*レミリアはようやく事態を察したようです
どうも、東方転妹録最新話です!
……うぅ、最近フランの出番が…………そして進まない地霊殿が…………さらに今回は、レミリアが……!
今回はなんとなくシリアス感が出てますが、フランは今も夢の中、ほのぼのと穏やかに睡眠中です!
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー数分後、紅魔館地下の穴。
ーーーーside レミリア
糸団子に不夜城レッドを放ってから地底、というか地下に封印されていた三人組を連れて穴を登り始めた私。
そんな私の両手にはーーー
「うぅ…………フランの時計弾幕……? いや……炎が、御義姉様の炎がぁぁぁ……!?」
「フランが一匹……フランが二匹……フランが三匹……フランが四匹……フランが五匹…………違う、五匹目はフランじゃなくて、フランの姉さん…………あぁぁぁぁ……!?」
ーーー器用にもフランの弾幕、『過去を刻む大時計』と『フォーオブアカインド』を思い出しながら悶え苦しむこいしと封獣がいた。
確かに『過去を刻む大時計』も『不夜城レッド』も十字の弾幕だし、私とフランは髪や翼は違えど、これぞ運命共同体と言える程そっくりなのだからそれぞれこいしと封獣が想像しながら悶えるのも分かる。
……分かるけれど、所々ボロボロになって私の両脇に抱えられながら悶える声を聞いていると、なんというか地味な罪悪感に襲われてしまう。
上に上がったら、フランに頼んで『フォーオブアカインド』をしてもらって、分身達に二人を慰めてもらうことにしようかしら。
因みに勇儀はギリギリ脱出したものの、服の背中の部分が焼け落ちてしまい半裸になるという目に遭っていて非常に笑える姿となっていた。
あの状態で地底に残っていたから、下手をすれば地底の奴等が変なことを考えるかもしれないけれど……正に飛んで火に入る夏の虫、酒に続いて力試しも好きな勇儀にトラウマレベルで殺られて終わるわね。
「ま、まぁあれですね? 姐さんも時々何かしら『やり過ぎる』こともありましたし、その…………」
「あら、気を遣ってくれてありがとう。 でもね、時には、そっとしておいてくれるのも優しさなのよ……?」
「あっ、その、すみません!」
私が色々と考えている様子を、さっきのことを(悪い意味で)気にしていると思ったのか何とか気遣う言葉を使う尼僧、一輪に、敢えて合わせてかなり気にしている演技をしてみる。
それだけで一輪は慌て始め、面白い慌てっぷりを見せてくれた。
……まぁ、確かにちょっとは罪悪感のようなものに襲われているけれど、これくらいでこいしと封獣は怒ったりしないし、むしろちょっとしたスキンシップでしかない。
そうでなければ紅魔館で過ごす日常の中で、特にこいしは何回死んでいるのかしら……?
もう星の数ほどフランのレーヴァテインによって死んでいるわね。
「それにしても一つ気になるんだが、貴女がぬえの言っていた大切な人の姉なのか? ぬえからは、『レミリアという妖怪の妹のフランが私の大切な人』だと聞いていたのだが……」
「そういや最近ぬえと一緒に来てたルーミアも似たようなこと言ってたなぁ。 さっきもあの場にいたみたいだったけど、見事に糸に捕まってたから声をかけるのも忘れてたよ」
そういえば、事情と名前は聞いて私の名前は告げたけれど他のことは何も話してなかったわね。
(貞操的な意味で)危機を脱した直後で落ち着いてなかったといっても、紅魔館の主としても一人の淑女としても、何よりフランの姉として挨拶が遅れてるのは良くないわ!
「そうね……改めて、私は誇り高き吸血鬼であり紅魔館の主、そして貴女達が話したがっているフランの姉のレミリア・スカーレットよ。 正式な挨拶が遅れたこと、紅魔館の主として、フランの姉として謝罪させてもらうわ」
「えっ!? あ、いや、そのこちらこそ世話になっている身で丁寧にしていただき申し訳ない!」
「えええっと!? あっ、いつも友人のぬえがお世話になっています! ぬえと仲良くしていただいて本当に嬉しいです!」
「ムラサ、そこまで慌てずにまずは落ち着きなさい。姐さんに普段から穏やかに過ごすようにとの教えがあったでしょ?……それにしても、本当に丁寧な挨拶をありがとうございます」
穴の中を飛びながらではあるけれど、謝罪の意を込めて普段の挨拶よりも深い礼をすると不意を突かれたように驚き慌てふためくナズーリンとムラサ。
ナズーリンの方は少なくとも一つの勢力の主である私が頭を下げたことに驚いたのだろうけれど、ムラサは慌てるナズーリンを見て訳もわからずに驚いているみたいね。
何度も私とナズーリンを視線が行き来していたもの。
一輪は…………慌てる二人を見て逆に冷静になれたのね。
普段、フランも騒がしくなってしまう私とさとりを見て一輪のように冷静に……いや、むしろフランの方がいつも騒がしくなっていたわね……。
「まぁそこまで慌てなくて良いわ。 紅魔館……一つの勢力の主として、礼儀をわきまえることは当然だもの。 それと封獣はむしろこっちの方が世話になってるわね…………本当に、封獣が来てから私とフランが受けるさとりやこいし達の被害が減ったから!」
封獣が来てからのことを思い返してみれば、途端に沸き上がる封獣への強い感謝の念。
封獣が来てからというもの、さとりが私に迫ってきているところにいつの間にか現れて助けてくれたり、こいしやルーミアが盗み出したフランの下着を全力で取り返してくれたり、久々に私がフランと一緒に寝ているところに(性的に)襲い掛かろうとしてきたさとりの暴挙を止めてくれていたり…………うん、地霊殿とやらの件が終わったらフランと私の監視の元で一度だけ昼寝をする権利をあげようかしら?
……そうして一人、封獣への感謝の念にうち震えながら、そしてそんな私の様子を三人組が頭の上に疑問符を浮かべていると、気付けば紅魔館の地下室に辿り着いていた。
「……っと、さて、ここが私の紅魔館の地下室よ。 私にとっては単なる地下室ではなくて、かなり思い入れのある部屋なのだけれどね」
「ひ、ひろっ!? えっ、これ部屋なの!? 倉庫とか広間とかじゃなくて!!!?」
「家具も見た限りかなり上質じゃない……!? しかも見たことも無いようなものまである……!!」
「お、思っていたより大きな勢力だったのか……!? しかし、これは…………いや、そうなると……!」
とりあえず穴を抜けた場所が何処であるかを説明すると、地下室を見渡しておもわずといった様子で驚きの声をあげる三人組。
ムラサはひたすらに地下室の広さに驚き、先程は冷静であった一輪でさえもベッドや机に施された装飾等を見て声をあげている。
ナズーリンに至っては地下室の様子から紅魔館の勢力の大きさを改めて把握し直そうと自問自答を始めていた。
……まぁ元々はフランの部屋になりかけていた程の場所だから作りはしっかりしているし、三人組が驚くのもしょうがない。
しかし今はフランと一刻も早く会うためにも、そんな驚く様子を見ている暇もない。
今の私には、フランを愛でていることで得られるフラン分が決定的に不足しているのだ。
(実際のところフランが傍にいないと何時でも不足している)
「さぁ、早く上に上がるわよ。 フランが私を待ってるわ!」
「えっ、あっ、はい! ほら、ナズもムラサも驚いてないで早く着いていくわよ! 姐さんに会いたいでしょ!?」
待ちきれないとばかりに私が地下室の扉を潜り抜けようとすると、一番早く我に帰った一輪がすぐに他の二人を引き連れて後を着いてくる。
そして後ろ目に三人組が地下室から出たのを確認すると、私は歩いている暇など無いと地下室と紅魔館を繋ぐ螺旋階段の真ん中を飛び始めた。
するとやはり先程と同じように、螺旋階段の大きさに三人組が驚きの声を上げていたけれど、流石に地下室で慣れたのか驚きつつも私に遅れをとることはなかった。
……まぁ、例え立ち止まってしまうほど驚いてしまっていたとしても、私も一度止まって声をかけたけれど。
だって、そうしないとフランに怒られてしまうかもしれないもの!
「さぁ、そろそろ紅魔館の本館に着くわ。 着いたらすぐにフランの所に行くから、ちゃんと着いてらっしゃい」
「「「はいっ!」」」
どこか嬉しそうな感情が見え隠れする元気な返事に、なんとなくフランが楽しそうに笑っている姿を思い出して自然と頬が緩んでくる。
地底で別れてからそこまで時間が経ったというわけではないけれど、やはり片時もフランから離れたくない私にとってはフランの笑顔を思い出す程にフランに会いたくて堪らないのだ。
今、フランを避難させるようにメイド達は動いているはずだからフランは確実にメイド達が警護しやすい場所ーーー妖精メイド用の休憩室にいるはず。
地下室に繋がる螺旋階段と紅魔館を隔てている扉は丁度玉座の間を中心に通路の反対側、フランの部屋やこいし達の部屋がある場所の近くに通じているから、後は扉を出て真っ直ぐ進むだけでフランと会える。
そう思いながら私は三人組を伴い螺旋階段を登り、そして遂に螺旋階段を登り終えて紅魔館の本館に繋がる扉を開け放った…………その瞬間だった。
ーー……ガチャッ、キィッ!
「さて、ここが紅魔館の本館よ? 後はここを真っ直ぐ進むだけ「あっ! お、御嬢様!!!!!? 良かった、丁度良いところにいらっしゃいました!!!!」……って、そんなに慌ててどうしたのかしら? 突然とはいえ客人の前よ、早く落ち着きなさい」
「あっ、も、申し訳ありません!」
三人組に簡単且つ簡潔な紅魔館の紹介をして、早速フランの所に移動しようとした矢先に偶然扉の近くにいたメイドが慌てて近寄ってくる。
少なくとも今は三人組は客人であるから、紅魔館の主として紅魔館の看板に泥を塗るような真似はさせてはならない。
そう思って異様な慌て様をたしなめると、未だに落ち着いてはいないもののメイドはキッチリと謝罪をしていた。
「……さて、そろそろ落ち着いたようね。 それにしても一体何があってそんなに慌てていたのかしら? そこまで取り乱すということは何かしら問題が起きたのでしょう?」
「あ、その……御嬢様、本当に申し訳ありません!!!!」
「「「「?」」」」
メイドが落ち着くのを待ってから少しして、軽く落ち着いたメイドに一体何があったのかを問う。
すると突如泣きそうな程目を潤ませたメイドから返ってきた返事はーーーー
「侵入してきた賊に……妹様を、フランドール様を誘拐されてしまいました!!!!!!!!」
ーーーー私の理性を崩壊させるには、十分過ぎる一言だった。
ーーーーー
以上、レミリア暴走フラグ回でした!
……さぁて、次回は先に地底組を片付けよう!
早く地霊殿の建設段階まで入らないと、フランの出番が来ない!
そしてレミリアが暴走し続けてしまう!
……それにしても皆、あの人の事覚えてるかなぁ?
それではまた次回にてお会いしましょう!




