少し違う日常〜2
魔狼に自身の頭を噛ませて精神統一しながらの夕食作りを終えた理玖は料理を皿に盛り付けていつもの様にテーブルへ運んだ。
普段はダイニングテーブルで食事をするが、小さくなった愛莉珠では椅子と机が高過ぎた為、ソファの側にある低い机で夕食を取ることにした。
「狼!このハンバーグ美味しいですわ!」
「そうか。口に合って良かった」
小さくなった愛莉珠がフォーク片手に目を輝かせながらハンバーグを食べていく姿を見て理玖は普段の彼女とあまり変わらないなと思った。
「というか、案外綺麗に食べるなお嬢は」
ハンバーグを食べる愛莉珠を見ていた理玖はふとそう独り言の様に呟いた。
普段の彼女ならばともかく、今の愛莉珠はおそらく一桁か二桁に入ったばかり程の年齢でそのくらいの年齢ならば多少なりとも散らかると考えていた。
しかし、ハンバーグを食べる愛莉珠は普段と変わらず綺麗な所作で食べていた。
「失礼ですわね。レイブンハルト家の本家の者として見られて恥ずかしくない様教育を受けていますの。食事くらいどうと変わりませんわ」
「……そうか」
「……ちょっと?何故頭を撫でるのです?」
理玖の独り言に愛莉珠はそう反応して頬を膨らませた。理玖はその姿を見てなんとなく頭を撫でたくなり、愛莉珠の頭を撫でた。
───夕食が終わると次は入浴でその後に就寝である。理玖が洗い物をしていると風呂が沸いた時のチャイムが鳴った。
「お嬢。お風呂沸いたから入っておいで」
理玖はチャイムを聞いた後、テレビでバラエティー番組を見ている愛莉珠に向かってそう言った。
普段ならば一緒に入るが今回は理玖の理性が色々危ないのと幼くてもちゃんとしている愛莉珠ならば問題ないだろうと考えた結果である。一応、もしもの為に脱衣所にいる予定ではあるが。
「あらそうですの?じゃあ行きましょ狼」
理玖の言葉に愛莉珠はそう言って反応して理玖の側に駆け寄ると彼女の手を掴んだ。
「パジャマなら脱衣所に用意してあるぞ」
「一緒入って洗ってくださらないの?」
「………………ん?いや1人で入れるだろ」
「私は入浴する際はメイドに洗ってもらっていますの」
「…………………………そうか」
どうやら理玖の理性の強さが試される時間はまだまだ続く様であった。
***
「ほら早く入りましょ!貴女ってもしかして風呂嫌いですの?」
「いや……そうじゃない」
「なら早く脱ぎなさ、い…………お、おぉおぅデッカ……貴女、着痩せするタイプなのね」
「………………お嬢も数年後にはでっかくなるぞ」
「それは部屋にあった写真でわかりますわ。……しかし、いくら大きくてもお父様には負けてますね」
「そこはお母様じゃないのか?」
「お母様は私と似た様な身体ですの。お父様はそれこそマッチョで毎朝家で飼っている乳牛2頭を肩に担いでランニングをしていますわ」
「……魔術師だよな?」
「魔術師ですわ。………しかしまぁ、お父様と違って狼のはふかふかですわね。まるで巨大なマシュマロの様」
「洗うぞ」
「えぇ、お願いしますわ。別にボディタオルじゃなくて素手でも良いのですよ?」
「…………………タワシでいいか?」
「駄目に決まってるでしょ?!私の柔肌に傷をつける気で!?」
「わかった。わかったからあまり大声を出さないでくれ。風呂場じゃ響く」
***
愛莉珠との入浴で何故か異様に疲れた理玖はさっさと寝る事にした。元々別れて寝る予定だったが、愛莉珠がぐずったのでいつもの様に2人で寝ることにした。
そして草木も眠る深夜。良い子は既に夢の世界に旅立っている時間帯であるにも関わらず、理玖は眠れないでいた。
理由は理玖の視線の下で自身の胸を枕代わりにして爆睡している愛莉珠であった。
別に胸を枕代わりにされるのは初めてではないしむしろ理玖自身も愛莉珠に対してしたりする。しかし、愛莉珠が小さくなってから色々と勝手が違うのとやたら『美味しそう』な気配を漂わせている為、ふと気を緩ませるとパックっとしてしまいそうだった。
決して、決してッ!理玖は自分は不名誉さ爆発の〝ロ〟で始まるそれではないと言い聞かせているが、普段の大人愛莉珠に比べて随分柔らかそうな少女愛莉珠を前にするとその不名誉なレッテルも悪くはないなと徐々に思い始めてしまってきている。
だが、ここで手を出せば愛莉珠が戻った際にどんな影響を与えるのかわからない。故に手を出せない。今の理玖の状態はジャンボパフェを前に待てをされている状態である。
そうして理玖は胸に感じる少女特有の温かさと寝息を感じながら夜を悶々と過ごした。
来週の投稿はお休みします




