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呪われ黒騎士の英雄譚 ~脱げない鎧で救国の英雄になります~  作者: さとう
第四章

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冥府六将『罪滅』のエクスパシオン

 魔界。

 魔界は、六つの地域に分かれ、それぞれ一つの地域を『冥府六将』が管理し、冥府六将の下には三人の高位魔装者が補佐に付き、その地域を管理している。

 冥府六将、三人の高位魔装者、その下にさらに魔人……そして、その地域に住む魔人たち。

 一つの地域には、一柱の『魔神』を信仰し、崇める文化があった。

 

「で? ヴァルケンくん、死んじゃったの?」

「は、はい……申し訳、ございません」


 魔界『罪滅』区。

 『紺玄金斗』カトレアは、冥府六将『罪滅』エクスパシオンの前に跪いていた。

 エクスパシオンは、どこか安っぽい椅子に深く腰掛け、欠伸をする。


「そっかぁ……彼、いい子だったんだけどねぇ」


 真っ白な髪は所々がツンツン跳ね、頭には仮面が引っかけてあった。

 服装は、黒を基調としたダークスーツで、胸元が大きく開き、首にはチェーンが掛かっている。

 場所は、魔界『罪滅』区にある、エクスパシオンの執務室。元々豪華な調度品で満たされた部屋だったのだが、豪華な物を嫌うエクスパシオンが、わざわざ安っぽい椅子とテーブルを運ばせた。

 カトレアは言う。


「人間側に付いた魔人……ダンテと名乗る魔装者が、ヴァルケンを殺しました」

「ああ、知ってる。『蛇』が見ていたからね」


 そう言うと、カトレアの背後に、顔色の悪い少女が現れた。

 ショートヘアの、首に蛇を巻き付けた少女だ。

 よく見ると、蛇は本物ではない。鉄で出来たニセモノだった。


「シュネク……いつの間に」

「……ずっといた」


 か細い、今にも消えそうな声で言う少女、シュネク。

 エクスパシオンは「あはは」と笑い、テーブルの上に足を乗せ、後頭部で腕を組む。


「暗黒鎧のダンテくんかぁ。どの神を信仰しているのか知らないけど、まさか魔神を裏切って、魔神の天敵である女神の眷属である人間に着くとはねぇ」

「…………」

「そして、オレの可愛い部下を殺し、食らったと……うんうん」

「え、エクスパシオン様……」


 エクスパシオンは笑っていた。

 そして、椅子を掴んで足を振り上げ、テーブルを跳び越すように飛んで立ち上がる。


「さて、どうする?」

「……え?」

「ヴァルケンくんが死んじゃった以上、このまま見過ごすわけにはいかないでしょ~? カトレアちゃん、シュネクちゃんの二人でその魔装者と戦うかい?」

「そ、それは」

「うん、無理だねぇ。間違いなく、女神の使徒である『七曜騎士』が現れる。それに、一人は一番未熟なのに、一番伸びしろのある少女だって言うしねえ」


 レイアースのことだった。

 決戦技、そして女神軍勢を同時に発現させたことは、エクスパシオンにとっても驚きだった。


「三人の魔装者のうち一人が殺され、残る二人じゃ倒せない。じゃあどうする?」

「……ま、まさか」


 エクスパシオンはカトレアに顔を近づけると、子供のようにほほ笑んだ。


「もう、オレが行くしかないよねえ?」

「そ、それはさすがに……まさか、冥府六将自ら出向くなんて」

「まあね。でも最近は運動不足だしねえ、リンボ様もお忙しいのか、ちっともお声がけしてくださらない。少しは、外出してもいいと思わないかい?」

「え、えっと……」

「それに~……部下が死んだなんて、他の五人に知られたら馬鹿にされるだろ~?」

「…………」


 どうも、それが本音のように聞こえた。

 カトレアは何も言わず、シュネクも隣で跪いたまま動かない。


「はい決まり。じゃ、ダンテくんだっけ? まずはスカウトだねぇ」

「え」

「ヴァルケンくんを倒したんだ。オレの部下にするのも悪くないよ」

「……し、しかし」

「ま、ダメだったら殺すさ。ふふ、じゃあ二人とも、お出かけの用意をしてくれ」

「……ほ、本当に参るのですか」


 カトレアは、まだ信じられなかった。

 冥府六将が、管理する土地を離れるなんて、聞いたことがない。

 

「心配性だねえ、カトレアは。さあさあ、久しぶりに楽しもうじゃないか」

「…………は、はい」


 こうして、冥府六将『罪滅』のエクスパシオンが、魔界を出た。

 向かうは人間界。そして、ラクレスの元。


 この、魔界最強戦力の一つが人間界に向かうことを……ラクレスは、まだ知らない。

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月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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