北方支部へ〜2日目
今回も短めです。
最近、ネタが思いつかなくて………
愛莉珠と理玖の攻防の結果、愛莉珠は理玖のペンギンスーツの中に入り込む事に成功し、口を閉じられたペンギンスーツは冷たさ故か微振動を繰り返していた。
そしてしばらくすると愛莉珠がペンギンスーツの主導権を握る様になった。
「いやぁ………見た目はアレだけど、やっぱ性能はいいねぇ。2人入っても余裕あるし」
「…………少し蒸し熱い」
「そこは仕方ない事さ。リクも僕との肌と肌の密着は好きだろ?」
「嫌いでは無いけど、真昼間からやる事じゃないだろ」
「まぁまぁ、いいじゃないか少しくらい。ちょっとくらい遊んでもさぁ?」
「ここでヤったら、帰ってしばらくキノコ尽くしにするぞ」
「それは嫌だな。やめよう」
「…………何やってるんだ2人とも」
そんな風に口を閉じたペンギンスーツの中でいつも通りのやり取りをしている愛莉珠と理玖を林杏は呆れた表情で見ていた。
「何やってるのかって………温まっているとこ」
「そうじゃなく、毎日そんな感じで乳繰り合ってるのか?お前たちは」
「ん〜……まぁ、基本リクが抱き枕だね。夜とかはリクを抱っこして過ごしているし。リクはハグとか好きだよね」
「近くにお嬢がいると落ち着く」
ペンギンスーツの中から聞こえる理玖の声色は随分とリラックスしていた。
「………………随分変わったな。理玖は」
そんな2人の様子に林杏は幼少期の頃の理玖のことを思い出していた。
自分の顔が子供受けしないことを自覚していた為に食べ物で釣ろうと考えていたら、向こうからトテトテと駆け寄ってきてくれたりしてくれた。
あとはクリスティーヌの筋肉に北方に来てから1番目を輝かせて、まるでカルガモについて行く雛鳥みたいに駆け回っていたりしていたり、クリスティーヌの筋トレメニューをこなそうとして大泉元隊長がやんわりと止めたりしていた。
「……あぁ、そうだ。忘れてた。夜奈姉にスーツの宣伝してくれって頼まれていたんだった」
と理玖が思い出した様にそういうとペンギンスーツの口を開けて、そこから市販用のペンギンスーツを出した。
スーツの口からずるりっ……と音がしていそうな出方で出てくるペンギンの虚無顔にスライムの様に地面に落ちようとしているその光景は軽くホラーであった。
「はい林杏隊長。これ、柳龍局長がお試しにと預けてきたもの。性能はご自身で確かめて」
「それよりもまず出し方をどうにか出来なかったのか?」
口からスライスの様に垂れ下がっていたペンギンスーツを引っ張り出して差し出す理玖に林杏はそうツッコミを入れた。
「ちなみに身体の動きを阻害したくない人向けにペンギンスーツor全身タイツタイプもある」
「誰がこんな極寒の地で全身タイツなんか着るんだ?」
「いるでしょ?ほらオ姉様」
「………………………あぁ、いたな」
人間の抜け殻みたいな全身タイツ……顔の部位は虚無顔ペンギン……を取り出しながらそう言った理玖に林杏は遠い目になった。
………その後、全身タイツタイプのペンギンスーツを受け取ったクリスティーヌが早速そのスーツを着た結果、虚無顔全身タイツペンギンの腹筋バキバキ雌型ウサ耳ゴリマッチョという化け物が出来上がり、愛莉珠の腹筋を崩壊させた。
そして支部に駐屯している全隊員を巻き込んだ鬼ごっこが始まり、大多数の隊員がアスリート走りで迫ってくるゴリマッチョペンギンの悪夢にしばらく魘される事となるのはまた別の話。




