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極氷姫の猟犬  作者: 骸崎 ミウ
第10章
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抵抗戦線〜1日目 抵抗軍側

愛莉珠率いる特戦隊の鎮圧部隊がコメディじみたトラップに阿鼻叫喚している最中、犬系ビーストで構成されたワクチン抵抗軍の本軍は熱気に包まれていた。




「諸君ッ!!恐れる事はないッ!!我らはあの激痛と屈辱を伴う残忍な仕打ちを行う奴らに屈することなどないッ!!」



『『『そうだそうだッ!!』』』



「我らは抵抗する術を有しているッ!!見よッ!!奴らの無様なあの姿をッ!!今まさに我らに翻弄されているのだッ!!希望を持て戦士達よッ!!我らの明日はすぐそこにあるッ!!」



『『『ウォォォォォォォッッ!!』』』




頭に鉢巻きを巻いた目が若干イっている金持が何処ぞの軍人ばりに声を張り上げて声高らかに力強く演説してそれに続いて他の武装したビースト達が同じく血走った目で雄叫びを上げていた。




(…………………なんだこれ)




そんな様子を理玖は少し離れた位置で遠い目をしながら見物していた。



元々、理玖は抵抗軍に参加する気はなかった。物資を渡して貰うもの貰ったらさっさと愛莉珠の元に戻って大人しくワクチン接種を受ける筈だったのである。



座薬みたいなワクチン接種は確かに嫌であるが、それを耐えれば問題ないと考えていたからである。



しかし、いくら待っても金持から報酬のモンブランケーキは渡されずそれとなく遠回しに聞いてものらりくらりとはぐらかされてそのまま流れで抵抗軍に参加する事になってしまった。



そして戦いは始まってしまいこうなると負けた場合、静かにキレているであろう愛莉珠にナニされるかわかったもんではない。



普段ならば絶対にしない様な過激なアレコレを何日もされて尊厳やらなんやら塵と化するだろう。



…………もっとも、普段のアレコレで尊厳とかどうのは今更であるが。



そして理玖の脳裏にふと浮かんだのは懐かしい記憶。それはまだ両親が健在だった頃、いつもより目優しい笑顔の父が携帯のバイブレーションみたいに震えている顔の色が青を通り越して白い母を引きずって病院の診察室に連行していく姿であった。



昔はよくわからなかったが、今の金持達の様子から大体察しはついた。相当嫌だったのだろうなと。



─── 一方で金持の方は並々ならぬ思いで毎年の抵抗軍を発足していた。



そもそも変犬ウイルス対策ワクチン接種は昔は義務ではなく任意のものだった。



人が罹っても重い風邪程度の症状で犬系ビーストに罹ってもワンコになるだけで死ぬ様なものではない。



流石に幼い子供や免疫が低かったり身体の弱い者などは少し危険ではあるが要はインフルエンザみたいなものである。



金持も元が人間であった上に献血並みに太い針での注射は嫌であった為受けなかった。



しかし金持が変犬ウイルスに感染して治ってからは何故か(・・・)義務化され、拒否すれば強制的に受けさせられた。そして今ではケツ注射である。



そんな屈辱的な仕打ちに金持は立ち上がった。



同志を集めてひたすら抵抗した。



しかし、力の差は歴然であった。金持は覚醒ビーストではあるが能力は戦闘向きではない。あまり戦闘には参加せず毎日引きこもりのバディの世話か金庫番をしている毎日ではどうしても他の戦闘向きの覚醒ビーストには劣ってしまう。



いくら同志を集めても今回の様な結界を張られては碌な抵抗もできない。武器を集めようにもそんなことをすればすぐに気づかれて拘束されてしまう。



もうなす術がないのかと思ったそんな時、武器を無尽蔵に量産でき尚且つ単体でもかなりの戦力となる理玖がやって来た。



幸い理玖は母親である幸子と同じく食べ物で釣れた。幸子が大量の肉だったのに対して理玖はお高いスイーツなのは育ちのせいだろう。



金持は何がなんでも引き止める為に報酬の受け渡しを出来る限り且つ理玖がキレるスレスレまで伸ばした。



だんだんと理玖が金持を見る目が幸子(理玖の母)と同じゴミを見る様な目になってきたのはかなr……多少は心に響いたがそれでも金持は勝つ為に気付かぬふりを続けた。



全てはワクチン接種の義務化を無くすために彼女は戦い続けるのであった。








































───尚、彼女(金持)はワクチン接種が義務化された理由は知らない。



ワクチン接種が義務化された理由は変犬ウイルスの感染者に極稀に起こる症状のせいであり、それは通常ならばワンコになっても知能は落ちないものが極々稀に知能がその元となるワンコのものになるというものである。



もちろんこれは体内のウイルスが根絶されれば元に戻るが、問題はその対象者である。



………そう、金持こそがその極々稀に該当する人物である。



そして彼女がただの(・・・)犬系ビーストであったならば義務化などならなかったが、彼女は覚醒ビーストである。それも彼女の元は地獄に住まう冥府の番犬ケロベロスである。



当時、彼女が変犬ウイルスに感染した時ユグドラシル内に突如体高が10メートルはあるケロベロスが出現して四方八方に地獄の業火を吐き続け甚大な被害を齎した。



もちろんこの事件を金持は覚えていない。



これを受けた上層部は今後同じ様な事が起きない様に全ての変犬ウイルス又はそれと同じ症状を持つ他の変化系ウイルスのワクチン接種を義務化させた。



要は今の金持は時限爆弾の様なものでもし仮に理玖も同じであった場合、被害規模は凄まじい事となる。



故に愛莉珠達は急いでいるのである。

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― 新着の感想 ―
なんだが話の空気が変わって来たが(٥↼_↼) 最初は最低最悪な接種方が嫌で始まった抵抗線で流石に大げさだなぁと思ったが(ʘᗩʘ’) まさか金持1人でそんな騒ぎなら理玖までそうなったら(>0<;) 蝗…
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