし、祖霊という選択肢が生まれたのが良かったのだろう。寝ていた竜王が一体覚醒し、更に祖霊と交流していた竜から龍王二体と竜王が一体生まれた。


 火の竜王はかつてのサラマンダーの仕事を引き継いだ。

 ボルシオン火山の火口に住み着き、二代目のサラマンダーとして敬意を払われている。

 まあ、基本、大地の地下全般を担当していると思ってもらって構わない。

 

 目覚めた竜王は要はうちの母竜だった。

 一度は母竜も連れてったうちの弟竜が独り立ちした後、眠りについたはずだったんだが……。

 

 な ぜ か 目 覚 め た


 そのまま北方大陸で大人しく暮らしていたなら何も問題はなかったのだが、目覚めた後、何を思ったのか娘の所へ……ルナの所へ押しかけようとした。

 慌てて止めて話を聞いてみると、【祖霊】のせいで属性が活発化して目が覚めた。

 息子はほとんど動いてないが、娘は結構活発に動いてるみたいだし、何かしら事情知ってるかもと思った。

 との事。

 ならばと説明して、これで終わりかと思いきや、やたら人の活動に興味を持ち出した。どうも以前は他の竜や龍がろくに人と関わろうとしていなかったから、そんなに面白いものでもないんだろうと思っていた。けれど、今はお前や娘だけじゃなく、多くの竜達が関わっている気配が感じられる。

 とすると、眠っている間に随分と世界が変わったという事だろう、昨今は引きこもっている様子のお前より人の間で動いている娘の方が事情詳しそうだし、都合もつけやすいんじゃない?という事らしい。

 けどなあ、人の姿になれないんだから、大騒動になるに決まってる。

 幸い、というべきか。年食ってる割に、ちゃんと話は聞いてくれた。今は再び北方大陸に戻り、以前にも増した力で持って北方大陸の野生の下位属性竜達を北方大陸周辺に抑え込んでいる。


 もっとも最近に龍王となった一体は空に強い憧れを持っていた。

 元々水と大地の属性龍であった為に、空と関わりを持っていなかったというのに……人が以前に持ち込んだ航空機を見て、憧れを抱いたらしい。他大陸に渡った人族が初めてこの中央大陸を攻めた時、空母から発艦した戦闘機や爆撃機。空を飛べないはずの人族が機械の力を借りて、空を自在に舞っているのをあいつは海の中から見ていた。

 水の龍王と共にあいつらを潰した際、こっそり幾つか拝借して眺めていたが、やがて龍王へと階梯を上げ、自力で空を舞うようになった。

 昨今ではもっとも他大陸の住人も目にする事のある龍王だろう。かつての自分と混同されている向きもあるみたいだが……。あいつは龍で、こちらは竜。見た目からして違うんだがな。


 次が先の龍王の話にも出て来た水の龍王。

 これは大陸周辺の海の竜達全般のまとめ役だ。彼女がいるから、中央大陸にやって来る、あるいは周辺を航海する船は無差別の襲撃を受けずに済んでいる。

 現在いる竜王龍王の中ではずば抜けた巨体で、前の戦争の折にやって来た連中の戦艦だの空母だのを締め上げて、へし折っていた。


 最後が今回来た竜王。

 大地の竜王で、一応は中央大陸全般の植生を担っている、訳だが。

 でも、なあ。

 実は中央大陸の表面全土は現在では、ほとんど自分の庭園領域と化している。つまり、実質的にはやる事がない。

 結果、実際にやってる事は一部のトカゲ達が暴走した際に人の手に負えなさそうであれば多少手助けをする、程度しかやる事がない。こちらの庭園と化している事は気にならないというか、こっちが上位すぎるせいで自分で庭園とするより心地いいらしいから問題ないんだが。

 かといって、他大陸まで管理するには力が足りんし、他大陸に住むのは問題がある。

 なので、今回相談に来た訳か。さて、どうしたものか。

祖霊達もこれから出てきますが、竜達って今どんな状態なの?って事を少々

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