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 やることが決まっている探索というのは何も目的がない時に比べれば行く時の気持ちも全然違ってくるもので。


「他にもボタンの一つでも見つかればいいんだけどね?」

「ですね。まあ、開く場所の一つでも見つかると嬉しいんですけどね」


 今もそうですが、何も進展が無いというのが結構辛いモノで。

 何かしら見つからないとここに来ない日のやる気が違ってきて、一応いつも通りの薬草やキノコ採取はするのですが、そこまでいい感じに頑張ったという感じにならなかったりするのは人間の性でしょうか?


「まあ、とりあえずはいつもの作業よね?」

「ですね」


 正直毎週のように持ち出している武器や防具からの情報というのが殆ど無いので、こっちからの閃きや発見というのは難しそうですが、それでもやはり不思議に思う事はあって。


「ココの武器や防具もなくならないですよね」

「毎週少しずつ持ち出しているとはいっても、普通はなくなる事もあるはずなのにね?」

「あー、やっぱりここの遺跡だけ普通じゃない感じですか?」

「そうなのよね。普通は武器も防具も回収し終わると空っぽになるのよ?でも、ここは来る(たび)にあるのよね」

「誰も運んだ様子はないんですよね」

「そこが一番おかしいところよね」


 この遺跡に誰かが運ぶ様子はなく、だからと言って何かが稼働している様子もない訳ですが、普通に考えて何かしら自分達がいない間に稼働して、補充しているぐらいしか考えられないのですが、もしそうだとしてもそれを証明できるものがないわけで。


「まあ、ロープの話と一緒で考えても分からない事は考えても仕方がないし、とりあえずいつもの作業だけしちゃいましょ?」

「ですね」


 いつも通りに到着してから、まずは武器や防具を入り口近くまで移動して、その作業が終わって後は帰るだけという状態にしてから今回は足もとのボタンを押しつつ何かしらの変化が無いか確認をするわけですが、それにしても門番の二人もレベッカさんも結構さっぱりした考え方をするなぁと昨日から思っていたので、ちょっとだけ気になったというのもあって聞いてみる事に。


「なんで皆さんってそんなによく言えば割り切れているというか、無関心というかそんなスタンスなんです?」

「あー、多分そういう風に育てられた……というか、詳しくは分からないけどその方がお得(・・)?なのよね?」

「お得?って、得をするって事ですか?」

「んー、違うけどあっているというか……説明をしろと言われると難しいけど、そうねぇ……んー、生きやすいって言うのが分かりやすいかしら?」

「生きやすい?ですか?」


 意味があまりわからないので聞いてみたのですが、帰ってきた言葉は自分にとってはかなり意外なモノ。


「私も一応こっちに来るまでは色々とあってね?その中でも頑張ったんだけど、最終的に必要な力が一つあって、それが言葉にすると変な感じかもしれないけど鈍感な力なのよ」

「鈍感な力?」

「気をつかうとか、親身になって話を聞くとかそういうのが悪いって話じゃないんだけど、そればかりだとやっぱり疲れちゃうじゃない?」

「まあ、言いたいことは分かります」

「知らない事をあーでもない、こーでもないっていくら考えても殆どの場合答えにたどり着くことは無いし、考えている間に他のチャンスを逃す場合もあるでしょ?そういうのが無駄だとは言わないけど、まあいいやって一言で放置できるようになると、結構楽なのよ?」


 どちらかと言えば周りの様子を気にして、自分としてはそこまで身を引いていたつもりは無いのですが、周りの空気を読んで言いたいこともあまり言えないでここまで来てしまっている自分の人生。それを否定された……と、一瞬思ったのですがレベッカさんの目は全くそんな否定をしているような人の目には見えず。

 寧ろ、こちらの気持ちを慮っているような鈍感とは正反対の目。


「身に着けたってさっきも言ったでしょ?」

「レベッカさんもどちらかと言えば、敏感な人ってことですかね?」

「そりゃあ、そうでしょ?ここまで気がきくお姉さん、見ていないでしょ?」

「そうですね」


 考えなくても、自分がこっちの世界に来てからいつも気を使ってもらっていたのはレベッカさんで、命を危険に晒したときも心配をしてくれたのは彼女。

 そんなことをふと考えていたのですが、珍しく撫子がペチペチといつもにはない反応を。


「どうかした?」


 ぺちぺちぺちぺち


 ちょっとだけ怒っているような、少しだけ呆れているような、どっちと取ればいいのか微妙に分からないような反応を撫子がしてくれたのですが、ハッと一つ気がつくことに。


「あー、口を動かさないで手を動かせって事?」


すりすり


 どうやら喋る事に夢中になっていたことを叱る為のペチペチだったみたいで、頭を撫でてわかったと返事をすれば、すりすりともう一度体を寄せてくれます。


「だ、そうです」

「そうね。後でまた時間がある時に鈍感の力については話すわ」

「ええ、お願いします」


 とりあえず今日の作業をさっさと終わらせて、足元のボタンを押して何か変化がないのかを見るとしましょうか。



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