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極氷姫の猟犬  作者: 骸崎 ミウ
第9章
128/194

探索

檻から出発した2人は早速問題に直面した。まずどちらも地上までの道を知らないのである。



初めて来た理玖は兎も角、ウィステリアも上層の一部しか知らなかった。そして今現在、2人がいるのはおそらく最下層である為道に迷っていた。



廊下を進んでいると変に枝分かれしていたり、上への階段を登っていた筈がいつの間にか下りの階段になっており、来た道を戻るとそこは別の場所であったりとしっちゃかめっちゃかな構造だった。



───それもその筈で監獄内は増築を繰り返した事による内部の複雑化に加えて人払いや道狂わせの魔法といったものまであり、入ったら最後道案内無しでは死ぬまで出られないとされたまさに名前の通りの迷路(ラビュリンス)である。




「……また行き止まり」



「なんで扉の向こうが壁なのよ……」




2人は上を目指し始めてまだ2時間程しか経っていないが、既に気が滅入り始めていた。




「意味のない扉に中途半端な作りの階段と廊下ってまるで迷路みたいですね」



「実際ここは監獄になる以前は天災前にどっかの富豪が道楽で作った迷路だったみたいよ。それを増築に改装を繰り返して今の大迷宮になってるわけ」



「それで迷って力尽きる事があるんですね」




そう言う理玖の視線の先には明らかにそこで誰かが死んで放置されていたと思わせるドス黒い汚れがベッタリと付いた壁と床があった。




「嫌よこんなとこで死ぬなんて!!」



「俺も嫌ですよ」



「というか大泉アンタ瞬間移動的なのできなかったけ?それやれないの?」



「影移動ですか?あれは行きたい場所に繋がってなきゃ行けませんからこんな閉鎖空間では無理です。あと滅茶苦茶疲れます。チェシャルさんもそれに似た事できますよね?」



「あれは薬でブーストしてたから。今も無理すればいけそうだけど」



「緊急事以外はやめてくださいよ」



「わかってるわよ………あ、今度は当たりかも」




ウィステリアがそう言って扉を開けると突然太い腕が出てきてウィステリアの顔を掴もうとした。その腕を理玖はウィステリアが掴まれる前に手首を掴んで引き込んでそのままの勢いで出てきた顔面ど真ん中に拳を叩き込んだ。




「ブフゥ?!」




かなり強めに殴ったせいか殴られた者は鼻声になりながら部屋の奥へと吹っ飛んでいき、中で物が崩れる激しい音が鳴り響いた。




「無事ですか?」




流れる様に殴り付けた理玖は床にへたり込んでいたウィステリアにそう聞いた。




「だ、大丈夫。助かったわ」



「いいえ。……殴っちゃいましたけど大丈夫ですかね?」



「いやまぁ、ここの囚人はみんな頑丈だから大丈夫な筈」




そうして再度警戒しながら扉を開けると奥の方でガラクタに埋もれながら伸びているガタイのいい囚人がいるだけで他は誰もいなかった。




「ひとまず早く行きましょう。いつ目が覚めるかわかりませんから」



「そうね。行きましょ………ん?これは……ちょっと大泉これ見て」




すぐに部屋から移動しようとした時、ウィステリアがガラクタの中から何かを見つけた。




「何か見つけましたか?」



「紙の地図みたい。いつのかはわからないけど」




その地図は変色してはいるものの何が描かれているのか理解できるものだった。




「この地図を参考にして行きましょう。いくら増築と改装を繰り返したとしても主要の出入り口までの通路とかは面影とか残ってる筈です」



「そうね。行きましょ」




そうして2人は手に入れた地図を頼りに進んで行った。

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― 新着の感想 ―
[一言] 何とも古典的なパニックホラーの流れだけど(ʘᗩʘ’) ウィステリア捕獲作戦の時は恐怖の鬼ごっこだった2人が揃って脱出組とは皮肉だな(⌐■-■)
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