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極氷姫の猟犬  作者: 骸崎 ミウ
第10章
150/194

抵抗戦線〜開戦前夜

理玖が犬系ビーストのグループチャット──グループ名:ワンワンらんど──に書き込みをした次の日、タイムセール時の買い出しの帰りに物語は始まった。




「ちょっとそこの理玖ちゃんや。ちょっとええかな?」




聞き覚えのある声での呼び掛けに理玖が振り返るとそこには両肩辺りをふわふわとポメラニアンみたいな見た目の人魂を2体乗せた覚醒ビーストの先輩である金持がいた。




「金持姉さん久しぶりです。何か用で?」



「んー、明日の夜に犬系で集会があるんよ。よかったら来て欲しいんやけど。あっ、場所はここね」




そう言って金持が示した場所は中心部から少し離れたビル群の一角であった。




「別にいいですけど……夜なんて珍しいですね。普段昼間のステーキ屋さんなのに」



「ちょっと色々あってなぁ……。まぁ、動きやすい格好で来てくれたらえぇよ」



「わかりました」




そうして会話を終了して理玖は家に帰った。ちなみにその日の夕食はポトフであった。



──翌日の夜中、理玖は動きやすい格好………上下ジャージで指定された場所へと向かった。尚、チャット欄にて誰にも付けられない様にと連絡があったので理玖は疑問に思いながらも言われた通りにした。



念には念を入れて一度ユグドラシルの繁華街へと向かって人混みの中に紛れた上で遠回りして来た。



目的地に着くと目印と思しき人が入り口付近で立っていた。そして理玖が近づくと相手も気づいた様で俯いていた顔をあげた。




「追跡は?」



「されてない筈ですよ。………というかなんですかこれ?いつもよりも物々しいというか」



「まぁ、君はここに来てからは初めてだろうから知らないだろう。詳しい話は中で聞いてくれ」



「……わかりました」




そうして理玖が中に入り、しばらく進むと外に漏れない程度の明るさの部屋の中で何やら険しい表情で銃の整備や爆弾などの消耗品の点検を行っているいつものグループメンバーがいた。




「………おぉ、来たか理玖ちゃん。こっちこっち」




そしてその奥にパイプ机に両肘を立てて寄りかかり、両手を口元に持ってきている如何にも悪そうなポーズを取っている金持が丸椅子に座っていた。ちなみにお供の人魂はサングラスをかけていた。




「まずはお礼を言わなあかんな。理玖ちゃんのおかげで事前に知る事ができたわ。ありがとうな」



「えっと………一体なんですか?」



「予防接種の事や。ウチらは抵抗軍。あの尊厳をゴミ箱にぶち込む悪魔の予防接種への拒絶を行う戦士達の集まりや」



「いや普通に受ければいいじゃないですか。いい歳こいて注射嫌いとか言わずに」



「じゃかましいッ!お前はあの恐ろしいやつを知らんから言えるんやッ!いいかッ!?そんのそこらの予防接種とは訳が違うからな変犬ウイルスのはッ!」




理玖の呆れた表情でも物言いに金持は机を強く叩き鼻先に皺を寄せて叫んだ。周りの先輩方もそれに同調した。




「普通のビーストならばちょっとチクッとする注射で済むが契約したビーストは耐久力とか軒並み強化されとるからその注射針では肌に突き刺さらん。よって魔術的な処置が施された物凄く痛いもんでやらされる」



「具体的にどのくらいで?」



「特戦の連中が注射嫌いな子供みたいに泣き叫ぶくらい」



「うわぁ………」




金持の真顔での説明に理玖は若干引いた。戦闘など痛みにそれなりに慣れている筈の人達がそのレベルのならば確かに嫌であろう。




「そしてこれはウチと理玖ちゃんに関係することやけど、ウチら覚醒ビーストはそれよりも過酷になる。理由は耐久力でその針すら通さんからや」



「もっと痛くなるってことですか?」



「いいや。屈辱的なやつや。それは………」



「それは……?」



「ケツに座薬よろしく針ぶち込んで流し込む」



「…………………………………はい??」





金持が勿体ぶって真剣な表情で告げたそれに理玖は一瞬頭で理解できなかった。




「ケツに座薬よろしく針ぶち込んで流し込む」



「いや、もう一度言わなくてもいいです。…………いやなんでケツに?」



「知らん。多分そこが1番柔らかくて安全やからやろう。ちなみにぶち込まれる前に一度中を洗浄された上で四肢を拘束されてぶっといもんやられる。


……というかなんでや?なんでケツなんや?別に口でもええやんか。なんでケツにぶち込む必要があるんや?なぁ?!」




そうして金持は今まで溜めてきたもののぶちまける様に叫び出した。




「マジでふざけんじゃねぇぞあの性悪女狐ッ!!自分の番になったら泣き叫んで助け求めるくせに他人の番になったらニヤニヤしながら捕縛しようとするとかマジでふざけんな尻尾引っこ抜くぞゴラァッ!?」



「か、金持姉さん落ち着いて」



「落ち着けるかアホォ!!しかもここ最近は秘匿性を重視して予防接種の直前にユグドラシル全勢力使ってウチら捕まえにくるんやぞッ!理玖ちゃんッ!!お前さんもケツ注射嫌やろッ!?なら協力せや!」



「い、嫌だけど……しないと迷惑かかるし」



「良い子やなぁ理玖ちゃぁんッ!!ならば取引や!今度セレブグルメ区域の人気ケーキ店の限定50個の賞味期限30分モンブランケーキを奢ったるッ!!」



「喜んで協力しましょうボス」



「シャァァァァァッ!!これで勝ち確やァァァ!!」




金持の買収に応じた目をギラギラ輝かせた理玖は自身な影からこれでもかと武器を大量にその場に出した。



こうして予防接種抵抗軍は最強の武器庫を手に入れたのであった。

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― 新着の感想 ―
何とも酷い処方の仕方だな(ʘᗩʘ’) 神崎の奴も同じ穴の狢なのに嫌われてるとは(٥↼_↼) 只の痛い注射ならまだしも(─.─||) そんな処方しかないのか?(゜o゜;
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