監獄の変化
「ソフィアァァァァ!!貴様ッ雰囲気というものを知らんのかァ!!」
「雰囲気がどうのこうのよりも仕事してください。1週間前に受け入れた囚人の手続きの書類のサインまだじゃないですか」
「そんなもん貴様がしろッ!!」
「アンタがサインしなきゃいけない書類だって言ってんでしょうが」
「私は今新たな家畜共の調教に忙しいのだッ!」
「調教なら既に終わってるじゃないですか。レオナルドの説法に貴女の鞭捌きで見事にブヒブヒと豚の鳴き声しか喋らなくなっているじゃないですか」
キンキン声で叫ぶシュヴァルツにソフィアはそう冷静に返した。途中で他の職員らしき人影がソフィアが入ってきた扉の方の廊下を歩いてきたが特に気にした様子はなく、むしろこの光景は日常の様であった。
「私が言っているのはそこに映っている白竜の猟犬に爆弾魔の鏡猫の事だッ!あのこの世の全てが退屈だと言っている様な顔と裏路地のボス猫みたいな太々しい顔を快楽に歪ませて下僕に置くのだッ!」
「……既に今回の貴女の暴走の件は中央に報告してありますので」
「なにィ?!貴様ッ、何故報告などしたァ!そもそもどうやって繋いだ!?レオに命じて電話線を切断しておいた筈だぞッ!」
「あらかじめ別に繋いでおいたものから掛けただけです。そもそも他人のハウンドに手を出すなんて助走付けて殴られても文句言われませんよ?しかもあの極氷姫のハウンドに手を出したならゼロ距離からのプラズマ砲を叩き込まれますよ」
「裏切ったなソフィアァァァァァァ!!」
「裏切ってません。義務を果たしたまでです」
シュヴァルツは激昂して黒い稲妻を纏わせた蛇腹剣鞭を振り回すがソフィアはそれを最小限の動きだけで避けていた。
蛇腹剣鞭の連打により監視室内は見るも無惨な姿へと変わってしまった。
「ハァ……ハァ………仕方ない。アレを使うか。───レオッ!アレを持ってこいッ!!」
「はいご主人様ッ!」
シュヴァルツの呼びかけに本来ならいない筈の人物がやってきた。それは薄桃色の髪に露出度の高い囚人服を身に纏って頭に小さな軍帽を乗せた今理玖とウィステリアと共に行動している筈のレオナルドであった。
「どうぞ!」
そう言ってレオナルドが差し出したのはやたら粘度がある透明な液体が入ったプラスチック製のボトルだった。
「………なんだこれは」
「ローションです!先日切らしてしまっていたので買っt──」
「ちッがァァァァうッ!!」『ベチィィンッ!!』
「アフンッ!!」
シュヴァルツが所望したものではないものを持ってきたレオナルドはシュヴァルツの蛇腹剣鞭に打たれてなんとも言えない悲鳴を上げて床に沈んだ。
「次ッ!」
「はいご主人様ッ!」
次は床に沈んでいる者とはまた別の頭にシルクハットを被ったレオナルドが入ってきた。そして彼女の手には毒々しい色合いの液体が入ったビーカーを持っていた。
「どうぞ!Dr.アレーヌ様お手製、どんな不感症でも確実に感じることができる様になる対○忍媚y 「ちッがァァァァうッ!!」『ベチィィンッ!!』─オフンッ!!」
先程と全く同じやりとりにソフィアの目からハイライトが消えた。
「次ッ!!」
「はいご主人様ッ!」
今度は頭にレースの黒いパンツを被った若干Rな方で危ない表情のレオナルドがやってきた。彼女の手には掌サイズの小箱があった。
「どうぞッ!監獄空中要塞化指令ボタンです!」
「それだァ!よくやったレオ!ところで貴様が被ってるパンツは誰のだッ!」
「ご主人様のですッ!安心してくださいッ!洗濯済みですッ!!」
「よろしいッ!褒美だ受け取れッ!!」『バシィィンッ!!!』
「アリガトゴザイマスッ!!」
シュヴァルツは先程よりも強めに鞭打ち、打たれたレオナルドは恍惚とした表情で床に沈んだ。
それを見てソフィアの顔から感情が消えた。そうでもしなければやっていけないのだろう。
「さぁッ!これより舞台は変化を訪れるッ!刮目せよッ!我が城『ラビュリンス』は空を舞うのだァ!ハーッハッハッハッ!」
シュヴァルツはそう叫んでボタンに壊す勢いで拳を叩き込むと監獄が鈍い駆動音と共に揺れ始めた。




