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動力になりそうなものが見つかるわけもなく、そのまま飲み会も終わっていつもの一週間に戻るわけですが、いつもの薬草キノコ採取をしていると今までとかなり違う事が一つ。
「アレ?撫子?調子でも悪いの?」
ぺちぺち
否定の返事が返って来るのですが、今まではキノコ採取をするとすぐに食べていたのですが、キノコをあまり食べず普通にキノコがリュックの中に残る事に。
「えーっと、本当に大丈夫?」
すりすり
大丈夫という事らしいので、無理に食べろとは言わないのですが改めて撫子を見ても何も変化はなく、何コッチ見ているの?って顔でこちらを見て来るだけ。
考えてみるとヘビが食べるモノがキノコって普通じゃないのですが、ここは地球じゃないので普通じゃない事もあり得ないとは言えないとはいえ、それでもおかしかったと考えるともしかしたら撫子の食性の変化でもあったかと考えないといけないわけで。
「食べ物の変化でもあった?」
すりすり
おお?本当に?と、思うところはないわけではないのですが確認してみるとそんな返事が返ってきます。
「何を食べるの?」
ぺちぺち
聞いた言葉に対しての否定が返ってくるのはよくある事なのでそこまで変な事ではないのですが、長い付き合いもあってその返事の意味が何となく分かって。
「もしかして、食べない?」
すりすり
そうなって来ると今まで食べていたキノコは何?となるわけですが、正直言葉を理解するヘビが居るという時点で地球とは違うのは明らか。
「こういう時に悩みすぎないのが鈍感力の始まりってレベッカさんは言っていたけど……そんなんでいいのかな?」
すりすり
まさかの返事を撫子から貰う事になって、思わず苦笑いをしてしまいますが、再確認が必要な事は確かなので、撫子にしっかりと聞く事だけは聞いておきます。
「食事、無くて大丈夫なの?」
すりすり
「何かしてあげた方がいい事とかはある?」
ぺちぺち
「今までと一緒でいいっていう理解で大丈夫?」
すりすりぺちぺち
今までとちょっとだけ違う部分は必要みたいですが、概ねこのままで問題は無いという返事だったので、もう少しこの話は詰める必要があるわけですが、ぺちぺちと撫子がいつまで喋っているの?手を動かしなさい?という感じに見て来るので、薬草とキノコ採取再開。
そんな事があったいつもの採取の帰り道。
普通にキャンプで休憩をしてついでに撫子の食事の話を色々と聞いたのですが、何か物理的に与える必要はどうやらないみたいで、何かを新しく欲しいという事ではないみたいだったので、何も用意は必要ないという事は分かったのですが、結局なにが必要なのかは分からなかったのですが、明らかに怪しいモノが一つあるわけで。
「キノコ、だよなぁ」
そもそもヘビが食べるモノとして明らかにおかしかったのは分かっているのですが、それが今更いらなくなるというのもおかしな話。
じゃあ、キノコが地球違うこっちの世界でどういうものなのかと考えてみると、普通に食材という意味での変わりはなく、昨日だって夕食にキノコは食べているわけで。
そしていつも撫子が食べているキノコも別に普通のキノコに違いなく、自分達も食べる事のあるものだという事は結構前に分かっている事なので、あまり気にしていなかったのですが、今更食べなくなるとなれば話は変わってくるわけで。
「キノコを動力って言うのは流石に難しいか?」
自分で口に出してみて考えてみるのですが、やっぱりちょっと難しそうな感じはあって。
具体的に何が難しいか考えてみると、栄養の部分がやっぱりネック。
キノコの生育に必要なモノって確か色々と普通の植物と違ったことを思い出します。
基本的にキノコは米ぬかやコーヒー屑などの人も使うものやもっとわかりやすいモノだと木屑などが菌床になって、更に水分も必要で。
「水がずっと出続けて、更に栄養になるものが必要って……無理だもんなぁ」
ほんの一瞬、いい思い付きか?と思ったのですが、やっぱり思い付きはただの思い付きだったみたいで、すぐにこれは意味がない事に気がついたので何か他にもいい動力になりそうなものが無いか考えてみるのですが、そんな簡単に思い浮かぶのであればこんなに月日が経つこともなく。
「とりあえず、食事が必要なくなったって事は今までよりは少しだけ収入はよくなるかな?」
すりすり
撫子が返事をしてくれて、今までは薬草だけの収入でしたがキノコの分が少しですが収入に加算。
収入にもちょっとした変化が現れる事になる事に。
そんな変化はあるモノの、それ以上に大きな変化はなく。
変わらない毎日が続くのですが、キノコを食べなくなった撫子。
食事がどうなるのかと思っていたのですが、いつも通りに今日の納品が終わって体を拭いて後は夕食となるわけですが、今まではついてくることは殆ど無かったのですが、最近は一緒に付いてきて、自分の食事のうちの一品の欠片ぐらいを食べるように。
それを見て、レベッカさんや門番の二人が餌付けできるの?と驚きながらも少しだけご飯をあげるように変わっていくことに。




