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Brave Hearts  作者: 九JACK
セアラーデモライブ編
125/127

第122話 リバースバックアップ

 オープンされたカードは姿を現すより先に、土の中に潜り、千裕のフィールドまでやってくる。土から出てきた巨大な左腕がKnightを掴み上げた。

「[行方不明(アンノウン)の左腕]、オープン条件は三ダメージ目を受けること。何者だったかもわからない左腕は魔力を吸い、肥大化し、ひとりでに動くようになった。自らの本来の持ち主を探して彷徨いながら、人から命を吸っていく。アビリティにより、Knightに一ダメージ与える」

「くっ」

 コマンドチェックは当然あるが、ブランクである。ここでコマンドが出たとしても、リプレイコマンドくらいしか攻撃に繋げられるコマンドはない。

「強制ダメージ能力!」

「滅茶苦茶で悪役っぽい能力来たわね。さすが魔王といったところかしら」

「しかもあれは最初のターンから仕掛けていたリバースバックアップだ。千裕の猛攻やコマンドの引きを考えると、一ターンで三ダメージは普通にある話だからな」

 最初のターンに攻めなかったのは結果いい判断だったかもしれない、が、それは結果論だ。

 それに、これでもダメージは三対二。依然、千裕がリードしている。

「リバースバックアップ、オープン」

 クロハは左腕の隣にあったバックアップをオープンする。

「[隻腕の放浪者]。このカードのオープン条件も三ダメージ目を受けたとき。こちらはサイドを破壊する。さあ、堕ちろ、ウォシェ!」

「リバースバックアップ、オープン」

 ウォシェに伸びてきた手をがきん、と防ぐ大盾。それを構えるのはいたいけさの残る少女だ。

「[聖盾の守護者イオ]、ウォシェを守れ!」

 盾が放浪者の手を弾き、ウォシェが守られ、代わりにイオが消え去る。イオの盾は一度きりだ。

 さすがに最後の一枚は開かないが、それはそれで不気味さが漂う。

「ターンエンド」

 千裕が苦しげに宣言する。イオが残らない分、新たにカードをセットできる、と言えば聞こえはいいが、それは直後が自分のターンだった場合だ。

 得体の知れない不気味さを孕んで、クロハにターンが回る。

「ターンアップ、ドロー。Hellにエボルブ」

「ここでまたエボルブ?」

「利点はあるよ。Hellは地獄の門番とパワーが変わらないし、エボルブすることで、カードがダウンチャームに送られる」

「フィールドの効果でドロー?」

「ううん」

「ベリアルクロウはアビリティでアブソープションに戻る」

 しかもパワーアップのおまけ付きだ。しかも先程オープンされたバックアップたちはイオと違い、そのままアドベントされている。展開するのはサイドだけでいい。

「[黄泉帰りの老爺]と[おばけのぱっち]をアドベント」

 なかなかいい布陣だ。[黄泉帰りの老爺]は貴重なパワー系アーミーであり、味方のパワーアップもできるといった感じで汎用性の高いアーミーである。

「老爺で攻撃」

「アンシェルター」

 ダメージはブランク。三対三。ダメージが並ぶ。千裕にはリバースバックアップが一枚あるが、発動条件は引っかからないらしい。

「Hellの攻撃。左腕のバックアップ付きだ」

 Hellはパワー6000。そこにアブソープションのパワー3000が上乗せされ、ベリアルクロウのアビリティで更にプラス3000。左腕は奴隷アーミーであるため、バックアップパワーは3000と低い。

 が。

「[隻腕の放浪者]のピンポイントアビリティ。探し求めていた腕がそこにあるとき、自身と左腕のパワーをプラス5000する」

 なんとなく、カード名で察してはいたが、やはりこの左腕は放浪者の左腕らしい。もう形が変わりすぎて元に戻ることはできないようだが、それでも元々は一つだった者同士、補い合うことはできるということだろう。

 Hellのパワーが上がったこともさることながら、次のぱっちの攻撃も放浪者のバックアップがつくため、パワーは充分千裕のKnightに届く。

 千裕のダメージは三。アンシェルターをするとクリティカルコマンドが出たときにヒーリングコマンド頼みになってしまう。

 千裕のKnightは12000、クロハのHellは20000パワーである。

「……ウォシェと[孤狼(ウェアウルフ)]でシェルター」

「え、正気!?」

 アミが思わず突っ込む。ウォシェも孤狼(ウェアウルフ)もシェルター値は5000。つまり合計で10000シェルターだ。22000のKnightはコマンドを出されてしまったら、攻撃が通ってしまう。コマンドを警戒してのシェルターだとしたら、あまりにも無意味なのだ。

 リバースバックアップにしたのかもしれないが、千裕の手札には少なくとも最初のターンのコマンドで出たシェルター10000のディーヴァがいるはずである。そちらでシェルターした方がいいはずだ。

「いや、千裕に考えがあるのかもしれない」

 昴は千裕を見る。

 千裕の表情は静かだ。焦っている様子は見られない。元々、こんな凡ミスは犯さない。何か考えがある、と昴は確信していた。

 クロハのブレイヴコマンドチェック。

「ドローコマンド。センターにパワー、一枚ドロー」

「ああっ」

 攻撃が通ってしまう。クリティカルでなかったとはいえ、首の皮一枚まで千裕は追い込まれる。ダメージコマンドはブランク。

 けれど、千裕の目が揺らぐことはなかった。

「リバースバックアップ、オープン」

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