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極氷姫の猟犬  作者: 骸崎 ミウ
第11章
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狼と竜の帰宅

「おかえり〜リクぅ!さぁ!モフモフさせてェェエイタタタタッ!!待って待って爪食い込んで痛ァァァッ!?」




自宅に帰るなり何食わぬ顔で欲望マシマシ(普段通り)出迎える愛莉珠に少しイラッと来た理玖は無言で彼女の顔にアイアンクローを決めた。



しばらくアイアンクローを決めると愛莉珠はべちゃっと床に倒れて起こされるのを待ち………理玖はそれを敢えて無視して自分の洋服タンスへと向かった。



そして下着にダボダボのシャツ一枚という非常にラフな格好になるとリビングのソファへダイブしてそのまま丸くなって動かなくなった。




「あー……どうしたのリク?具合悪い?」



「…………」




普段とは違う様子に流石の愛莉珠も巫山戯るのをやめて声を掛けるが理玖はそれを無視して丸くなっている。むしろ気が立っている様に見えた。



愛莉珠はしばらく考えた後、理玖の隣に座って膝を軽く叩いた。すると丸くなっていた理玖はモゾモゾと動いて愛莉珠の膝に頭を乗せて横になった。



そして愛莉珠は何も喋らない彼女の頭を優しく撫でた。頭を撫で続けられるとピリピリしていた気が緩んでいき、動かなかった尻尾もゆったりと揺れ出した。




「………で?まだ怒ってる?」



「………………ちょっと」



「冷蔵庫にレモンケーキあるよ」



「…………ん」




愛莉珠の言葉に理玖の尻尾の揺れは大きくなった。だんだんと機嫌が良くなっているのが見てわかる。




「……少し思い出してた」



「なにを?」



「父さんと母さんがまだいた頃の事」




機嫌が良くなったのかはわからないが、理玖は寝そべりながらそう言った。




「…………リクからすると隊長と副隊長の2人はどうだった?」



「母さんはいつも元気で豪快で少し雑な所があった。父さんは穏やかで色々できて料理とか美味しかった。……2人とも怒ると怖かったけど優しかった。そっちは?」



「そっか……僕はまだ新人だった頃から2人にお世話になっていてね。幸子副隊長……リクのお母さんが基本的に訓練の指導をしていて、大泉隊長……リクのお父さんが事務仕事をしてたんだよ。当時はボイドも今よりわんさかいたから訓練が鬼の様にキツくてね。下手したら死人が出ていたもしれないよ」



「ふーん……そっか」



「そうなんだよ。………ごめんねリク。辛い事思い出させちゃって」



「……アップルパイ」



「いいよまた今度買ってあげる。抱っこはいるかい?」



「いる」




愛莉珠は理玖の返事を聞いた後、彼女とちょうど向かい合う様にして腰に手を回して抱っこした。理玖も自分の腕を愛莉珠の肩に回して楽な姿勢を取り、首元に顔を埋めた。



そうして大きく吸って吐き出して感じるのは普段使っているシャンプーとリンスの匂いと焼き菓子の様な妙に甘ったるい香り。



理玖は父に頭を撫でられるのも母に抱きしめられるのも好きだった。それはなんだか安心できたから。



最近ではその枠に愛莉珠が入って来た。



彼女に撫でられたり、わしゃわしゃされたり、抱きしめられたりすると自分の奥にある何かが緩んで安心できる。その緩んだ隙間に彼女の香りが入り込んでようやく落ち着ける。



そうして2人は特に会話もなく、ただ静かにその日を過ごしていった。

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― 新着の感想 ―
和やかで微笑ましいけど終盤にはまた悪い所が出るのか、そのままベットへか(-_-メ)
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