変態 + シリアス = 虚しい落ち
どうも、東方転妹録最新話です!
えー、今回は……うん、フランが純粋です!
フランが純粋だから良いんです!
……どうしてこうなった!
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー森の中。
ーーーーside フラン
ーードササッ…………!
「あ、れ…………ぇっ……?」
「やったぁっ!! さっすがフラン……って、フラン?」
地面に投げ出されて転がる諏訪子の上半身と下半身、そして辺りに降り注ぐ鉄輪の欠片と諏訪子の血しぶき。
目の前に広がる光景に私の理解は追い付くことが出来ず、困惑するこいしの横で目の前の光景をただただ呆然と眺めていた。
……どうして? 諏訪子の言葉は単なる挑発じゃなかったの? あんなに余裕があったのに……いや、ただ私にそう見えただけ?
「こい、し……どう、しよう、私……!」
「ど、どうしたの!? また復活してきちゃうけど、あの神様は倒したんだよ? もう怖くなんてないよ?」
「復、活……?」
諏訪子は生きてるの? 私や御姉様みたいに、強い回復力があるの?
だったら、起き上がってくれる?…………私に、謝らせてくれるの?
「そうだよ、私も前に住んでた山の神が一回死んでからまた復活したの見たことあるしね! なんて言うか、信仰がある限り永遠亭の輝夜さんみたいに甦ってくるんだよ! ただ、輝夜さんほど早くは甦らないけどね?」
「じゃあ、諏訪子は後どれくらいで……」
「んーっと、結構有名で人気な神様みたいだし、明日の朝には甦ってるんじゃないかな?」
明日の朝……なら、それまで諏訪子の体を守り続ければ良いんだよね!
そうしたら、諏訪子に謝ることが出来るんだよね!
……許してもらえるかは分からないけど、あれだけ親しくしてくれたんだもん……友達になれたもん…………絶対に謝らなきゃ……!
「まぁとにかく、そういうことだから安心して消毒できるねフラン!!」
「えっ!? しょ、消毒……?」
そ、そういえばさっき追い掛けてきていた時に消毒がどうのって言ってたような……?
でも、消毒って何をするんだろう? レーヴァテインで熱消毒するのかなぁ?
でも、どれを熱消毒するのかな…………?
ーーシュルルルルッ……!
「あっ、ちょっ、こいし? 触手で何をするの?」
「ふふふっ! 何って消毒に決まってるよ? ただ、その前に準備がいるからフランを触手で捕まえてるだけ!」
始めに私の翼に絡まった触手は、絶妙な力加減で私を苦しめることなく迅速に両手両足を縛り上げ始める。
そしてその後に私の胴を絡めとると、ゆっくりと私を持ち上げ始めた。
……も、もしかして、こいしの言う消毒って…………!
「さぁ、消毒の時か「こ、こいしのエッチィ!!!!」んグハァッ!!!?」
縛り上げられた右足に力を込めて動かし、こいしが怪我をしない範疇での全力でこいしの顎を蹴り抜き、力が緩んだ隙に触手から抜け出す。
もしあのままだったら、私は諏訪子の時の二の舞になるところだったに違いない。
こういう時に、吸血鬼のように力の強い妖怪で良かったと強く実感する。
……まぁ出来れば、普通の戦いの中で実感できる方が圧倒的に良いんだけどね。
「ふぅっ……全く、油断も隙もないよ! ……って、んっ……?」
なんだろう、妙に下がスースーする……でも、法衣はもう乱れてないし……。
こいしに何かされたかなぁ……?
……そう思って、顔を上げこいしの方を見てみると…………。
「すー、はー……すー、はー…………うん! やっぱりフランの下着は最高だね!!」
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!? こここここここここいしどうして私の下着持ってるの!!!!!? っていうか嗅がないでよぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」
私に顎を蹴り抜かれ地面に倒れたままの状態で、いつの間にか私の履いていたドロワーズを手に持ち臭いを嗅いでいたこいし。
確かにこいしから下着を盗まれることは多々あった、というかルーミアもやっていた……たまに御姉様とさとりもやっていた……ぬえと美鈴だけが紅魔館の常識人だった。
そして盗まれていった下着を取り返すことができなかったことも何回かあったし、どのような目的で盗られていたのかも知らなかったけど…………まさか、嗅ぐために盗んでいたのかな?
……よし、汚物(|変態)は消毒だよ!!!!
「フランに能力は効かない、だからこそ能力以外で身に付けた無意識技術……! この技術があれば私はまだまだ戦える!!!! ……フランにしか対応出来ないけどね!」
「そっか、じゃあその技術ごと燃えちゃえぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」
「おっと、そうはいかないよ!!!!」
私の怒りに合わせるように燃え盛るレーヴァテインを振りかざし、手加減無しでこいしに向けて振り抜く。
しかしこいしは避けてしまったのか、手応えは感じなかった。
「どこっ!? どこにいるの!!!?」
「隙ありっ!」
ーーチュッ!!
「んむぅっ!? ん、んむぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!?」
こいしを見失ってしまったことで先手をうたれた私は、見事に隙をつかれキスをされてしまう…………しかし、キスをされた私の視界に入り込んだのはこいしの綺麗な両眼ではない。
……私の、ドロワーズが眼前に広がっていたのだ。
つまり、変態は私のドロワーズを頭に被っているということである。
私がキスをされたまま叫んじゃったのも、しょうがないよね……?
ーーーーー数分後、森の中。
ーーーーside ぬえ
さて、森を探すといっても流石に広すぎるということでバラバラになって探し始めたは良いけど……。
「……いきなり、発見しちゃったよ」
風見幽香は自分が植物と話せるのを忘れてさっさと森に突撃していき、鬼達も『酒でフランが寄ってくるはず!』とか馬鹿なこと言って酒飲みながら森に入っていき、八雲紫は式と友人を連れてスキマに潜り込みながらフランを探しに行き、不老不死組は喧嘩しながら森に入り、天狗達は『フランさぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!』と叫びながら森に入っていき、地底組はのんびり歩いて森に入っていき、その他常識人組は協力しながら森に入っていった。
勿論、フランの姉さんとこいしの姉さんとルーミアは誰よりも早く森に突撃している。
……私は決して忘れられたわけではない、忘れられるはずがない、そう信じながら皆と被らない方向から森に入った訳だけど……。
「こいしのバカ! バカバカバカバカバカッ!!!!!!!! 本当にバカァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!」
「ふふふふふ……どんなに叫んでも、私はめげないしフランは逃げられないよ?」
……いきなり見つけただけならまだいい、どうしてこんな混沌とした状況に出会わなければならないのか?
奥に見えるのは真っ二つにされたあの神様の姿……そして、こいしに絡み付かれ泣き叫びながらもがいてるフランと、そんなフランに絡み付きながらフランの下着らしきものを被って口許だけ見えてる馬鹿こいし。
……とりあえず、フランを救出してからさっさと帰ろう。
神様には惨敗して、皆には忘れられ、挙げ句にこんな混沌とした状況に出会う羽目になるなんて散々な一日だ。
……もう、フランに癒されながら、穏やかに過ごしたい。
「……ふんっ!!」
ーードッ、ドスッ!!!!
「ぐっはぁぁっ!!!?」
「えっ!? こ、こいし?……ってぬえ!」
「………………」
手に持っていた槍を投げ、こいしを近くの木に磔にする。
こいしの腹をしっかりと捉えた槍は、木にも深く突き刺さっていてこいしにもそう簡単には抜けそうにはない。
そしてこいしから解放されるも驚き戸惑うフランを横抱きに抱え上げると、私は何も言わず森の外に向けて歩き始めた。
……槍は、例えこいしが回収しなかったとしてもまた新しいのを用意すればいい。
今は、この荒んだ心をフランに癒してもらいたい……それだけだ。
「ぬ、ぬえ? どうしたの? 何か、悲しそうな顔をしてるよ……?」
「……心配してくれてありがとね、フラン。 大丈夫、なんでもないから」
「でも、やっぱり悲しそうだよ……ぬえが悲しいと、私も悲しいよ……!」
あぁ、やっぱりフランは癒しだ。 今日一日のせいで荒んだ心を一瞬にして癒してくれる。
……でも、そんな優しいフランはとんでもなく強い実力を持っている。
私がこいしとこいしの姉さんと三人がかりで挑んだ相手に、恐らくだけど一人で戦って圧勝しているのだから。
真っ二つになった神様、レーヴァテインを持ちながらも煤汚れたりしてないフラン、戦った様子すらないこいし……これらから予想は簡単に出来る。
「……大丈夫、フランの傍にいれば癒されるから…………ちょっと、今日は疲れちゃっただけだよ」
「うぅ……でも、何かあったら話してね? ぬえのお願いだったら何でも聞くから!」
「本当? ありがとう…………なら、そうだね、二人きりで月を見ようよ? 森の外に月が見えやすそうな丘があったから、そこへ行こう」
「うん! あっ、でも朝になったらさっきの場所に戻っていい? 諏訪子に謝りたいことがあるの……」
「勿論! その時は私も着いていくからね」
「うん、ありがとうぬえ!!」
やはり、フランの傍は癒される…………満月でないのが惜しまれるけど、たまには欠けている月を見てみるのも良いかもしれない。
いや、フランがいるならそれでいいのだから、満月を惜しむ必要もないだろう。
……いてほしい時に傍にいてくれるフランという存在は、本当にありがたい。
だからこそ、私は……ずっとフランを…………。
「さっ、邪魔が入る前に丘に行っちゃおうか」
「うん! 一緒に行こっ、ぬえ!」
……ずっと、変態達から守るんだ!
ーーーーー
以上、フランが純粋で可愛いよね&変態なんて知りません回でした!
……うん、がんばれフラン、がんばれぬえ!
常識人の聖地は(きっと)すぐそこだ!
それではまた次回にてお会いしましょう!




