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ありがたい事にコボルト達が火竜を持ってくれて、更に通常であればこっちの事は気にせずに先を行くらしいのですが、チラチラと後ろを確認してくれてこっちが村だと教えてくれることに。
「しっかり交渉しておきました」
「確か、お金がかなりかかるんじゃなかったっけ?」
「今更火竜の素材、そこまでいらないでしょう?」
「え、あー、そういう感じの交渉をしたの?」
「死んだときは全財産の半分ですが、通常はそこまでのお金は取らないですからね?でも、そこまで収入が無い私達だと、素材の半分ぐらいは渡さないと……」
「あー、うん」
結構な量を要求されたみたいですが、選択肢が無い状態で手伝って貰えるというのは往々にしてそういう事になる確率が高いハズ。
そう思えば、何も持って帰れないで収穫ナシに比べると一部どころか半分自分お手元に残る程交渉をしてくれている撫子には感謝。そして、持って行ってくれているコボルト達にも感謝しかないわけで。
「ささ、後は凱旋しましょう!」
槍を持って歩く想像は簡単で、コボルト達も凄く早く移動という訳ではなかったので後を付いて行くだけ。
木々が多い場所は通らず、いつもの草原に近い場所ばかりを通ってくれたのでやっといつもの村が見えます。
「いきなり帰って、大丈夫かな?」
「多分問題ないですよ?」
「その心は?」
「みんなこのロボット知っていますからね」
「あー、動いた所は見たことないけど、門番の二人もレベッカさんも見ているか」
「ですよ」
そして、村の方から出てきたのはいつもの三人……だけではなく、カップルハンターの二人や商店のおっちゃん、おばちゃんなども今日は出てきます。
「流石にこのロボットがいきなり来たら、見に来るか」
「そりゃあ、何事だーって来ますよ」
とりあえず村の手前まで来ると、コボルト達が手を上げて何かこちらに合図をしてきたのですが、意味が分からないままでいるとすぐ近くのレベッカさんがコボルト達に寄っていき、どうやら何かしらの指示をしたのでしょう。
コボルト達は頷くといつものギルドの裏の方に火竜を持っていきます。
ロボットのまま入ることが出来るかどうかで言えば出来そうですが、流石に置く場所もどうするかも決まっていないので入り口の近くまで行ったら降りる準備。
座席の下のボタンを押して、降りる支度を済ませたら後はロープのエレベーターで下がるだけ。
テレビで昔見ていた宇宙飛行士さん達が無事に帰ってきた時を彷彿とさせるような感じで、ロープに体を固定して下に降りるとすぐにいつもの三人が寄ってきます。
「こいつを動かしたのか」
「いつの間にかギルドから居なくなったから何しているかと思ったが……なるほどな」
ヒックスさんとウェージさんは笑いながらかなり強めに背中を叩いてきて、その力はかなり強めで正直言うと結構痛いのですが、何となく目には心配していたぞという視線を含んでいたように見えたので、何も言えずに苦笑いを返すしかなく。
「約束を破るのが好きですね?」
「あー、外出禁止でしたっけ」
「空が赤い時はモンスターが暴れるので安全じゃないんです。だから戦う力がない人達は室内待機。分かりますか?」
「はい」
「……分かっているようには見えませんが、まあ無事に帰ってきたのでヨシとしますか」
「そう言ってもらえると助かりますね」
門番の二人よりもかなり優しい目でレベッカさんはこちらを見ているので心配をかけてしまったことは申し訳ないのですが、偶々とはいえついにロボットが動かせたという事実に関しては褒めて欲しいと思える部分も。
「で、ついに動かせたのね?」
「ええ、この通り」
「ロボットについてはもともと秘密にしていた事、忘れちゃったの?」
「あー………………はい」
撫子に凱旋だー!と言われてその通りちょっとした英雄気分も味わいながらこの通り村に帰ってきたのですが、言われてみるといつもの三人でもって遺跡でコソコソとずっとやってきていたわけで、村の人達からすれば本当になんじゃこりゃ?って話。
更にそこにこんなロボットがあったという話もしていないという事は……。
と、今更気が付くわけですが村の人達からの視線は基本的に殆ど否定的な目。まあ、ごく一部の子供達やそういうのが好きそうな男性、女性共にキラキラさせた目でこちらを見て来る人もいないわけではないのですが、あまりいい視線は無い感じ。
「とりあえずロボットの事はギルド預かりという話にするから、まずはお帰りなさい」
「あー、はい。ただいまです」
すりすり
撫子も返事を自分にしてくるのですが、ああ、撫子とも話が出来るとかロボットもサポートシステムが喋れるとか、色々と伝えないといけない事は一杯になったわけですが、何というか戻ってこられた安心感というのは結構なもので。
気が抜けるという程ではないのですが、ホッとする部分はロボットから解放されたとき以上のモノがあって。
「ちゃんと帰ってこられたね」
すりすり
撫子が返事をしてくれて、何となく嬉しくなって撫子は頭の上でちょっと手を伸ばすのは面倒な部分があるのですが、見えないながらも頭を撫でてあげると喜んでいるような気配が伝わってきました。




