第160話 硬い畝のダンジョン地下二階
「高野っ。どこにいるっ?」
「わたしはここですっ」
高野は言いながら俺の左肩に手を置いた。
「絶対俺から離れるなよっ。それとメドューサとも絶対に目を合わせるなっ」
「オッケーですっ」
硬い畝のダンジョン地下二階。
俺たちはメドューサの大群に通路の前後で挟み撃ちにされていた。
『フシュー……』
『フシュー……』
『フシュー……』
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目を合わせると石にされてしまうので俺は顔を下に向けながらメドューサたちを迎え撃つ。
どさくさまぎれで高野を間違って攻撃しないように注意しつつ、
「スキル、火炎魔法ランク10っ」
巨大な炎の玉を前方にいるメドューサたちに放った。
『ギィヤアァーッ……!』
『ギィヤアァーッ……!』
『ギィヤアァーッ……!』
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《佐倉真琴のレベルが64上がりました》
メドューサたちが一瞬で灰と化す中、
「真琴さん、後ろっ!」
俺は振り向きざまメドューサの首を手刀で斬り飛ばすとその流れで、
「スキル、氷結魔法ランク10っ」
と唱える。
刹那、襲い掛かってきていたメドューサたちが一斉に凍りついた。
「寒っ、ていうか真琴さんて氷結魔法も使えるんですね……あ、もう目を合わせても大丈夫みたいですよっ」
と【透明化】の効果が切れて姿を現した高野がメドューサの目を覗き込みながら声を弾ませる。
「おい、勝手なことするなよな。もし石化したらどうするんだよ」
「は~い、ごめんなさい」
およそ反省していない様子で口をとがらせる高野。
心配して言ってやっているのになんだその口は。
俺は氷漬けになったメドューサたちを次々と砕き割り消滅させていった。
《佐倉真琴のレベルが52上がりました》
☆ ☆ ☆
「スキル、透明化っ。スキル、忍び足っ」
高野はスキルの【透明化】と【忍び足】を発動させて俺の目の前から完全に消え去ると、
「さっ、行きましょう」
俺の前を行こうとする。
「こら、俺の前を歩くな。左横を歩け」
姿が見えないのだから誤って攻撃してしまうかもしれないだろうが。
「わかってますって」
そう言うと俺の左腕にどんっと何かが当たった。
おそらく高野がふざけて軽く体をぶつけてきたのだろう。
「まったく……しょうがない奴だな」
高野を横に従え歩き出そうとした時、
「ぅん? もしかして、そこにいるのは佐倉くん……?」
後方から少年のかすれた声で俺の名前が呼ばれた。
「え……?」
聞き覚えのあるその声に反応して振り返ると、
「あっ、お前っ……!?」
そこには久方ぶりの伊集院の姿があった。
最強の男(仮)という小説も書いていますので、お時間があれば一度読んでみてください。




