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竜に生まれまして  作者: 雷帝
人竜戦争編
122/211

地と戦う(余波

精神的に疲れると体が疲れる以上に厳しい……

 宇宙には浮遊惑星というものがある。

 一般には惑星というものは主星と呼ばれる恒星の回りを周回する印象があるが、中には形成された後、恒星系から何等かの要因で弾き出された孤独な惑星というものが存在している。

 そうして、そんな惑星の一つに自我が芽生えた。

 偶然に偶然が重なり、内部の金属が電子回路のように形成され、やがては自意識を持つに至った。


 「我、目覚めり」

 「矮小なる者達よ、今、真の統治者が赴かん」


 ただ、この惑星が通常と違っていたのは恒星間文明を構築した船の一隻がかつてこの星で採掘を行った事だろう。

 もちろん、どこかの主星に属するでもない浮遊惑星ともなれば軌道は不安定であり、故に恒常的な採掘ではなく、たまたま事故で不足した資源を、偶然見つけたこの惑星で補充した、というだけの話だったが、それによってこの星はそうした存在がいる事を知っていた。

 そして、船や惑星といった何かに頼らねば生きていけない、その小さな生物を酷く脆いものと認識もしていた。


 「さあ、今こそ我が、あべしっ!?」


 そんな星の意志は地の三凶が反撃とばかりに振るった尾の一撃で粉々に砕かれて、テンペスタに対する散弾として活用された事で終わりを告げた。



 ――――――



 宇宙を放浪する昆虫のような生態系を持つ生物がいた。

 この生物の性質の悪い所は何ら生産性を伴わない上、ひたすら惑星どころか恒星すら貪る頑強さにある。恒星の熱にすら耐える、この生物独自の生体バリアとでも呼ぶべき機能、純粋な生物としての頑強さ、更には昆虫ならではの一体一体の生命を惜しまぬ行動。

 これらは恒星間文明に至っていない惑星文明程度では到底太刀打ち出来ない強さを誇っていた。

 幸いな事に、宇宙の広さのお陰で、これまで彼らと遭遇した惑星文明は存在しなかったが今、その最初の一つが起きようとしていた。

 群が巣としているのは彼ら自身の体。

 何かで作るというのは素材を必要とするが、彼らは一丸となって恒星間を移動する塊となり、休眠して大半を過ごす。

 それらを世話する一部だけが目覚めていたが、今、彼らは豊かな恒星系に近づいた事を察して、次第に目覚めつつあった。


 「ギギ」


 文明も何もなく、ただ貪るだけの彼らの襲撃は。

 テンペスタが地の三凶への反撃とばかりに放った翼を振るっての空間振動の前に跡形もなく木端微塵に消し飛んだ。

 惑星文明は知らぬ内に滅亡の危機を逃れていた。



 ――――――



 全てを喰らう、飢えに満ちた本能にのみ突き動かされて動くブラックホールのような存在がいた。

 理性、知性などはなく、ただ高エネルギーに惹かれ、赴いた先で全てを喰らい尽すだけの存在。

 そんな存在がふと凄まじい高エネルギーの気配を感知した。

 知性があれば、それこそ近づきたくもないような超高エネルギーの気配だったが、これにそんな知性などはない。

 だからこそ、ただそちらに食べ物があるというだけで動いたそれは。

 

 次の瞬間、互いに激突しあったテンペスタと地の三凶に凄まじい勢いでサンドイッチされる形になり、一瞬で消滅した。



 ――――――



 不定形では戦いづらい。

 そう感じたのか、地の三凶はテンペスタといざ戦うとなるとその体を凝縮し、どこか亀のような蛇のような姿を取った。一番近いのは玄武と呼称される存在だろうか?

 両者は奇しくも似たようなサイズとなり、激突した。テンペスタ自身も火の三凶の力を制御している間に更に巨体となり、既に大型の衛星サイズとなっていたが、地の三凶もまたそれより少し大きめではあっても似たり寄ったりの大きさとなっていた。

 両者とも既に物理法則に縛られるような存在でもない。

 当り前のように光速を超え、彼らは銀河間の移動を繰り返しながら互いに攻撃を交わしていた。

 無論、両者ともその根本では文明、知性ある存在の保護ないし保存を忘れている訳ではない。だからこそ、互いに気をつけてはいた。

 

 例えば、ある発展途上の、恒星間文明に足を踏み出したばかりの種族達が送り出した探査船。

 ただ未知への挑戦を目指して星の海を航行していた脆い船があった。

 両者はその船へと力が及ぶコンマ以下の一瞬でそれを認識、互いに示し合わせたように互いの力を打ち消し合い、自らの飛来する軌道を変更し、船を回避した。

 探査船に乗る種族が感じたのは僅かに船が揺れたと感じた程度の事だった。


 またある時は未だ発展途上の惑星文明に気づいて、惑星へと力が及ばぬよう力を集束して放ち、場所を移した。


 そうした気遣いこそしていたものの、それが悪意の塊だったり、まともな生物としての発展を望めないような存在までいちいち気にかけてはいない。

 念の為に言っておくと、征服戦争を仕掛け、奴隷を作るような恒星間文明があってもそれで悪意の塊と看做したりはしない。彼らは同族、仲間内では悪意以外も持てるし、示せるし、中には奴隷に対して愛情を注ぐ者だっている。悪意以外を持てると示せている訳だ。

 ……まあ、それだけに生まれたばかりで悪意以外を持たず、群体で存在せず単一生命体だと消滅させられてしまったりする訳だが。

 とにかく一つだけはっきりしている事があるとすれば、両者の激突がまきこまれたが最後、この宇宙の生物では一瞬で消滅させられるような迷惑なものだという事だった。

 空間を振動して全てを砕かんとすれば、その空間そのものを爆砕する。

 多次元からの同時重力崩壊による高出力エネルギー砲をぶちかませば、それを同じく多次元の未成熟宇宙へと受け流す。

 もはや、その戦いは一つの宇宙の枠外へと広がりつつあり、それは同時に空間の狭間を漂う存在へも影響を与えつつあった。

 

転職を考えて活動中だが、さすがにこの年になると……

仕事を選ばなければ何とかなるだろうが、かといって選ばなければ長続きするのが厳しくなる

難しいとこです

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