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極氷姫の猟犬  作者: 骸崎 ミウ
第12章
193/194

密林での1日〜朝

夜が明け、目を覚ますとそこはいつものベッドでは無く、草や木などで作られた寝床で周りは少し古い木造の小屋だった。



理玖は朝日が昇ると同時に起きると軽くストレッチをして小屋から出た。今の服はシャツに丈夫なズボンのみの簡素なものである。



小屋の周りは鬱蒼と茂る森で囲われており、理玖は近くの地面に植えられていた木から林檎に似た木の実をもぎ取り、それを食べながら森の中へと入って行った。



『緑の遺跡』と呼ばれるその密林はありとあらゆる魔法植物や魔獣や鉱石が自生していており、更に森の奥地にもなれば古い伝承や歴史書にも記載されてる様な希少な素材が数多く存在する。



当然、魔術師達はこぞってそれら素材を手に入れようとしたが、その密林は魔術師はおろか戦乙女でも苦戦する魔術や武術に長けた魔猿の住処であり、少量の採取は問題ないが開拓など大規模化すると万を超える魔猿が攻め込んでくる。



その為、魔術師協会もテルゼウスも魔猿を過度に刺激しない様に細心の注意を払っている。



そして理玖が何故その密林にいるかというと、密林の統率の為である。



まず、以前特戦隊が不慮の事故で訪れた際に開催した密林の長を取り決める魔猿のガチンコバトルで優勝した理玖はその大会以来密林に訪れていなかった。



短期間なら長の不在は問題ないが、長期間ともなると上はまだしも下にいくにつれて統率が乱れていき、いつぞやの線路の爆破などやらかす猿が出てくる可能性がある。その為、猿達の長となった理玖が時折見回りも兼ねて滞在する必要がある。



その事を夜奈から伝えられた時、愛莉珠は抗議したが密林内ならまだしも密林の外まで被害が出るのはテルゼウスもとい一般人の生活を支えている企業も避けたい事なので行かせることにした。



………尚、密林は理玖単体なら問題ないが大人数だと魔猿を刺激してしまう為、理玖単身で行く事となり、中央に残るお姉様方から密林産の果物や薬草や鉱物のお使いを頼まれたのは別のお話。



しばらく森の中を進むと大きな川に付き、理玖はそこで顔を洗ったりした後、川辺で石を1つ拾い上げると川の中へ投擲した。



すると川底から頭から血を流して気絶した山椒魚の様な生き物がプカリと浮き上がってきて、それを捕まえると手早く皮を剥いでその辺の串に刺して、影から呼び出した魔狼の炎でこんがり焼いてムシャムシャ食べ始めた。



そうして山椒魚モドキの丸焼きを食べていると理玖の背後の草むらの奥から太く長い物体が理玖目掛けて突撃してきた。



理玖はそれをしゃがんで回避して見てみるとその物体………半端で折られた大木が向こう岸まで飛んでいって轟音と砂煙を伴って爆ぜた。



誰が投擲したか確認をしようと振り返った時には既に犯人は理玖の目の前で拳を振り抜いていた。



純粋な右ストレート、技術もへったくれも無い何処までも純粋な暴力によって振り抜かれたその拳が理玖の顔に突き刺さ……




「グォァッ…!?」




……る事は無く、拳の者……深緑の体毛の体長2メートルはある筋骨隆々のゴリラは手首に生じた激痛に呻いた。



見れば拳は理玖の頭スレスレを通過しており、痛みが生じている手首には理玖の拳が突き刺さっており、理玖が打撃でゴリラの拳の進行方向を上に逸らしていたのだった。



理玖は食べかけの丸焼きを口に咥えると鉄棒の要領でぐるりと勢いをつけてゴリラの腕の上に飛び乗ると横顔目掛けて勢いを付けた回し蹴りを喰らわせた。




「ガッ…!?」




短い絶叫の後、ゴリラは縦に錐揉み回転で周りの木々を薙ぎ倒しながらまるでゴム毬の様に地面を跳ねていき、最終的に地面に頭が突き刺さって停止した。



ゴリラが起き上がってこない事を確認した理玖は残りの丸焼きを口に放り込んでその場を後にした。



本日も元気な猿達が遊びに来て密林は平和である。

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― 新着の感想 ―
突然場所変わって何事かと思えばまたお猿達の話か(ʘᗩʘ’) 確かに野生の世界でボスの長期不在は色々不味いから定期的にヤキを入れに行かないといけないのか(٥↼_↼)
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