第116話 パワーVSシェルター
聖霊の巫女の放つ光に、分身したパックがまとわりつき、光がBURNの体にぶつかって弾ける。
昴に1ダメージ。コマンドは両者共ブランク。
「アタックがヒットしたので、パックのアビリティ発動! パックをダウンチャームに送ることで、山札の一番上を確認。それがコマンドアーミーなら、アビリティを発動させる」
ポックルが山札をめくると、出てきたのは[湖の霊ローレライ]リプレイコマンドアーミーだ。
「アビリティ発動。コマンド効果をセンターに反映する。もう一度だ!」
更にコマンドの効果にはパワーアップもある。聖霊の巫女は単体でも充分攻撃が通るアタッカーとなった。しかも公開したローレライは手札に加わる。
「再攻撃!」
「アンシェルター」
「ブレイヴコマンドチェック、ブランク。だけど出たカードは[深霊の巫女]、[巫女]が名前に入っているアーミーカードだから、フィールド[泉の鳴き声]のアビリティ発動だよ! 1枚と巫女の階級の分だけドロー」
このとき、階級に対応する枚数は奴隷アーミーが0、志願兵アーミーが1、正規兵アーミーが2となる。[深霊の巫女]は志願兵アーミーであるため、1枚プラス1枚で合計2枚ドローとなる。
青属性の防御特化はチャームチャージガードなどの防御系アビリティもあるが、手札が厚いことによる物理的なシェルター要員の多さもある。しかも、ポックルの編成は志願兵と奴隷といった下級アーミーを中心とするもの。パワーが低い代わりに強力なアビリティとシェルターを持つアーミーが多い。
手札による防御。単純だが、侮れないものだ。
「ターンエンド」
「俺のターン、ドロー」
昴はダメージ2を食らったものの、その手札はほとんど減っていない。[炎竜の咆哮]により、一枚出せば盤面は簡単に整うからだ。
しかも、[炎竜の咆哮]により、前列のアーミーはパワーアップを得る。減らない手札と万全の盤面、そこにパワーが乗れば、防ぐのは難しくなる。
そんな昴の強さをポックルは存分に知っていた。
ただし、そんな昴のデッキにも欠点はある。欠点なんて、どんなデッキにもあるものだけれど。昴はドラゴンアーミーを積んでいるわけではない。炎霊シリーズのゴーストアーミー、ドラゴンアーミーと連携ができる[竜の友]シリーズはヒューマンアーミーである。[炎竜の咆哮]が竜を呼び合うフィールドであるなら、昴のデッキはそれに完全に対応しているわけではなかった。
「[竜の友ウェイド]をアドベント。ウェイドのアビリティ。リバースバックアップがあるなら、それを公開する。リバースバックアップオープン」
先のターンで開かれることがなかった昴のリバースバックアップ。オープンされたのは[炎霊ほむら]だった。
「ドラゴンアーミーではないため、ほむらを手札に戻す。アビリティでBURNにパワープラス5000」
ウェイドはヒューマンアーミーであるため、フィールドによる連鎖は起こらない。昴はそこからリバースバックアップを新たに一枚セットし、バトルシーンへ。
「ウェイドのバックアップ、フレイムサラマンドラの攻撃!」
「アンシェルター。ダメージコマンドチェック、ブランクだよ」
「BURNの攻撃!」
「アンシェルター!」
「ブレイヴコマンドチェック……[炎竜の子サラマンドラ]クリティカルコマンドだ」
クリティカルはBURNに、パワーはフレイムガトリンガーに付与される。
「ダメージコマンド、一枚目……[水霊の巫女]だ。フィールドの能力が発動するよ」
昴は驚いた。[水霊の巫女]は階級が正規兵だったのだ。つまりこれでポックルは三枚ドロー。
アブソープションの手助けなしでも、手札という壁が厚くなるため、攻撃が通らなくなる。
「二枚目……ヒーリングコマンドゲット!」
ダメージが1回復される。タイミングの妙というやつだ。
ダメージは2対2。まだ昴の攻撃は残っているが……
「アラクのバックアップ、フレイムガトリンガーの攻撃!」
「リバースバックアップ、オープン!」
出てきたのは[はたらき者ブラウニー]
「オープン条件は3ダメージ目以降の相手の攻撃時」
「え、待って、ポックルのダメージはまだ2で」
昴が指摘しようとすると、ポックルはふふふ、と得意げに笑った。
「スバル、ぼくはヒーリングコマンドで回復しただけで、3ダメージは受けている。その証拠にスバルはブレイヴポイントを3つ持ってる」
「あ」
コマンドで回復しようと、ダメージを受けた事実は変わらない。ブレイヴポイントは与えたダメージの分だけ手に入れられるのだ。ヒーリングコマンドを相手が引こうと、3ダメージを入れたことは変わらないため、昴のブレイヴポイントは3ある。
それと同じで、ダメージ数をカウントするのではなく、実質受けたダメージ数を参照するのがブラウニーのオープン条件である。
「オープン時、シェルターサークルにアーミーがアドベントされていないとき、ブラウニーはシェルターサークルに移動する!」
「えっ」
けれど、ブラウニーは奴隷アーミーと言えど、シェルター値は10000しかない。まだフレイムガトリンガーのパワーの方が高いが……
「で、ブラウニーのシェルターサークルでのアビリティ発動! チャームゾーンにカードがあるなら、他のアーミーをシェルターに呼び出せない代わりに、攻撃を無効化する!」
「うえっ」
これまで、センターのパワーアップや相手アーミーのパワーダウン、チャームチャージガードなど様々な防御法を見てきたが、これは反則級に強い。ラストアタックのときなんかに出されたら、たまったものではないだろう。
破壊特化の黄属性ならば、シェルターアーミーをも破壊しうるかもしれないが、残念ながら、昴のデッキにそのようなアビリティのアーミーはいない。
「やるね、ポックル。ターンエンド」
「ふふん。ぼくだって、強くなりたいんだ」
再び、ポックルのターンだ。




