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2章 27話 断罪(1)

「綺麗だよ。クレア」


 そう言ってくれたのはアルベルトだった。

 広場の中央で、仕事を抜け出してまでクレアと踊りにきてくれたアルベルトとステップを踏みながら、クレアは幸せをかみしめる。

 踊りながらほほ笑んでくれるアルベルトの顔は優しくて、クレアは顔を赤らめた。


 ずっと義母や妹から虐げられて、まるで使用人のように使われて。

 時には嫌がらせをされて虐められたりもした。


 でも。今は好きなことをさせてもらえて、こうして好きな人と一緒にいれる。

 リーゼという可愛い友達もできた。妹に虐められていた時には信じられないほどクレアは今幸せで。

 このダンスが終わったら絶対想いを伝えなくちゃと決意する。

 大勢の男女が躍る中、クレアとアルベルトもまた楽しいひと時を過ごし、ダンスの曲が終わったその瞬間。


「あの女です!!!あの女がロテーシャ様からお預かりしたネックレスを奪い取ったのです!!」


 広場に甲高い声が響いた。

 クレアの妹のヴィオラのものだ。


「本当か!?間違いないのか!??」


 と、妹ヴィオラが兵士を連れてやってくる。

 目指す先は間違いなくクレアのところで、怖い形相をした兵士たちが広場で踊る少年・少女をかき分けて、クレアの元にやってくる。


 ネックレス?何の事?


 クレアが固まっていれば、兵士が怖い顔で


「少し話を聞かせてもらおうか」


 と、クレアに詰め寄ろうとし


「クレアがそんなことをするはずがないだろう!?」


 アルベルトが庇うように兵士の前に立ちふさがった。


「アルベルト様」


 クレアが不安そうに声をかければアルベルトはほほ笑んで「大丈夫」と言ってくれた。

 ロテーシャ様の護衛騎士のアルベルトならクレアの無実を晴らしてくれるはず。

 クレアはこくりと頷いた。


「一体何があったのか説明してもらおうか」


 アルベルトが威圧しながら兵士に問えば、兵士の一人がばつが悪そうに


「ロテーシャ様のネックレスが紛失してしまいまして。

 こちらの令嬢の話では、その少女がロテーシャ様の落としたネックレスをそのまま盗んだという話なのです」


 兵士の言葉に、クレアに一斉にその場にいたもの達の視線が集まる。


「わ、私はそんな事はしていません!!」

「なら、ドレスを調べたところで問題もないでしょう?」


 広場に凛とした可愛い声が響く。

 皆がそちらに視線を向ければ――現れたのは周りの視線を引くほどの可愛い容姿の王族。ロテーシャだった。


「ロテーシャ様」


 王族の登場にその場にいた皆が跪き、アルベルトも膝をつき手をむねにあてた。

「その方があなたのフィアンセですか?かわいいお嬢さんですね」


 そう言って優雅にロテーシャがほほ笑むが――クレアはロテーシャの視線に身をすくませる。クレアはこの視線を知っていた。

 ヴィオラがいつも自分を虐める時に向けていた視線。

 扇子越しにクレアを見る目には明らかに敵意が見てとれた。


「アルベルト、貴方の言う通り潔白だというのなら、その方のドレスを調べさせていただきたいのですが」

「しかしっ!!!」

「これだけ注目を浴びてしまったのです。彼女のためにもこの場で潔白を晴らすべきではありませんか?」


 アルベルトが見渡せば確かに会場全体の視線を集めてしまっている。

 ロテーシャの声は優しくて、アルベルトは躊躇したようにクレアを見た。


 もちろん――クレアはネックレスなど盗んでいない。

 なら調べたところで出てくるわけもないのだ。それでも疑われて別室に連れていかれるなど不名誉な事に変わりない。

 だが、確かにこの状況で断れるわけもない。

 そんなことをすれば余計に疑われるのが目に見えているからだ。


 どうしよう。

 クレアは震えが止まらなかった。これは妹がよく使った手だからだ。

 クレアの私物にヴィオラのものをまぜ、父にクレアが盗んだと嘘の報告をする。

 父はいつも可愛い容姿のヴィオラの言い分を信じ、父にクレアが怒られるのが日常的にあったからだ。このドレスは実家から送られてきたもの。

 おそらくこの綺麗なドレスの中にペンダントが隠されているのだろう。


「まったく、ヴィオラの美しさに嫉妬してこんな子供じみた真似を」

「卑しい踊り子の子どもなんて引き取らねばよかった」


 父と義母になじられていた子ども時代の光景が頭に浮かぶ。


 やっとヴィオラの呪縛から逃れて幸せになれると思ったのに。

 私はこんなところで王族の物を盗んだことにされて捕まるの?

 私は幸せになれないの?

 嫌疑の目を向ける会場の者たち。

 断れぬという視線を向けるアルベルト。

 そしてその後ろでほほ笑むロテーシャと妹。


 ああーーやっぱり、私みたいな卑しい妾の子どもが、幸せになろうなどと愚かだったんだ。


 どうしよう。

 このままじゃ王族から貴金属を盗んだ罪人として処罰される。

 おそらく待つのは死刑。


 お願いだれか助けて――

 クレアが願ったその瞬間。


「クレアは私とずっと一緒にいた!! 盗んでない!!!!」

 重苦しい沈黙を破って現れたのは茶髪の少女。

 リーゼだった。



誤字脱字報告&ポイント&ブクマ本当にありがとうございました!!!


少し展開がおかしい部分がありましたので、書き直ししたいので断罪(3)まで投稿したら少し更新止まるかもしれません。

話数も当初の予定より1話か2話増えるかもしれないです。お手数をおかけしますがよろしくお願いします。

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