第90話 ガルガンチュア
ダークライガーにのみこまれた俺は一人亜空間に閉じ込められてしまっていた。
俺がやられてしまったと思っているのだろうか外では磯さんが涙ながらに「佐倉さぁんっ!」と俺の名前を叫んでいる。
「一応俺は無事ですよ、磯さんっ」
返事をしてみるがこっちの声も姿も磯さんには届いていないようだ。
しかし無事とはいえど、この亜空間から抜け出す方法を考えないとな。
俺はすでに攻撃魔法を試みていたが魔法は壁に吸収されるだけで壁を破壊することはかなわないでいる。
帰還石を持っていればここから出ることも出来たかもしれないがピンチに陥った時に一人で逃げてもらえるように俺は帰還石を磯さんに預けてしまっていた。
どうするか……?
いちかばちか全力でこの壁を殴りつけてみるか。
そう思い壁の前にすっと立つと、
「佐倉さんわたしっ……」
磯さんは涙を手で拭うと肩にかけたバッグの中に手を突っ込んでいそいそとまさぐり始めた。
どうやら預けておいた帰還石を使うつもりだな。
だが俺の予想は外れ磯さんはバッグから使用用途が不明なままのアイテムであるガルガンチュアとエクゾディアを取り出した。
「佐倉さんわたし……佐倉さんの仇をうちますぅっ!」
逃げればいいものを力強くそう宣言する磯さん。
いや、俺まだ死んでないんですけど……。
「ダークライガーさんいきますよっ」
そう言って磯さんはガラスで出来たような人型のアイテム、ガルガンチュアを天に掲げた。
……。
……。
何も起こらない。
「えぇ~、な、なんで何も起こらないんですかぁ~っ!?」
その後も「えいっ。えいっ!」とガルガンチュアを振り回す磯さん。
それをただじっと眺めるダークライガーと俺。
すると、
ガシャン!
「きゃっ!」
手が滑ったのか磯さんはガルガンチュアを地面に叩きつけ割ってしまった。
「あぁ~っ、割れちゃいましたぁ~……」
とその時だった。
「えぇ? な、なんですかぁ~っ!?」
割れたガルガンチュアの中から大量の煙がもくもくと発生しそれとともに巨大な人型のロボットが突如として現れたのだった。
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