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どうか、お幸せになって下さいね。伯爵令嬢はみんなが裏で動いているのに最後まで気づかない。  作者: しげむろゆうき


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5

 エリオットside.


 学園でハンナと別れた後、エリオットはタウンハウスに戻るなり領地経営の勉強をすることにした。

 もちろん、ハンナとの将来を夢見て。

 ただ、少しして慌てた様子の使用人が部屋のドアを叩きながら、「エリオット様、ハンナ様が乗っていた馬車が事故に巻き込まれたみたいなんです!」

 そう言ってきたことで頭の中から考えていた人生設計が吹き飛んでしまったが。

 それと、真っ青になっている使用人の後ろに立つフィナの存在に心底驚きも。


「フィナ嬢……なぜ、ここに?」


 警戒しているフィナがなぜタウンハウスの中にいるのだと。

 しかも、目の前に。

 そう思っていると「なんでってお姉様が事故にあった事を直接伝えに来たんですよぉ」というその言葉と使用人から渡されたエドモンドからの手紙に「ああ、手紙を持ってきてくれたのか」と、エリオットは今回、疑うこともせずに納得するが。

 そして、フィナに詰め寄りながら「そ、そうだ! ハンナは無事なのか!? 今すぐに何処にいるか教えてくれ!」と質問も。

 きっと、今は意識も回復して笑顔を見せているだろう。だからこそ彼女は自分を必要としている、そう思いながら。

 そしてエリオット自身も。

 

「やめてあげてください!」


 突然、大声を出しながらエリオットの胸に飛び込み、上目遣いで「エリオット様ぁ、どうか事故によって酷い顔になってしまったお姉様を見に行くのはやめて下さい。大切なお姉様を思う妹として……いいえ、同じ女として……」

 そう言って、再びエリオットの胸に顔をうずめて泣きだすことで先ほどの考えはすぐに掻き消えてしまったが。

 フィナを離すこともできずに呆然として。想像してしまいそうになってしまったので。事故で酷い顔になったハンナの顔を。

 そして、それを見たエリオット自身の表情も。

 行ったところで気の利いた言葉を言えるだろうか? と。

 すぐにフィナの言葉も思い出してしまうが。自分が行けばフィナの言う通りハンナの心を傷つけてしまう可能性があると。


 つまりは自分が行けば……

 だから……


 エリオットはフィナの温もりに安心感を覚えてしまい口を開く。


「……わかった。ハンナの怪我が良くなるまで待つよ」

「懸命な判断ですよぉ、エリオット様ぁ」


 そして、フィナの言葉に気持ちが軽くなりも。


 そうだよ。ハンナの怪我が良くなったらすぐにお見舞いに行こう。


 そう考えて。

 感謝をしながらフィナの頭を優しく撫でて。



 あれから、一カ月経った。

 なのに相変わらずハンナは目覚める様子はないとの事だった。しかも、顔の傷が膿んでしまって現在大変な状態とも。

 なので、エリオットは一度、ハンナの様子を見たいと口を開きかけたのだが、フィナやキリオス伯爵夫人のその説明で閉じてしまって。


 そんなに人に見せられない怪我なのか……


 それじゃあ、今は会いに行くのは無理だろうと。


「エリオット様は元気になった時に顔を見せれば良いのですよ。今はだからそっとしておいてあげて下さい」


 そう言ってくるフィナやキリオス伯爵夫人の心遣いにも感謝しながら。

 ただ、そう思いながらもエリオットは何かもやもやするものを感じてしまっていたが。ハンナのことを考えれば考えるほどに。

 それは日々強くなっていって。

 それこそルーカスが心配そうに声をかけてくるほどに。


「エリオット、大丈夫か?」

「ルーカス様……」

「ハンナ嬢の事を考えているのか?」

「はい、ただ酷い怪我でまだ意識が戻らないらしくて……」

「それなら余計見に行くべきじゃないか? 君は彼女の婚約者なのだろう?」

「それが、フィナ嬢やキリオス伯爵夫人に止められてしまって……」


 エリオットがそう答えると、ルーカスはしばらく考えるような仕草をした後に言ってくる。


「エリオット、二人に止められても私は行くべきだと思うけどな」

「でも、ハンナは事故で酷い顔になったらしくて見たら可哀想だと……」

「それなら、いつ見に行くんだ?」

「それは……ええと」

「おい、まさか、退院するまで会わないつもりなのか? 酷い傷なら一生残るかもしれない。それなら、今行くべきじゃないのか」

「し、しかし、フィナ嬢やキリオス伯爵夫人が……」

「エリオット、君は二人と結婚するんじゃなく、ハンナ嬢と将来結婚するのだろう。それとも、本音は酷い顔になってしまったハンナ嬢に会いたくないとかじゃないだろうな?」


 ルーカスにそう質問された直後、エリオットはドキッとしてしまう。ハンナの美しい顔に大きく傷が付いた姿を想像してしまいながら。酷い顔になってしまっても自分は愛せるだろうかと。

 ただ、すぐにエリオットは頭を軽く振ってその考えを追い出したが。


「……そんな事はありません。でも、会おうにも彼女にどうやって会いに行けば良いのでしょう?」


 自分が会いたくないわけではないのだと気持ちを出しながら。


「……ハンナ嬢はきっと領地じゃなく、腕の良い医者がいる王都の病院に入院しているはずだ。それならツテを使って私なら探す事ができるかもしれない。わかったら教えよう」


 そして、ルーカスの言葉に複雑な気持ちを抱きながらも感謝をして。


「ありがとうございます」


 ただ、そんなエリオットにルーカスは不満気な表情だったが。

 何しろ、エリオットの雰囲気、そして態度からルーカスにとっては忌み嫌うようなものを感じたので。

 エリオットは最後まで気づく事はなかったが。

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