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 いつもの採取が終わって、村に帰って。

 夕食前に体を拭くのもいつも通りで。

 ただ、いつもと少し違うのは撫子が今日は一緒に夕食についてくることに。


「あら、今日は参加?」


 すりすりといつもの返事をしようとしたいみたいで、ひょいっと自分の頭の上から飛び出して、撫子はレベッカさんの所へ。

 そして夕食を今日運んできたのは門番の二人。


「あ、作ったのは俺じゃないぞ?」

「そうそう。いつもの二人が作ってくれたさ」


 そう言って、ひょっこりと厨房から顔を出してくるのはカップルハンターの二人。


「お話を聞かせてくれるんでしょう?」

「多少は気になっていたからな」


 こんな感じに全員集合。

 何処から話したらいいのか多少迷う所はあったのですが、撫子に話を先程話をしていたのもあって、結構スラスラと今に至るまでの話をすることが出来たのですが、そうなって来ると皆さんが気になって来るのはこっちの世界に至る前に居た世界の話。


「世界は違っても、やる事はやらないと生きていけないわよね?」

「そりゃまあ」

「何をしていたか聞いても?」

「あー、売れない作家さ」

「作家?」

「こっちの世界にも本はあるんだろ?そういうのを書くというか……」

「んー,あんまりわからないのだけど?」


 作家が居ない世界の人に作家をどう伝えたらいいのか考えた結果、出てきた言葉はちょっと詐欺師みたいな感じはしたのですが、あながち間違いではないと思えてきたので、それを言ってみる事に。


「自分の好きなように色々と作って壊して、相手のことを何も考えずに酷い事も幸せになるようなこともしてきたら、真似事ではあるが神様みたいなお仕事かな?」


 その言葉に全員息をのむように驚くわけですが、その全員にはウチの撫子も入っていて、一人だけ一早く正気に戻ったのか、レベッカさんからおりて一気にこっちに寄ってくると、すりすりとぺちぺちを繰り返します。


「えーっと、コレはどういう事だろう?」

「そりゃあ、神さまだったと言われりゃ誰だってこうなるだろ?」

「あ、いや、神様の真似事だから神様じゃないのよ?でも、えーっと紙の中では神様で……えー、これ伝わるのか?」


 物語を描いた時点でその物語をよくすることも悪くすることも自分次第で、結末を書かずそのまま放置することも誰にも否定されることは無く、本当に神様みたいな都合で好きに出来るものだったので自分の言葉に自分も驚くばかりですが、とりあえず今の所でいえば皆さんよりも自分の方が体力的な意味でも下だというのは伝えないといけないと思ったので、それだけを念頭にこの後の話を進めようかと思ったのですが、風向きは怪しいモノで。


「神様に今までこんな雑な態度を取っていたって……」

「コレは不敬だよな?まずいのか?」

「うーん、おじさんは神様で神様はおじさん?それってどうなの?え、え?私的には女神様とかが嬉しいんだけど……そこのところはどうなんだろう?あ、いや、逆に紹介してもらえるといいのかな?」


 門番の二人は不味ったような顔ですが、レベッカさんは逞しいもので新しい方向性の考え方を始めていて流石だなぁと思っている感じ。


「一応崇めるモノはあれど、別の神様だったらこの程度の扱いでいいのかしら?」

「そもそもがあまり熱心な信徒でもないけどなぁ」


 カップルの二人も何か思うところはあるみたいですが、微妙な顔をしています。


「で、撫子はどうしたの?」


 すりすり?すりすり……そして首をちょこんと傾げるとまたすりすりとよく分からない動きをしています。


「えーっと、否定をしたいわけじゃないんですけど自分は皆さんの思うよな神様とは全然違う、すっごく位の低い神様?神じゃないんだけど……まあ、そういう生業(なりわい)をしていた人ってだけだから、えーっと生業ってわかる?今自分がやっている薬草採取も生業でしょ?そういう感じの作業だったのよ?」


 こんな感じに収拾がつかなくなってきていたので、ちょっと一息入れようというのと珍しくトイレに行きたかったのもあって一旦休憩を挟むことに。



 自分の話をある程度しないといけなくなることは想定内でしたが、ちょっとこの風向きは想定外。ただ、自分はみんなと変わらないと伝わればいいのですがその辺りもどうやって説明をすればいいのかは考え直さないといけない気がするわけですが……いい方法なんて浮かぶわけもなく。


「いっその事、酒でも奢ってみんなにこの話を忘れてもらうとか……ありか?いや、そこまでお金は……あったかな?あ、多少蓄えはこの間からので有るか?」


 困ったときはお酒頼み。

 大していい歳の重ね方をした人間ではないので、大したことは思い浮かばないのですが、面倒事があった時は自分が大酒を飲んで忘れるか、周りに大酒を飲ませて忘れさせるか。それで意外と乗り切ってこられる人生だったので、こんな時に思い付く案はそんな事。


「とりあえず、駄目だったらその時考えるとしてお酒は用意するか」


 そして成功体験というのは意外と忘れがたいモノで、一度大丈夫だったらもう一度、そして二度も大丈夫だと毎回それで何とかなると思ってしまうものでもあって。


「お酒、ありますかね?」


 どうなるか分かりませんが、ちょっとお酒で有耶無耶に……できますかね?





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― 新着の感想 ―
この世界観だと、吟遊詩人とか言ったほうが伝わりそうな。 印刷とか娯楽は発展しているのでしょうかね? 確かに、物語の中の作者は神? いや、でも、物語の中の登場人物が勝手に動き出したり… まぁら神様も万能…
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