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極氷姫の猟犬  作者: 骸崎 ミウ
第9章
141/194

ベースキャンプ〜1

重犯罪者専用監獄『ラビュリンス』では通常の刑務所などにある刑務作業と呼ばれるものは存在しない。



そもそもこの監獄は受け入れたらそれ以降は放置とかなり管理が杜撰なものである。



だが、それでも脱獄者がいないのは外部の過酷過ぎる環境と無限に広がる迷宮の様な監獄、それと監獄長の調教のせいである。



ちなみにこの比率は2:3:5であり、囚人の約8割が監獄長の折檻により『アヘェ』と『ブヒィ』としか鳴かない家畜に人格改造されてしまうのである。



そこにレオナルドの説法(洗脳)とアレーヌの人体改造により手に負えない状態となってしまう。



そしてその各人の自由奔放の結果、副監獄長であるソフィアの胃に多大なるダメージを負わせるのであった。





──所変わって監獄中層部の某所。




剥き出しの鉄骨に何かの配線の切れ端などで構成された道無き道を進んでいく4人組がいた。



まず先頭には動けない理玖を背負ったソフィアが道の先導しており、その後方には爆睡しているレオナルドを背負ったウィステリアがついて来ていた。




「あの……フロイデン副監獄長?この道で合っているんですか?」



「不安になるのは当然です。ですが、徹夜明けのアレーヌ部長と監獄長の目を掻い潜り、尚且つ最短の道はここしかありませんので。あとそろそろ着きますよ」




しばらく歩き続けていると何処からか喧騒の音が聞こえてきた。そして薄暗い道無き道の終点、一際光が強く漏れ出る壁の裂け目を潜るとそこは………



そこそこ広い空間に寄せ集めの端材で作られた家屋が天井に着くまで増築されたまるでスラム街の様な場所であった。




「着きましたよ。ここが一番治安の良いベースキャンプです。この先に医療区域がありますので」




多くの囚人でごった返している中ソフィアは慣れた様子で間を抜けていき、ウィステリアは慌ててそれについて行った。



人混みを抜けると赤十字のマークがある白い大型テントが見えて来た。




「治崎医療長!治崎医療長はいますか!」



「は、は〜い……ここにいますよ〜」



ソフィアがテントの中に入り、声を上げて誰かを呼んだ。するとテントの奥からか細い声を上げながら1人の女性がやって来た。




肩まで伸びた癖っ毛気味の濃い紫の髪に警戒心が強めの猫を思わせる隈を携えた銀色の吊り目が嵌め込まれたその顔はどことなく憂鬱そうな表情を浮かべていた。


背は高くも無ければ低くもない平均的な高さで余り目立った体型でもない。強いていうならば全体的にスリムで健康的である。


服装は深緑のフィールドジャケットに乗馬ズボンを着ており、その上からは赤十字のマークが入った腕章をつけた白衣を羽織っていた。




「えーと、急患ですか?副監獄長?」



「先日話した中央からの使いです。監獄長の馬鹿な遊びで最下層まで落とされて徹夜明けのアレーヌ部長から逃げるためにレオナルドのブーストを受けたそうです」



「そうなんですか……。まぁ、一旦そこに寝かせておいてください。今薬を取ってきますなら」



「お願いします。……あ、そうだ治崎医療長。彼女、魔力が含まれるもの全て無効化してしまうのでそれ以外でお願いします」



「えっ?そうなんですか?それはまた珍しい体質で」




治崎医療長と呼ばれたその女性はそう呟いてまた奥へと消えていった。




「えっと、フロイデン副監獄長?さっきのは」



「彼女はこの監獄の医療を一手に引き受けている治崎 (ちざき) マユリ医療長です。安心してください。監獄長やそこの生ゴミや看守長に比べたらまともな部類ですので。……筋肉フェチでまたに騒動を引き起こしますが」



「駄目じゃないですか」



「ここでは頭がパーにならなければ豚になるか実験体になるか私の様になるしかありませんよ。…………どうですか?私のバディになるのは?」



「申し訳ありませんが、丁重にお断りさせていただきます」



「もちろん衣食住は完備します。貴女の要求は出来る限り叶えましょう。私はそろそろ癒しが欲しいので」



「誠に申し訳ありませんがお断りさせていただきます」



「…………何してるんです御二方」




死んだ目で笑いながら勧誘するソフィアにそれを流すウィステリアに裏から薬を取って戻って来たマユリはそう呟いた。



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― 新着の感想 ―
魔窟の魔窟でも少なからずの良識のある人も逞しく生きてるのか(ʘᗩʘ’) 以前お嬢が1人で出張に来てたのはまだまだ浅瀬だったのか(٥↼_↼)
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