第94話 懐かしい顔
「じゃあ磯さん、そろそろ行きましょうか」
「はいっ」
俺と磯さんがファストフード店を出ようと席を立とうとしたまさにその時――
「おっ、懐かしい奴がいるじゃんか」
店に入ってきた大男が聞き覚えのある声を放った。
「桜庭っ……!?」
その大男とは桜庭という高校で出会った顔はいいが性格の悪いいけ好かない奴だった。
こいつのいじめを見て見ぬ振りできなかったせいで俺は高校を退学になったという過去がある。
そんな俺とは浅からず因縁のある桜庭だったが俺に気付いた様子はなくレジに並んでいた背の低い少年に向かって言葉を投げかけているようだった。
「おい、無視すんなよっ」
「……」
桜庭に背中を叩かれても振り向くどころか微動だにしない少年。
すると、
「おおっ、伊集院じゃん」
「マジっ!? ヤベー」
「相変わらずちっせーな」
桜庭の連れが続々と店に入ってきた。
そいつらも俺には見覚えのある顔ばかりだった。
坊主頭にロン毛に天然パーマ。
桜庭と同様俺がまだ高校に通っていた時のクラスのヒエラルキーの頂点にいた一軍連中だ。
ん? ってことは伊集院って呼ばれているあの少年はもしかして……。
俺は桜庭たちに対して完全無視を決め込んでいる少年をよくよく見直してみた。
するとどうだろう、
「あ……あいつ、伊集院陽太か……?」
俺はその少年にも見覚えがあった。
というより覚えていて当然だ。むしろ今の今まで気付かなかったことの方がどうかしている。
「佐倉さん、あの方たちお知り合いですかぁ?」
きょとん顔の磯さん。
「え、ええ、高校の時の知り合いです」
俺はそう答えるが知り合いなんて生易しいものじゃない。
いじめの加害者である桜庭たちとその被害者である伊集院陽太。
あいつらの嘘の証言のせいで俺は高校を退学することになったのだから。
『ダンジョン・ニート・ダンジョン ~ダンジョン攻略でお金が稼げるようになったニートは有り余る時間でダンジョンに潜る~』
という小説も書いているのでとりあえずブクマだけでもよろしくお願いいたしますm(__)m




