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イエローこと黄野とレッドこと紅の心配

携帯を切って、私は起こしていた上半身をベッドに横たえた。


しんどい。


両方のほっぺ、正しくは喉と頬の間が突っ張る違和感が合って、首を動かすと痛い。


熱が合ってぼうっとするし、鼻水が粘っこくなって息が詰まる。


ジュビー。


枕元にあるティッシュを取って、鼻をかむ。


つらいよぉ。


昨日の夜にはちょっとした違和感だった。朝起きたらこうだった。


なにかと健康でやってきただけに、病気になると弱る。


最近、ファイバーズで運動してるから体力は付いたはずだけど、病気とはまた違うみたい。


手を伸ばして、違和感のある左頬を撫でる。


見た目的にも引っ込まなかったら大変だけど、スコープを覗くのに大変そうなのも良くない。


せっかくオリンピックを目指す目標も出来たのになぁ。


とはいえ、考えてみたらファイバーズが始まってずっと誰も病気や怪我にならなかったのもすごいと思う。


私もそれなりには手洗いとか、うがいとか注意してきたような気がするけど……。


ジュビー。


私が居なくて大丈夫だろうか。


自惚れじゃないけど、私の狙撃はちょっとしたもんだと思う。


とはいえ、一番活躍できるのは敵が出てくる時で、それ以外は遠くの敵を倒して、前線を楽にするのが私の大体の役目だ。


その点で言えば、青島さんは別にそんなの無くてもその場でどうにか出来るし、何なら敵が近づいてくるまで狙撃して、近づいたら近づいたでどうにでも出来る。


むしろ、私を守る為の壁を作ってくれてる訳で……私が居なかったら、別に壁を作らなくても大丈夫かもしれない。


紅さんは最近、青島さんとかぶるような動きも出来てきて私よりいろいろ出来るようになってきたし、緑川君は大きい銃を使うようになって活躍も増えてきた。桃山ちゃんだって爆弾ですごいし。


ゴホゴホ。


うぅ……つらい。


病気で迷惑をかけるけど、ふらふらで戦いに出る方がもっと危ない。


携帯とかで遊びたいけど、今はしっかり眠って治さないと……来週には治すんだから。


私はそう考えて、気合いを入れて目をつぶった。


アイスクリームが食べたい。



通話を切ってから、僕はすこし不安になる。


本当に大丈夫だろうか? いつもは五人で四人になるのに。


そう考えてみたけれど、よくよく考えたら僕が居なくてもどうにでもなるなと思えた。


青島さんは強いし、リーダーシップもある。青島さんが僕にいろいろと教えてくれて居るのは感じているけれど、黄野さんや緑川君、桃山ちゃんのように専門的にこれだけという教え方はされてない。


無論、僕にだって役割があるのは感じている。


僕が動く事で、青島さんが全員のサポートに回れる。


そうすればチームとしてはグッと良い形になる。言うなれば前線で踏ん張るのが僕の役目だ。


けれどそれは同時に、誰かが抜けても青島さんが入れるという事でもあった。


僕が抜けても、僕以上に動ける青島さんがその穴を埋めてくれる。


それはいつもある安心感だった。結局の所、僕が——あるいは皆が戦えているのは後ろに青島さんが控えてくれて居るおかげだ。


青島さんがいなかったら大変なんてものじゃないけど、僕が居なくても大丈夫。


それに手が足りなくなるとしたら最初に怪人が現れる時だ。


敵がわらわら現れて、それを倒すのに人手が居る。


それも黄野さんの狙撃と、緑川君と桃山ちゃんの爆弾があれば大丈夫。


いろいろと大丈夫な要因を考えていたら、自分が要らないのでは無いかという気がちょぴりしてきた。


「……来週からもっと頑張ろう」


僕はそう言って、胸の前で拳を握った。ちょっと元気が出た。


こんな風に大丈夫かどうかと心配することを見越して、青島さんも電話をくれたに違いない。


それこそ大変になるのは青島さんで、そうであるのに応援の電話までくれたのだ。


大失敗……なんて事にならないように、頑張らないといけない。


同時に、服で悩んでいた事も思い出す。ピアノのコンクールに友人として出席するのにふさわしい格好というのはなんだろう?


とりあえず、ジーパンは無しで……ダボッとしてるよりは、スッとしたのがいいかな。


黒のほうが無難だから、こっちにしよう。


問題は上に着ていく服で……うーん、季節的にジャケットは暑いけど、上に何かを羽織っていくのはいいかもしれない。


これはこれで問題だなと思いながら、僕は着ていく服であれこれと悩んでいた。


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