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一週目が終わって、いつものキャンプ地で休憩をするのですが撫子は早々にキノコを食べ尽くしたので肩の上から頭の上へ移動。
別に気にならないので何も此方も言うことは無いのですが、そんなに座り心地がいいとは思えないので確認するのですが、ここでいいという感じの返事……のような意思疎通をしたので、そのままにしておくことに。
あともう一周して見逃している薬草やキノコを採るつもりなのですが、ゲームではないのですが、ゲームだと新しい武器や防具が手に入ったらとりあえず一度どんなものなのか使ってみたいと思うタイプではあって。
自分にも遂に武器……というよりは武器にもなり得る仲間が出来たので、一応どんな感じになるのか気になってはいるのですが、正直結構使いづらい……というか、そんな運用をしていいのかと言いたくなるような使い方を行きの最中に話をしていて。
「ねぇ、本当に敵が出てきたらさっきの様な使い方……うん、使い方をしていいの?」
すりすり
「危なくない?」
すりすり
という感じに、肯定の返事を撫子がするのですが、まあ殆どの人はヘビを武器に使った事なんてないハズなので、そうだろうと思ってくれそうな気もしますが、撫子が指示した方法は基本的に尻尾の辺りを持って、投げる、叩きつけるという感じ。
分かりやすい行動で言えば、鞭を使うような感じが一番近い感じだと思うのですが、そうだとしてもそもそも鞭を使ったこともないわけで。
「休憩ついでに、軽く武器として使ってみてもいい?」
確認してみると、その方が早いと思ったみたいで、すりすりと頬をしてくれて、そのまま自分で右手の方へと撫子が移動。
あまりギュッと強く持ちすぎるのは嫌だと一応確認しているのですが、スポッと抜けるのも怖いのでその辺りの確認からしてみる事に。
「このぐらいは?」
すりすり
「ちょっと強く握るよ?……どう?」
すりすり
「あれ?もしかして……本気で行くよ?……どう?」
すりすり
という事で、本気で引きちぎっちゃうぞってぐらいの力で撫子を握っても撫子的には問題ないという結果が得られたのは、自分としては大収穫の結果なのですが、逆に撫子的にはここまで弱いの?という感じの呆れというよりは憐憫のような視線を投げられます。
「人は成長するからね?」
一応尊厳……なんて今更ないのですが、強がりを言ってみると、少しだけ呆れたような顔をしたのですが、その後に撫子が逆に自分の手を離さないようにググっと強くこちらの手をホールドするような動きを始めたのですが、そのホールドは分かりやすく言えば絞めつける力なわけで、ギリギリこのぐらいまではイケル……と思っていたのですがさらに強くされるとかなりやばそうな強さに変わってきたので、思わず声をあげる事に。
「痛い、痛い。ごめん、強がり言っただけだから」
分かればよろしいという感じに、締め付ける力を弱めてくれたのですが、しっかりと指の辺りにはヘビ柄が。
レベッカさんの言う通り、自分よりも全然強い事は分かっていたのですが、完全に事実を突きつけられた形になったので、肩を落とすことに。
その後も一通りの武器としての運用を想定して撫子を右手に持って鞭のような動きをしてみたり、投げるような動きからあるものに噛みつく動きをしてみると、かなり俊敏に撫子が動いてくれるので、本当に自分が使えない人状態になっていることが分かるのですが、最後の一つは自分も頑張らないといけないわけで。
「じゃあ、弱めに握って……あ、もう少し強め?うん、うん、じゃあ投げてみるよ?」
最後は遠距離攻撃という事で、持っている撫子を投げるわけですが、重心移動を撫子自体がしてくれるのもあって、とっても投げやすい状態。
勢いをつけて、そのまま手を離すと顔を前にシャーっと牙を立てながら撫子を奇麗に投げられます。
「近距離は叩きつけ、噛みつき、場合によってはそのまま巻きつきもできて、距離が離れても今みたいに投げつけると、同じ行動が出来るって事でしょ?」
ちろちろと舌を出しながらも肯定を示すような感じでシュルシュルと結構なスピードで撫子が戻ってきます。
「……場合によっては足も……速いね?」
何一つ勝てる部分がないという非情な現実に打ちのめされそうな感じですが、この歳まで生きていると負ける事なんて日常茶飯事。勝てない事に何か抱く気持ちというのもそこまで多くなかった事を思い出してしまえば、諦めも簡単につくものです。
「とりあえず武器というか、味方としてはコレ以上ないぐらい優秀って事は分かったよ。まあ、正直言って使う事がない様な人生の方がいいんだけど、謎石の先とか行けるときは行くから、その時はよろしく頼むよ?」
足元から掴めるところは殆どないハズですが、ズボンを伝って腰を回って肩の上までにゅるっと動いて、更にそのまま肩を超えて頭の上に。
そして、頭の上からだらーんと首を降ろしながら頬のあたりをすりすり。
「任せろって感じかな?」
言葉は理解してくれているみたいですが、本当にかなり頼りになるので相棒というよりは自分の方がペットみたいな感じになっている気もするのですが、かなり撫子的にはご機嫌なのか、楽しそうにほっぺたをすりすりしつつ、休憩はそろそろ終わり。
もう一周しながらキノコや薬草の取り残しを回収するとしましょうか。




