地の三凶と決裂す
忙しいです
大金でもありゃ遊んで暮らすのになあ
11/28追記
※感想に宝くじの話題が多いようです。小説自体には関係ないので宝くじ関連の御意見は感想にはご遠慮下さい
『おお、我が愛すべき弟よ!!何故分かってくれぬのだ!!』
「分かるか、この石頭!!」
宇宙の一角で怒鳴り声が響いていた。
そもそもの原因はテンペスタが三凶の内の一角、地の三凶と遭遇した時だった。
元より封印も長い時の間に、そして力をつけていた為だろう。テンペスタの接近を機としたのか一気にはじけ飛び、復活したのだ。ただし、そこからがテンペスタの想定外が始まった。
『おお、この力!この魂の響き!!汝は我が弟であるか!!!』
「ちょ、待て!?」
そう叫んで熱烈に抱擁してきたのだった。
移動性ブラックホールのような存在だ。普通はそんな相手に抱擁されれば瞬時に強大な重力場によって粉砕され、最小の単位にまで引き千切られてしまうだろうがそこはテンペスタも最早そういう領域ではないというか抱きしめられはしたものの、健在だった。
もっともテンペスタ当人からすれば迷惑にも程があったが。
これが人に例えるなら暑苦しい全裸マッチョに抱き着かれたようなものだと思えばいい。
何とか引き剥がして、会話をしてみた訳だが……。
『我に与えられた至上命令は彼らを保護する事である!』
「それは分かる」
『故に!我は彼らを全て我が内に取り込み、その魂とデータを守ると決めたのである!!』
「だから何でそうなる!!」
確かにそれを行えば、滅びはなくなるだろう。
人族も星も存外脆い。
人族は火山に落ちれば死ぬし、数百メートル程度の高さから墜ちても死ぬ。それどころかもっと弱い炎でも全身を炙られれば死ぬし、十メートル程度の高さでも落ち所が悪ければ死ぬ。それに比べれば星はもう少し頑丈ではあるが、今のテンペスタなら壊すのは難しくはない。そして、それは地の三凶にとっても同じだろう。
それを考えるなら、確かに壊れないようにする、という一点においては地の三凶がその内に保護する、というのは理にかなっている。ただ。
「それをしたら子孫を残す事も出来ず、見る事も動く事も声を出す事も聞く事も何も出来んだろうが。出来る事はただ一人で真っ暗闇の中、考える事だけだ」
『そうだが?』
それがどうかしたか?
そんな心底疑問に思っている様子に頭を抱えたくなるテンペスタだった。
(いやまあ、分からんでもないが)
精神構造が根本的に異なっている。
人族がそんな事をされたら精神がそう長い事持つとは思えないが、同時に自分なら大丈夫だろうなーと理解出来てしまうテンペスタだった。もっとも、「体を砕かれたぐらい、魂なんかは保護されるなら自分なら出ようと思えば出れるだろうな」という前提があっての事だが。
問題は。
「人族がそんな事をしたら精神が壊れてしまう」
『だからどうしたのであるか?魂を保護すれば心など大した問題ではないのである!!所詮、あれらは魂に張り付いた精々数十年程度の情報故に!!』
これだ。
どうもこいつは個別の人格とかそういったものを認めていない。要はこいつは人というものを生物だと認識していないとも言える。あくまでこいつにとっては保護するというのは自身が産まれた存在意義に関わる事だから熱意を持って行うものの、それは者ではなく物に対するもの。だから、人族の人格や経験などといったものに関心を持たず、狂気にも興味はない。それらは全て魂に付属するものだからだ。
人族は機竜というものを生み出した。あの星に辿り着く為に星を渡る船を作り出した。
その機竜のボディや、船本体は保護しよう、だが、それらを動かす為に重要なプログラムには関心を持たない。地の三凶はそう語っているし、それを人族にも適用している。
「その保護の仕方は受け入れられない」
保護の仕方がテンペスタと、地の三凶とでは根本的に違う。
そして、それは今は去った地の老爺にとっても同じだったのだろう。それでも保護する気はあったので、消滅まではさせずに封印に留めたのかもしれない。
『むう、ならば仕方ない。我は我に与えられた使命を果たす為、無力化させてもらう』
「仕方あるまいよ。互いにお互いのやり方を譲れないのなら後は力ずくでも相手にこちらの意見を飲ませるしかない」
話し合いで解決しなければ、決裂する訳だが、お互いに不干渉という訳にはいかない以上、後は戦うしかない。結局、戦いも外交の一手段だという事だ。
互いの放ったマイクロブラックホール弾と反重力砲が食い合う形で戦いは開始された。
そろそろ年末ジャンボの時期じゃあるけど売り上げは順調に落ちてる模様
結局、当たる確率が低いから「本当に当たりなんか入ってるのか?」と疑惑持たれてるのもデカいんでしょうねえ。実際、アメリカの宝くじが当選者公表してるのって正にそれが理由だそうですし




