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大きく吹き飛ばされた男性ハンターはいきなり大声を上げると槍を大きく振り回し、それを避けるように火竜は後に下がるような動きをした後、地面に着地。
いきなり大きな声が上がったので、それを怖がっているようにもみえたのですが今度はその隙を狙って女性ハンターがまた尻尾を狙った一撃を決めます。
これほど切っているのに尻尾が切れる様子はないのが不思議な所ではあるのですが、その一撃はかなり痛かったみたいで今度は火竜が喚きながらダッシュを適当に始めます。
ただのダッシュは体当たりと一緒で体格差があるので人間が食らってしまうとひとたまりもない様な威力に見えるわけですが、それだけでも脅威の攻撃に追加があって、それはさっきからもやっている口からの火の攻撃。
口に火を溜めるとボッという重い音と一緒に飛び出す火の玉は質量もそうですが、やけどしそうなほどの熱さもあって、下手にあの火を対処しようとすると困りそうな威力に見えるモノ。それを走りながら吐きながらとどっちも同時にやって来るので二人のハンターはかなりきつそうな感じに見えるのですが、攻撃役を男性と女性でたびたびスイッチするので、火竜も狙いが定められないみたいで狙われていない間にお互い回復薬を服用しているのが見えていて、かなり二人のハンターが熟練だという事が分かります。
「この様子だと、大丈夫かな?」
すりすり……ペチペチペチペチ
ん?と、今までにない動きを撫子がしているので、一瞬意味が分からなかったのですがその意味はすぐに分かる事に。
「ちょっ、マジか」「やるよっ!」「本気か?」「時間がないっ!」「分かったっ!!!」
二人の声が奥の方で聞こえるのですが、ランダムに走っていた火竜はいつの間にかこっちの方に来ていたみたいで、陰に隠れているにもかかわらず首を上下に動かしながら何か匂いを嗅ぐような動きをしたかと思うと、口元に火を溜めてボッ、ボッと三発の火の玉をこちらに向けて放ってきます。
幸いなことに火の玉が自分達に当たることは無かったのですが、自分達が隠れていた草は奇麗に燃えて、火竜と自分の間に遮るものは何一つない状態に。
「……こんにちは?」
挨拶をしている場合ではないのですが、出来る事なんてそんなものだけ。
餌があるようにしか見えていないのか今まで以上に目をスゥーっと細めてこちらを狙う様な動きで火をもう一度吐いて来たのですが、自分と火竜の間に滑り込むように入ってきたのは男性ハンター。
「もうここは無理だから、キャンプまで下がってくれ」
「はいっ」
「あと、申し訳ないがこのまま先に帰っていてくれるか?」
「え?」
「この周りにいるだけでこいつは匂いを追って来る可能性があるから、キャンプ地も危ない。そのままギルドまでアウェクルに乗って帰ってくれ」
「大丈夫ですよね?」
「ああ」
そんな会話を男性ハンターとすると、隙を見せたと言わんばかりに女性ハンターがまたも背中を狙って大剣の一撃を狙おうとするのですが、その動き覚えたぞと言わんばかりにぎゅるんと首を回すと、ノールックな火の玉を後ろに向かって吐き、その一撃を思いっきり女性ハンターが食らいます。
「いけっ!!」
男性ハンターが大きな声をあげて指示してきたので、返事は頷きだけで振り返らずに行こうとしたのですが、ちょうど目に入ってきたのは倒れている女性ハンターを火竜が両足でつかむ動き。
「掴まれたらっこっちのもんだっ!!」
明らかに連れ去られそうになっている動きを見てにやりと笑う男性ハンターと本当に大丈夫?という気持ちの自分の板挟みでしたが、振り返ることなくこの場を後にすると、女性の悲鳴が。
色々とどうしたらいいという気持ちがあって戻りたい気持ちが無いと言えば嘘になるのですが、自分が居ても役には立たない事も分かっているので、振り向かず出来るだけ急いでこの場所から離れる事にしたのですが、いつもの場所を抜けあと一つのフロアを過ぎるとキャンプ地という場所まで戻る時に、また女性の悲鳴が聞こえて。
流石にここからは見えないだろうと思いながらも、さっきまでいた方向を確認すると、女性ハンターの隣に男性ハンターも一緒に足につかまっている状態に。
「え?え?」
ワザとつかまって、巣穴等で何かをするつもりの可能性もあるのでただやられているだけという訳ではないと思ってはいるのですが、それでも人が火竜につるされている状態を遠目で見るとかなり危なそうにしか見えない状態。
これ以上見ているとこっちの心臓も持たない気がしてきたので、急いでキャンプ地に戻ると自分の乗ってきたアウェクルは勝手に縄を外していて、いつでも動ける状態だと言わんばかりの顔でこちらを見てきます。
「急いで帰れって。すぐにのせてくれる?」
アウェクルは一鳴きすると、残りの二匹になにやら鳴き声で話しかけすぐにここを出る動きをしてくれるのですが、丘のキャンプを離れようとしたその時、明らかに今までと違う男のハンターさんの声が聞こえて。
その動きというのは、遠くに見えている火竜の足からパッと落ちるように見えて。
「あの高さから……は……急いで報告しに戻ろう」
すりすり
流石にアレは無理だろうという高さからの落下。かなりアウェクルの足は速いので急いで村に戻って報告をしましょう。
モンスターなハンターのゲームをした事がある人だと何となく分かっていただけると思うのですが、崖から落ちても、火を吹かれても……です。
別に死んでほしかったわけではないのですが、あの二人を倒す事って……出来るのかな?
と、ここ数日悩んでいたのですがどうやら私にはあの二人はまだ倒せない模様。
というか、この世界の人達どうやって倒したらいいんだ?(笑)




