ベースキャンプ〜3
「今日のところはここで休んでください。流石のあのバカもアホもこのベースキャンプには襲撃してきませんから」
「ここは囚人のプライベートエリアですからねぇ……余程のことがない限りは来ませんから。ベッドは自由に使ってもらっても構いませんから」
そう言ってソフィアは医療テントから出て行った。マユリも他の仕事がある為かテントの奥へと消えていった。
その日色々あり過ぎたウィステリアは空いているベッドに飛び込むとしばらくしないうちに眠りにつき、気付け薬によって動ける様になった理玖も流石に今日は眠りにつくことにした。
────次の日。
朝日が差し込まない監獄内部は就寝時刻には一部を除いて消灯されており、朝の定時になると一斉に点灯される。
そんな薄暗い中、理玖は自身の体内時計で目を覚まして腹部にある違和感を感じた。それは自分の腹の上に何か乗っているという感覚だった。
もちろん数匹の魔狼に夜間の護衛を任せている。しかしそれはベッドの外であり、そもそも彼らはベッドの上に乗る事はまずしない。やるとしたら緊急時で引き摺り落とすくらいである。
理玖が徐ろに薄い布団を開けるとそこには理玖にとって見慣れた銀髪が見えた。
なんだいつものか……と布団を戻して二度寝した。……………だがしかしそこでその光景は本来あり得ないことであった為二度寝を中断して布団を跳ね除けた。
布団の下には理玖のバディである銀髪の軍服美女である愛莉珠が自分の腹に抱きついてだらしない表情で眠っていた。
理玖は一瞬、レオナルド辺りが変身した姿なのではと考えたが、レオナルドは何故か頭を物理的にベッドに突き刺して逆さま状態で寝るというある意味芸術的な寝方をしており、ウィステリアも綺麗な姿勢で寝ていた。
何故愛莉珠がいるのか考えていると昨日と同じスピーカーからのハウリングの甲高い音が鳴り出した。しかし違う点は監獄長であるシュヴァルツの演説がないという点だった。
「……あ゛ぁ、もう朝からうるさいなぁ」
その耳障りな音に愛莉珠は顔を顰めながら起き上がった。
「あ、おはようリク」
「おはようお嬢……いやなんでここにいるの」
「昨日来た。なんか変なバリアあったけどババァがビームぶっ放して無理矢理こじ開けた。あとは勘で潜ってきた」
「勘でわかるもんなのか?あと夜奈姉もいるの……」
「多分まだ鬼ごっこ中だと思う。反骨精神すごいからアイツ」
「朝からなに騒いで………え゛っなんでいんの」
そんな理玖と愛莉珠が久しぶりの会話をしているとウィステリアも目覚めて愛莉珠を見て早々にそう声を漏らした。
「2人を助けに来たんだよ。僕のバディであるリクはもちろんだし、君は今はまだ保護経過対象だよ。そんな2人がこんな場所に飛ばされたら何かしらの手を打つさ」
「そういえばお嬢。俺たちに書類届ける様に言った奴はどうなった?」
「ん?もちろん処分したけど?」
愛莉珠は理玖の質問に平然とそう言ってまた彼女に抱きついて頬ずりをした。理玖もそれに抵抗はせずに受け入れていた。
ちょうどその時、芸術的な格好で眠っていたレオナルドが目を覚ました。そして抱き合っている2人を目撃してひと言口にした。
「………なに朝から盛っているんですか?」
「どこをどう見たらそう解釈すんのよアンタは」
レオナルドの言葉にウィステリアはそう冷静に突っ込みをいれた。




