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極氷姫の猟犬  作者: 骸崎 ミウ
第8章
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南支部へ〜12

理玖に任された南支部での手伝いは拠点である船の中を専用の貨物車で移動して各施設に品物を渡す……いわゆる配達作業であった。



都市部では転移魔法の応用で荷物の配達がされている場所が殆どであるが、南支部ではそれができない。理由は支部自体が常に移動していて一定の場所に止まっていないからである。



下手に転移魔法を使用すれば座標によっては壁などにめり込んだりして危険である。現に転移魔法を覚えたての新人魔術師が壁や地面に埋まって窒息死したなどという事故は毎月起きている。



そんなわけで理玖は専用車に乗って移動しているが、その専用車はアクセルとブレーキしかない農業用モノレールの様なものである。



流石に支部全体を1台で周っているわけでは無く、一定の区画ごとに分かれて配達している。



ガタゴトとゆったりとした速度で移動しては指定の場所で停車して荷物を渡していくと変わり映えのない繰り返しで理玖はあくびをする様になっていた。



特にトラブルなど起きず、順調に配達が進んでいたそんな時だった。




「…………?」




ほんの僅かな違和感だった。ただ、そこが気になっただけというもので理玖はその場に停車した。



その違和感の先は小さな路地になっていて、剥き出しの配管やらバルブやらが壁に張り巡らされている場所だった。



理玖はなんとなくその違和感に従った方がいいと思い、迷わず進んだ。愛莉珠にもその感には従った方がいいと教えられていたからでもある。



そうしてしばらく進み、その違和感の元に辿り着くとそこはいくつもの配管が折り重なって偶然できた小さな穴だった。



理玖はそこに手を伸ばして中を探ってみると何やら小さく硬い物を掴めた。それを引き出してみるとそれはソフトボールサイズの金属の枠で固定されたガラス玉でガラス玉の中には十字架を模した銀と金の砂時計がクルクルと回っていた。



見た目は小洒落たインテリアなのだが、それは魔力を帯びていた為、理玖は魔道具だと考えた。



理玖はそのガラス玉を揺すったりしたりして観察した後、手伝いの前に渡された通信機で愛莉珠に連絡を入れた。



こういうのは一応貴族である愛莉珠に聞いた方がいいと思ったからである。




『はいは〜い、こちら礼華。どうしたのリク?』




理玖が通信を入れてワンコールで連絡先である愛莉珠が応答した。




「あー、こちら大泉。なんか魔道具っぽいの拾った」



『魔道具?どんな形?』



「金属の枠にガラス玉があって、そのガラス玉の中に十字架みたいな砂時計が入ってるやつ」



『……………リク。今どこにいる?』




理玖がガラス玉の外見を説明すると通信先の愛莉珠の声からおちゃらけた雰囲気が消えた。




「ん?今?えーと………23番区の」



『23番区だね。いいリク?そこから絶対動かないで。あとそのガラス玉から目を離さないで。わかった?』



「わ、わかった……」



『うん、いい子だ。───ジジイッ!!危険物ぶち込む封魔箱どこッ!?あるなら早くしろッ!!』




愛莉珠の叫びを最後に通信はブチリッと切れた。



理玖はその手の中にあるガラス玉が少し怖くなった。

連休中に書き上げた小説があります。興味がある方は下のURLか私のユーザーホームへどうぞ


『月夜の狼』

https://book1.adouzi.eu.org/n9278ix/


『百鬼の怨姫』

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― 新着の感想 ―
[一言] 平和な配達クエスト中にな〜んかの危険物?( ・ω・)
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