監獄に現れしビースト〜4
「………さて、雑談はこのくらいにしましょうか」
と先程までギャイギャイ騒いでいたレオナルドはそう呟くと自身の身体から何かが外れた音をさせるとぐるぐる巻きにされていた鎖から抜け出した。
「いや〜、肩外しからの縄抜けなんてここでは一般常識ですよ。………すみません。肩嵌めるの手伝ってくれますか?」
「えっ?あ、あぁ……」
と両肩をプラプラさせながらレオナルドはそう言い、それを聞いた理玖が嵌め直そうと近づこうとするが、ウィステリアに肩を掴まれて止められた。
「肩嵌めくらいいいじゃないですかぁ。まぁ、いいですけど。……本題はここからで御二方、この私をここから先の案内人として仲間に加えてみませんか?」
「「………はい?」」
レオナルドの提案に2人ほぼ同時にそう声を漏らした。
「いやアンタ監獄長の回し者でしょ」
「おやおや、私がいつ我が主人の命でここに来たと言いましたか?」
「そういえば言ってないな。じゃあなんで来たんだ?」
「ふっふっふっ……それは…………ご主人様にお仕置きしてもらいたいからですッ!!嗜虐的で蠱惑的なあの笑みであらゆる器具であらゆる責めをしてもらいたいのですッ!!!」
「「勝手におねだりして盛っていろよ」」
理玖とウィステリアはレオナルドが答えたあまりに酷い理由に思わず声を揃えてしまった。その2人の視線は養豚場の豚を見るような目であった。
「はぁ?!頭おかしいんじゃないですかぁ!?それじゃあお仕置きじゃなくてご褒美ですよッ!!」
「どっちも同じだ。頭おかしいのはそっちだ」
「同志よッ!何故ですかッ!!貴女のところだって三角木馬や和蝋燭や貞操帯やフェアリーチェアとかあるでしょッ!?」
「それは夜奈姉と澪姉さん……局長とビースト管轄長の最近の流行りだ。俺のところはローション一択だ」
「ちょっと大泉?なんで真面目に答えてるの??」
「三角木馬からの首絞め『ピーー』はッ!?」
「それも夜奈姉と澪姉さんだ。追加すると1週間監禁からのあらゆる責めプレイだ」
「全身拘束の感度倍加からの汗だく一髪ファイトッ!!」
「やった事ある」
「やはり同志ッ!!!私と貴女は魂の姉妹なのですねッ!!」
「全力で拒否する」
「………………………上層部ってクズか変態しかいないわけ?」
理玖とレオナルドのやり取りにウィステリアは濁った目をしてそう呟いた。
「まぁ、とにかくです。この先は案内が必須なのは確実ですよ。何故なら今の監獄は上下逆さまになってシャッフルされておりますから」
「………どういう事よ」
「御二方は疑問に思いませんでしたか?ここまでの道中のことを。本来監獄の下層は監獄内でもトップクラスの凶悪性を有する罪人が野放しに収容されています。そこで思い出してみてください。ここまでに襲ってきた罪人はどうでしたか?」
レオナルドにそう言われて2人はそう言われてみればと思った。
理玖がワンパンで沈めていたとはいえ、後衛のウィステリアから見ても地獄のごった煮である下層にしては弱過ぎたのだ。
「御二方を歓迎するにあたって我が主人は盛大に歓迎する為に上に上がるに連れて難易度が高くなる様にしておりました。日に数回ランダムに構造が入れ替わる空間内でその罪人達を相手取るのは流石に厳しいかと。
そこで私が提案するのが案内人という事です。どうですか?御二方は監獄内を案内人付きで探索できて私はご主人様に見つかりお仕置きされる。どちらにとっても利益になりますよ?」
レオナルドはその愛らしい庇護欲を掻き立てられる顔にまるで聖母の様な微笑みを浮かべてそう言った。
「…………連れて行きましょう」
「いや正気?」
しばらく考え込んでいた理玖がそう言うとウィステリアは訝しげに声を上げた。
「俺たちじゃ上に上がっても彷徨って襲撃で体力を減らすだけです。それならなるべく体力を温存して行った方がいいかと。あとコレはここを熟知していますし」
「………まぁ、わかったわよ。ならコイツの手綱は大泉が握ってなさい。一番好感度高いんだから」
「……………わかりました」
「決まりましたね?では行きましょう!」
こうして地上を目指す2人に新たに案内人がついて行く事になった。




