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極氷姫の猟犬  作者: 骸崎 ミウ
第10章
159/194

抵抗戦線〜飛んで最終日

変犬ウイルスワクチン抵抗軍と第一第二合同鎮圧部隊との争いが始まった次の日。まだ朝日が登らない夜更けから戦闘が始まった。



鎮圧部隊が行なったのは廃ビル群一帯の包囲とそこから円を縮めていく形での進軍と遊撃である。



進軍は夜奈率いる第一近衛部隊が行い、遊撃は愛莉珠と白銀の二部隊に分かれてそれぞれ反対方向から行なった。



抵抗軍の犬系ビーストの弱体化と特性を考慮して武装は対暴徒鎮圧用非殺傷弾と高音波爆弾と匂い煙幕(発酵した塩漬けニシン風味)に限定した。



例年通りならばそれでどうにかなったが、今回は違った。抵抗軍は皆フルフェイスのガスマスクに聴覚保護のイヤーマフを装備して応戦した。



そして何処ぞの特殊部隊の様な陣形を組んで抵抗をしていた。手榴弾にサブマシンガンで牽制してそれらが使えなくなれば地形を活かしたタゲ取り戦法を行い、追い詰められればナイフを手にして近接戦闘に移行した。



その技能と情熱を他で活かして欲しいと鎮圧部隊の面々は思ったが、抵抗軍のワンコ達は本気であった。



地雷などの罠で囚われても数と物資でゴリ押していき、拠点1つ1つ確実に攻め落としていった。



そしてそれは人員を交代させながら昼夜問わず2日続けてられた。こうすれば人数と物資に限りがある抵抗軍はどんどん消耗していき、最終的には全員お縄に付くのである。



そして結界維持の限界である4日目(章の冒頭)……




『コラァッ!!いい加減抵抗を辞めて大人しく捕まれ駄犬共ォッ!!今なら拘束はすぐに終わるからッ!』



「じゃかわしいじゃボケェッ!!ウチらは騙されへんでッ!?すぐ終わるつうたって丸一日拘束するやろがッ!!」



『それは暴れるからでしょ!?大人しくしていればすぐに終わるわッ!!いいから無駄な抵抗を辞めて出てこいッ!!今なら北方で獲れた最高級品の山盛りの肉があるぞッ!!』



「そんなんで出てくる阿保がおるわけないやろがッ!!」



戦闘の最中、銃声と爆発音に負けない程の会話が続いている。片方はメガホンを持った鎮圧部隊、もう片方は武装した抵抗軍で膠着状態である。



抵抗軍はもう7割程リードに繋がれてそのまま予防接種送りにされてしまった。残っているのは最後の拠点に2割と1人でも多く鎮圧部隊を潰そうと遊撃を行っている勇敢な戦士が1割のみ。



……もっとも、その勇敢な戦士達も虫の息であるが。




「………金持姉さん。ロケランの催涙弾あと3つだけだよ。あとは唐辛子爆弾くらいしか」



「よし唐辛子ぶち込め。いいかオメェらァ!!死ぬ気で抵抗するぞォ!!!」



「「「ウォォォォォォォッ!!!!」」」



『だ・か・らッ!!そんなことしないで早く降参しろ駄犬共がァ!!!』




地下倉庫の管理人である覚醒ビースト金持の呼びかけに続く犬系のビーストの雄叫び。その叫びにメガホンを持っていた愛莉珠はブチ切れた。




「降参するかカスがッ!理玖ちゃんッ!今からロケラン担いであそこ目掛けてブッパせや!」



「え、やだ。自分でやればいいじゃん」



「──え?」




そのままの勢いで金持が理玖に命令するが、理玖は躊躇いなく拒否した。思わず金持が理玖の方を見れば彼女は荒んだ目で『長期保存固形レーション』……通称レンガを齧っていた。



長続きする理玖からすれば意味のない抵抗戦に食事は口に入れただけで吐き気を催す携帯食料のみのせいで理玖の機嫌はマイナスを振り切っていた。



もし結界が機能していなかったら影に潜む魔狼達がガルガルと唸っていたであろう。



それほど機嫌が悪くなっており、その元凶である金持に対してはご覧の通りである。




「………いや理玖ちゃん?ここは空気合わs「……あ゛?」……いえなんでもありません」




先程の熱狂から若干冷やされた金持がそう言っている最中、理玖は普段出さない物凄い低音の声を出した事で金持は冷や汗をかきながら目を逸らした。



──その後、金持は語った。



『あの子の機嫌悪くするのは避けた方がいい。確実に頭丸齧りされるから』……と。

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― 新着の感想 ―
結界があって本当に良かったよな(゜o゜; それが無かったら今頃、腹を空かせた魔犬達に内側から食い破られてた頃だな(٥↼_↼) しかし理玖も律儀な奴だな(ʘᗩʘ’) 既に不機嫌MAXなのにまだ帰らない…
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