オチをつけるところを見失ったのさ by作者
どうも、東方転妹録最新話更新です!
えー、今回は唐突に前回から1ヶ月ほど時間が進んだところから始まります!
さらに言えば……今回、またしてもフランが出ません。
フランが、出ません。
それでは脈絡もなんにもない、唐突な戦争を楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー1か月後、紅魔館、書斎。
ーーーーside レミリア
飛び交う怒号、その中で大半が掻き消されながらもちゃんと響く物音。
紅魔館全体から伝わる振動に書斎の扉が悲鳴をあげ、窓からは見慣れた紅魔館のメイド服を着た妖精と、紅魔館の物とは異なる見慣れないメイド服を着た妖精が交戦している光景が見える。
宙で二つの勢力が入り交じりながらある者は切っ先を交え、ある者は魔法や妖術をぶつけ合い、一進一退の攻防を繰り広げていた。
「第三から第六警備メイド隊!! 中庭区域で戦闘中の第二部隊への援護にまわるのだー!! 書斎近辺の部屋の窓を絶対死守するのかー!!!!」
「水晶通信での報告です! 第八部隊と第十部隊がエントランスにて敵メイド隊の援軍を確認!! 状況、押されています!!」
「医務室を捨てるのだー!!!! 医務担当のメイド達が必要最低限の医療機器を確保し次第、美鈴と第一部隊が防衛している玉座の間まで撤退! 医務担当の護衛をしていた第九部隊はエントランスの援護にまわすのかー!!!!」
さとりから秘書の仕事を受け継ぎ、警備主任兼秘書となっているルーミアが采配を行い、紅魔館の全戦力をもって敵勢力の迎撃を行っている。
しかし不意を突かれたこともあり、こちらの部隊の展開が遅れてしまったせいで状況は芳しくない。
ルーミアが手塩に掛けたメイド一人一人の実力は紅魔館が圧倒してはいるものの、何分数で圧倒的に負けていた。
次から次へと投入される敵部隊に徐々に削られ、更には既に五時間は連続で戦い続けている為に疲労も溜まり、負傷者も出てきてしまっている。
しかも肉体的にやられているだけではなく、動けなくなった者は敵から群がられひたすら身体中に接吻をされる為に精神的にやられているせいで、救助出来た場合でもその後の回復が遅い。
ただ、唇や女性にとって大切な箇所には手を出されていない分、救いがあると考えるべきだろうか……。
「……ルーミア、地下からまた来るわよ? 人数は12人、二個小隊のようね」
「くっ!? ……仕方がないのだー。 訓練生を出すのかー!! 第三部隊は中庭区域から即座に離脱!!!! エントランス横の窓から一階通路に入り、そのまま地下室への道を塞げ!!!! 訓練生はその援護なのだー!!!! 紅魔館上空に展開した後第三部隊が開いた道を進んで合流するのだー!!!!」
「了解しました!!」
運命を見てからルーミアに警告し、それを受けたルーミアが水晶による通信を行っているメイドに指示を出す。
威勢良くメイドが返答をし、命令は確実に警備メイド達へと伝わっていった。
「……まだ、正午を過ぎたばかりなのかー………………御義姉様、フランの為にも貴女だけは私が守るのだー」
「ありがとう、迷惑を掛けるわね……フランには封獣が着いていると良いのだけれど……」
「フラン専属メイド達からの最後の報告で、ぬえとフラン専属メイドのA班からE班がフランと一緒にいることが確認できているのかー。 警備メイドの中でも精鋭の第一部隊……その中からさらに選りすぐりのメイドをフラン専属メイドとしているから、下手したらここよりも安全なはずなのだー!」
「ふふふっ、幾ら真昼でもルーミアがいるだけでこちらの方がより安全に思うわよ?」
「おっと、それは責任重大なのかー!」
混乱する戦場の中で、慌てることもなくルーミアと冗談を交える。
その光景が効いたのか、通信担当のメイドは安心したようで冷静に役目を果たし始めた。
……そう、今回の戦いではどんなに防戦となったとしても冷静さを失ってはならない。
今度の相手は冷静さを失えば絶対に勝てないのだから。
それは、私と相手の長い付き合いの中で嫌というほど経験してきたからよく分かる…………その度に、貞操の危機に晒されてきたのは伊達ではない。
「そういえば、フラン達はどこに逃げているのか分かるかしら? ……妖怪の山の大穴から一個中隊が来るわ、到着までおよそ一時間ほどね」
「中庭区域の全部隊へ!! 三十分で中庭区域を確保した後に多重結界を張るのだー!!!! 泣き言は聞かないのかー!!!! ……最後の通信は、フランの私室の手前の廊下からだったのだー。 恐らく、フランの私室に立て籠ってるはずなのかー」
「そう……一番防備の堅い部屋ね。 それなら籠城にはうってつけか。 後はフランがお腹をすかせたりしないかが心配だけれど……」
「フラン専属メイド達は常にフランの為の生活用品や食料一式を隠し持ってるのだー。 少なくとも後三週間は余裕で籠城できるのかー!」
「ルーミア、貴女一体どういう方針で鍛え上げてるの!? でも本当に素晴らしいわ!!」
「全てはフランの為に!! なのかー!!」
やはりさとりの後釜にはルーミアが適任だったようだ。
私の判断は一切間違えてなかったようね!
それにさとりからの日常的なセクハラも無くなったし、こいし主導のフランの私物盗難事件も無くなったし……本当に紅魔館は平和になったわね。
……古明地姉妹がどれだけの問題を起こしていたのか、丸わかりにもなったわね、本当に…………!
「まぁ、現在進行形で問題を起こされているんだし…………本当に元気だと思わない、ルーミア?」
「全くもって同意なのかー! それにさとりはともかく、こいしは気を付けないと…………あー、ぬえだけでこいしを出し抜けるのか凄く不安になってきたのだー……」
「まぁフランが関わってる事案だし…………きっと、大丈夫でしょう、きっと……」
未だに鎮まる様子のない紅魔館内の喧騒をBGMに、ルーミアとフランについて思いを馳せる。
……しかし、これ以上気にしていてもどうしようもないわよね。
早くこの騒ぎを終わらせた方がフランの貞操を守ることになるのだから、事態の沈静化の方に全ての考えを向けましょう。
ただ、それにしても…………。
「……それにしても、さとりは1ヶ月でどうやってあんな変態メイド達を育て上げたのかしら…………」
……紅魔館のメイド達に(少しだけ性的に)襲い掛かる敵勢力ーーーー『地霊殿のメイド』の姿を捉えながら、またしてもさとりとこいしの変態っぷりを実感したのだった。
ーーーーー
以上、唐突な(まともな)紅魔館vs(ド変態)地霊殿回でした!!
……そりゃね、欲求不満なさとりとこいしが育てるメイドがまともな訳がない。(断言)
本当に紅魔館のメイド達には御愁傷様としか言いようがないですね。(メソラシ)
それではまた次回にてお会いしましょう!




