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竜に生まれまして  作者: 雷帝
人竜戦争編
106/211

竜王戦場4

一時少し過ごしやすくなったかと思えば、また蒸し暑く……

今年は本当に暑さやら雨やらたまりませんね……

 圧倒的な全能感。

 だからこそ怖い。

 風、水、火、地。それにまつわる星そのもの、そして更にその外側まで意識が広がっている。これが未だ引き継いだばかりで慣れていない状態での話だ。


 (だからこそ気を付けないといけない)


 幸い、消えてしまった四大の竜/龍は管理コンピュータとでも呼ぶべき結晶体を残してくれた。

 それ単体では彼らが制御していた部分を完全に担う事は出来ないが、それをこっちと繋ぐ事で大分管理は楽になる。と、同時に嫌な気配も濃厚に感じていた。間違いなく、彼らが製作に失敗したという自分の前に生み出された存在達だろう。三凶と呼んでいたか。

 厄介な。

 地表に封じていたら危険だとソラの果てに封じているらしいから、完全に封印が破られる前に自分から戦いを挑まざるをえないだろう。


 (何せ、封印を施した当人ならぬ当竜龍達がいなくなってしまったからなあ)


 などと戦いの最中に考えていられるのも、実質戦いはもう終わったも同然だからだ。

 蝕樹竜は動かない。いや、動けない。

 別にこっちの力に怯えて、なんて訳じゃない。単純にこっちの力を吸い取りすぎたからだ。

 暴走、といえば聞こえは悪いが、要は本能全開で動いていただけだ。では、本能で動くようなモノが満腹になったらどうなるか?そして、それが恐怖なんて感情を理解出来る程の知能さえなかったら?それが眼前の答え、完全に動きを停めてしまっている。

 おそらく、あいつには先程までの行動も単なる「腹減った」という本能だけで、命を賭けた「戦い」という概念すらなかったのだろう。

 そして、今の俺には奴の魂の根幹とでもいうべき部分が分かる。

 後はそこに力を差し込んでやれば……。


 崩れ去る。


 本当に脆い細工物だったかのように静かに崩れ去っていった。

 後はぐったりした火の竜王と、結果としてその背中に転がった人の王がいるだけだ。

 火の竜王は死んだかと思っていたが、栄養というかエネルギーを吸い取られてはいたものの、まだ生き残っていたようだ。考えてみれば、寄生植物というのは栄養を吸い取りすぎて本体が死んだら、自分も死んでしまう。してみると、奴なりの生かさず殺さずという奴だったのかもしれない。

 人の王は……まあ、幸運だったというしかないな。

 周囲に栄養となりうる物が多くあってそちらに意識が取られたか、内部に火の竜王という巨大な栄養源がいたからそちらに紛れて小さな人の王程度は気づかなかったか、或いは人の側の保護機能が思っていたより優秀な機能を発揮したか。

 調べればその辺もすぐ分かるが……まあ、今更どうでもいい事だろう。もう終わった事だ。

 おや、ようやく意識がはっきりしたというか、状況を把握したというか。火の竜王が背中に乗った人の王と顔を見合わせているな。


 『さて、人の王よ』

 「……竜王、か?」


 どことなく戸惑った様子なのはこちらの気配が先程までと大幅に異なっている事に気づいたんだろう。

 なんせ火の竜王でさえ戸惑ってるのが分かるぐらいだからなあ。とはいえ、黙っててくれてるのはありがたい。

 

 「そうか、負けたのだな、我々は」

 『………』

 「だが、我々は竜の下から離れるべきだと思ったのだ。もっともそう考えたのは私達上層部の責任、民には責任はない。我らの首のみで許していただけると有難い」


 いや、とこちらが口を開く前に。


 「それならこの大地から離れなければなりませんね」


 第三者の声、というかルナが割り込んだ。


 「ルナ姉!?」

 「この大地は竜によって植物の生育も早く、水も何もかも竜の庇護を受けているのですよ。いえ、そもそも……星そのものが竜によって守られているというべきでしょうか」

 「!!!???」


 あーこの様子からすると……。


 『もしかして、聞いたのか?』

 『ええ。正確には教えてもらって、飛ばされた、ですけど』


 と、人族には聞こえないよう会話してみた。

 どうやらあの親父、先程の会話を知識として流した上、こちらに転移させやがったな。一体何のつもりだ……とは言わない。あの親父も含めて他の四大竜/龍達はいずれも自分達の創造物である管理用の竜王達よりも人の方に愛着を抱いていたようだ。

 ……結局、最初期の竜王達というのは親父達にとっては自分達の作った道具だったんだな。

 その後、この星生まれの竜達が生まれて来たが、親父達は僅かな例外、それこそ俺やルナ、母上といった僅かな例外以外は自分の創造物と重なってしまってたようだ。

 つまりはルナを飛ばしたのは……最期のお節介、か。問題は……。

 

 「はあっ!?ルナ姉も竜王!?え、そこの竜王(?)の妹!!!???」


 ルナから説明を受けて、絶賛大パニックに陥っている人の王だろうか?

 お陰で、色々悩みとか、シリアスとか吹き飛んだ気がするわ。

戦もさくっと終わりに近い状態になりました

大規模戦闘としては後は失敗作三体が大物として残ってる状態ですね

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