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竜に生まれまして  作者: 雷帝
人竜戦争編
104/211

四大の昔語り3

何とか3で終わりました

次回から再び戦争場面に戻ります……蹂躙ですが

 『我々の誤算は二つあった』

 『一つは抑え込んだ気象の解消に予想以上に時間がかかっている事。正確には強引に抑え込むならもっと短時間で済むのだが、人族というのが予想より脆かったのでな。彼らに影響が出ないよう、そして長きに渡って安定するよう設定を行うにはかなりの時間がかかると判明したのだ』

 『二つめは我々の本体が向けた意識が予想以上に浅かった事だ』

 (最初は分かるが、二番目はどういう事だ?)


 くわしく聞けば、簡単だった。

 人が声をかけられたと思った時を思い浮かべてみて欲しい。

 ちょっと立ち止まって相手を確認しようとする時もあるだろうし、場合によっては「知り合いだったか?」と勘違いして声をかけようとした時だってあるだろう。逆に一瞬だけちらっと視線を向けただけで立ち止まりもせず歩き去る事だってあるはずだ。


 『どうも本体にしてみればその一番最後の方らしくてな……』

 『この世界に我々がやってきて一万年も過ぎておらぬのに、既に意識が薄れつつある。要はこの宇宙から立ち去りかけているという事だな』


 つまり……。


 『うむ、我々の管理してきたものが管理出来なくなる時が近づきつつある』

 (出来なくなったらどうなる?)

 『昔よりはマシだ。精々、秒速数十メートルの暴風が常に吹き荒れ、大気温度は四百から五百という所であろう』

 『大地はその点マシじゃな。ちと火山活動が活発化して、最大規模の噴火が百個ぐらい数十年連続して起きて、最大規模の地震も連発するかもしれんが』

 『火は大地や風とも連動しておるからそれで全部だ。なに、大地のが言う事が起きても精々、今後数百年かけて、この星の大地全てが数十メートル規模で覆われる程度だ』

 『水は人族にとっての毒素は大分浄化出来ておるのだがな。それでも飲料水として利用されておる内のほぼ全ては飲めなくなると思って欲しい。後は気圧だな。毒素が解放された場合、現在よりも十倍は気圧が上がるぐらいは覚悟しておいてほしい。もちろん、増えた分は毒素だ』

 (人族滅ぶじゃねえか!!!)


 元のこの星どんだけ過酷だったんだよ!!

 どう考えてもこの星の現在の生命は壊滅するだろう。

 というか、一部の竜族や植物以外はこの星の生命は滅ぶんじゃないのか……?

 火山が頻発するというのは……この星が実際はまだ相当若くて、造山活動が活発、というだけじゃなさそうな。


 『その通りだな。この星が恒星や他の惑星から受ける重力による変形も大きい』


 ……一つだけ確信出来た。

 この星、人族の全盛期でも惑星改造不可能だっただろ。

 逆に言えば、それを一晩程度の時間で可能とするのが目の前の四大竜/龍王か……!しかし、そんなのがいなくなったらどうするんだ?


 『うむ、それで我々は代わりを生み出そうとしたのだよ』

 (代わり?)

 『そうだ。人族と共に時を過ごし、人族に多少なりとも愛着を持つ、この星で生まれた新たな竜王の中の王をな』 

 『『『でも、失敗したんだよな』』』

 (は?)


 聞けば、当初はもっとさっくりと作ろうとしたらしい。

 世界に穴をあけて、本体から力をもう少し融通してもらって、火と水と大地がそれぞれに試行錯誤しながら作ろうとして……出来上がったのは単なる化け物だった。


 (なんでそうなる!?)

 『うーむ、細かい理由は色々あるのだが、一番の原因は我々が人と接する機会が少なすぎた事だな』


 各自が最善と思うやり方で惑星管理プログラムを作成しようとしたけど、人族を保護するという部分で異常が生じたらしい。要はバグだ。しかし、何故三体が三体とも…。

 なのでまあ、酷いものになると『苦痛に満ちた死を迎える前に我が苦痛なき死を与えん』なんてものまで出来たとか……。


 『おまけに無駄に力を突っ込んだお陰で、我々には壊せなくなってしまった』

 『ま、当然だな。本体の力を下手にそのまま加工したせいで我々を目玉や耳とするなら連中は細胞の一つとかになってしまってなあ……下手に力が使えないのだ』

 『それで念の為に力を取っておいた風がこれまでとは全く異なるアプローチで、この星生まれの竜と子を為し、人を呼び込んで人と暮らさせて、長い時間かけて育てたという訳だ』 

 

 いやあ、お陰で子作りが出来そうなレベルの竜王を見つけた時は嬉しかった。思わず熱意込めて口説いたぐらい。

 そんな事を聞きながら、なんか猛烈に嫌な予感がしてきたんだが。


 『『『『力と知識を渡すから後はお前に任せる』』』』

 (ふざけんなあー!!!!!!)

 『仕方なかろう、どのみち我々は消えるのをとにかく引き延ばし続けててなあ。もう色々と限界なのだ』

 『こうして会話しておるだけでも消えつつあるのでな!うむ、仕方あるまい』

 (まてや!大体、それなら俺の中にある知識ってどっから持ってきたものなんだよ!!これとかこの世界以外から知識持ち込んでたら異物にならんのか!!)

 『それは元々、人族が持っていた知識の中から間違ってたものを修正して、後は我々がこの世界を暇つぶしに解析していた結果知った知識の詰め合わせだな』

 (つまり?)

 『異界でも何でもなく、この世界の知識だ』

 

 何というか、色々と疲れた気がする。


 『それに最後の難関も竜王になった時の偶然のお陰で何とかなりそうだしな』 

 (……なんだって?)

 『うむ、本当に最後の最後で奇跡が起きたという印象じゃ……』

 『我々の力を流し込んでも大丈夫か、と思ったが、あの時に外部から大量に流れ込む力を制御するのを学んでおるからな』

 『消えた後は化け物化してもどうにもならんからな。この星が滅んで終わりだっただろう』


 あの時の体験をもう一度しろと?

 しかし、待てと言う前に膨大な力が流れ込んできて……。  

色々な種明かしもこれにて一区切りです

四大竜/龍王達が言ってる通り、強引にやってもいいなら短時間で仕事は終わります

ただし、温度が数十年ほどの間、千度を超えたりするぐらいは普通に起きてしまうので断念してます

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