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真珠星  作者: 夢乃マ男
第四章
42/50

悪趣味な小説

握手会の帰路、生のアイドルを目にして実際に握手した達成感に生きてる心地を覚えるとともに、頑張ってきてよかった。と気持ちが昂ぶっている。


帰ったらまず今日の感想とグッズの写真をSNSにあげるのが日課だ。


そこに挙げる文を考えながら今日の出来事を思い返す。顔すら知らない同志達と体験と感情を共有するために。


そこに送られてくるメッセージやいいね!の数に悦を覚えてしまっている。

映えを意識して過ごしているそこらの若者と根本は一緒なのかもしれない。


そんな中ひっかかったのはあのネット小説の存在だ。

いまのいままで忘れていたが、一度思い出したら気になって仕方がない。


今日は湯船に浸かりゆっくりと身体を労わろうと思っていたので、入浴中の暇つぶしにでも読み漁ろう。


ネット小説の部署に配属されてからは、自分だったらこう描くのに、自分だったらそのテーマをどう描くか想像する事が多くなった。

アイドルとオタクの物語。

自分を重ねてしまう。結末はきっとハッピーエンドだろう、と願望にも似たストーリーを作り出している。


家に帰り、SNSに投稿し用意された夕御飯を食べ終えるとお風呂の時間だ。

いつもは湯船に浸かっている時間の不自由さが嫌いでだいたいシャワーで済ませるのだが湯船に浸かりスマホの画面を覗き込む。

憂ちゃん推しの大人オタク達はいつものように集って飲み会を開いているのを知る。

いつか参加したい!と思っているのだが、そこに一歩踏み込む勇気を持ち合わせていないのと、コミュニティ能力に自信がないのでその様子をいつも恨めしくSNSから眺めている。


今日は専ら憂ちゃん色に染まったライブの話題で盛り上がってるようだ。青と白に染まった会場は1つ推しの色と言う個人的な感情も乗っかっているのだが涙浮かべてしまうくらいに感動的な光景だった。


一通り顔も知らない相手とSNSでのやりとりを済ませると、あの小説に目を通す事にする。


真珠星。そのタイトルから連想されるのは春の夜空に浮かぶ双子座の星?だった気がする。青白く輝くいくつかの星を纏めてスピカと呼んだりもしたような。

青白、推しカラーじゃないかとにやついたのも一瞬で自分の顔が青白くなる。


なんとも趣味の悪い。

流星風流の二次創作のような小説。

そして冒頭から秋田憂が自殺をする。

なんとも悪趣味だ。


度々我が部でも議論に挙がる表現の自由と肖像権、著作権などの問題。

例えば有名俳優が演じた役同士のBLもの、百合もの。有名アニメの二次創作だったりがネット小説には多く投稿されてくる。


無料で公開しているので、あまりにも特定できる一個人を批判したり難癖つけてしまうものはすぐに規制をかける。

だからと言って有名人の名前をNGワードにする事も難しい。

例えば、日韓ワールドカップで鈴木選手が得点を決めた時のような興奮がその空間では再現されていた。などの表現を奪う事になってしまう。


故に書籍化しない限りは見て見ぬふりをしているのが現状なのだが、必ず議論にあがる。


その毎度のめんどくさい議論に今度は自らが一石を投じなければならない。


好きなものを汚されるのはこんなにも腹立たしいものなのかと初めて痛感した。


こんなことをわざわざする悪趣味な人間がいる事がいる事に驚愕するが、暇ゆえにこんな悪趣味な事に時間を費やせるのだなと自身の考えに結末を迎える。


湯船を出る際に自分の判断のみでこの小説を閲覧不可に設定した。


軽く身体を流し、着替えを終えると何度も観ている撮り溜めていた流星風流の冠番組を肴に強くはないお酒に酔い眠りに着くまでの夢のような時間にただただ酔いしれるのだ。

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