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「一応、飲まない場合を想定しましたが会話が出来るようになるにはかなりの時間が必要かと思われます。その場合……」


 サポートシステムは撫子が今作っている生成品を飲まない場合を想定した計算もしたみたいですが、かなりの時間が必要……という事は時間を掛ければ会話が出来るようになると言っているようなものなので、それはそれでちょっとおかしな事のような気がしたのですが、サポートシステムの言葉を止めさせたのは撫子。


「安全性の確保はお願いします」

「そのような失敗が私にあるとお思いですか?」

「それだけの態度だから、心配に決まっているでしょう!」

「なにおぅ!?」


 ああ、またこのやり取り?という感覚があるわけですが説明はさっきのでどうやら終わっているみたいなので疑問に思ったことを聞いてもいいのかなという状態に。


「それって、自分が飲んだら何か効果はあるの?」

「アナタが飲んでも基本的に効果はありませんね」

「基本的に?」

「ええ。ただの飲み物という感じですね」

「じゃあ、自分の分も用意できる?」

「そのぐらいは簡単です」

「じゃあ、先に自分が飲むようにするから、お願いできる?」

「え?本気ですか?このポンコツシステムが作るモノですよ?」

「ポンコツシステムじゃなくて、サポートシステムです!!」

「私の様に名前も無い奴があれこれ言ってくるんじゃないです。ただ、本気ですか?」

「本気っていうか、別に安全なんでしょう?飲めば話が進むなら、毒味?というよりはまあ一緒に飲むぐらいするよ?」


 正直言うとちょっと怖いという気持ちもあり、そして自分の中にどういうものなのか試してみたいという好奇心もあって、撫子の為というよりは怖いもの見たさと後は少しだけ早く終わらないかなーという自分勝手な都合も。


「そろそろ下に降りていただければ、追加の分もすぐに出来上がるので話が早いのですが?」

「え?今お願いしたばかりなのに、もう?」

「生成品は一度作ってしまえば、二度目からは同じ工程をすればいいだけなので二度目以降は格段に速く出来るモノなのです」

「ソレにしたって、早すぎない?」

「この遺跡はそれなりですからね。このぐらいは簡単です」


 こんなやり取りをしている間も撫子は撫子で悩んでいるみたいだったのですが、どうやら覚悟を決めていたみたいで、チラッとこちらに視線を向けるとゆっくりと目をとじながら頷く動きをして、覚悟を決めた模様。

 その覚悟が鈍らないようにとペチペチと叩いてきたので、座席の下のボタンを押してロープをつかって下に降ります。


 そして何故かロボットから少し離れた位置にテーブルがあって、その上には分かりやすいコップが。


「コレ?」

「です。生成品は鮮度が命とかそういう事は無いのでその分量位を飲めば十分です」


 サポートシステムの声はコクピットと違い少し遠い感じになりますが、説明をしてくれます。


「じゃ、さっきの通り先に自分が飲むよ?」

「ええ。何の問題もありませんので、どうぞ」


 怖くないと言えばウソですが、コップの中身を見てみるとそこには真っ黒な液体が。ただ、多分液体というだけでどういう粘度なのかはさっぱり見た感じではわからないのですが、コップを持ち上げてワインのテイスティングのような動きに近いコップを回す感じで動かしてみると、思いの外液体らしく、普通の水と同じような感じに黒い液体が動きます。


「味とかはあるの?」

「飲むものというだけなので、強いて言うなら無味でしょうか?」


 無味とはどういうものなのだろうと考えてみたのですが、無い頭を振り絞っても答えは出なかったので勢いだけつけ、ままよっ!と、いう感じにコップを煽って飲み干すことに。

 飲んでみても変化は勿論何もなく、ちょっとした水分補給をしただけみたいな感じになるわけですが、色が黒い純水を飲んだような感じ。ようは水と変わらず、ミネラルとかそういうものが何もないから味もなにもないというところですが、強いて言うなら仄かに鉄の匂いというか感じがあった程度。


「後で何か不具合というか効果が無いという訳でもない限り、多分大丈夫みたいだよ」


 すりすり


 毒味というよりは安全確保の意味合いで自分が先に飲んだのを確認した撫子は仕方ないという感じでコップをクイッと動かします。


「えーっと、飲ませろって事?」


 すりすり


 考えてみると、撫子の食事はキノコを食べているのを見た事はありますが、他だとあまり見たことはなく、さらに言うと水を飲むような事もしていたのは見たことが無い事実に今更ながらに気がつきますが、どうやって飲ませたらいいのか考えていると撫子の方から分かりやすく示してくれます。

 撫子は肩の上に乗っていたのですが、スススっとテーブルに降りてとぐろを巻いて口を大きく開けて上を向いてくれます。


「ゆっくり入れるよ」


 チロチロと舌を使って返事をしてくれた感じがあったので、そのまま口の中にコップを傾けて黒い液体を流し込みます。

 コップの中身が全て撫子に入ると、空っぽになった事を知らせる為に顔の横の辺りをちょっとだけ指でさすってあげると、飲み終わったことを理解したのか大きく開けていた口を閉じてこちらを向いてきます。

 多分これで喋れるようになったはずなのですが、どうでしょう?





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