東支部へ〜完
出発当日。
各隊員は協力して東支部ターミナルに停車している南支部行きの列車に荷物を詰め込んでいた。
「いや〜、ほんと何もなくてごめんねぇ。多分南ならなんかやってる筈だから〜」
とアーミラが最後の見送りという事で来ていた。その傍らには出歩けるくらい体調が良かったのか彼女のハウンドであるセシリアもいた。
「流石に自然現象は仕方ないよ。というかこっちが迷惑かけたというか」
「いやいや〜、迷惑とかそんなことなかったよ。むしろこっちが潤ったから〜」
「潤った?出店とかで?」
「…………風俗街のことだよお嬢。大体みんなそこに行ってたみたいだし」
「…………あぁ、なるほど」
アーミラの"潤った"という発言に疑問に思った愛莉珠に理玖がそう付け足すと彼女は納得した様子を見せた。
実際、隊員の大多数は妙に艶々してるか少し萎びていた。つまりそういう事である。
「最近の若い子達は活発ですね」
「そうなんですか?普段よりかは大人しめに見えますが」
「私とアーミラが入ったばかりの頃はそれこそお嬢様学校みたいな清楚さで満ちてましたから」
「そうだったんですね」
「その代わり相手をどうやって蹴落とすとか貶めるとかに全力を注いでいてある意味空気は最悪でしたが。冤罪を着せるなど日常茶飯事で」
「………聞きたくなかったです」
「そうそう、昔は酷かったよね〜。今じゃご飯か殴り合いかS○Xが主流だもん。随分良くなったよ〜」
「それはそれで酷くないですか??」
アーミラとセシリアが昔を懐かしむ様に言った事に理玖はそう返した。
「いやリク考えてみなよ。足の引っ張り合いしながらギスギスしてるのと、真正面から体裁なんで関係ないって感じで殴り合いしてはっちゃっけるのでどっちがいいなんて選ぶなら後者一択じゃんか」
「それは………まぁそうか」
愛莉珠にそう言われて理玖は普段の中央……ユグドラシルの日常の情景を頭の中に思い浮かべた。
訓練所に響き渡る戦闘音に罵声に毎日技術部か化学部で起こる爆発騒ぎと事故、食堂は優雅さの欠片もないスポーツ専門学校の様な賑やかさに週に1回は開催される賭け事込みの殴り合いの喧嘩、ゲリラ的に開催される神崎主催のトンチキイベント、何故か需要があり過ぎて毎日大繁盛のアダルトショップなど。
思い出して見れば見るほど混沌としていたが、理玖からすればあの空気は居心地が良かった。
「あ、そうだ。アーミラとセシリアは今度の天輪祭に来るの?」
出発の時刻が近づいて来た為列車に乗り込もうとしま愛莉珠が思い出した様に2人に聞いた。
「あ〜、もうそんな時期かぁ。行けたら行くよぉ」
「私もです。ただ観戦がメインとなりますが」
「はいよわかった。そんじゃ、お世話になりました!」
愛莉珠はそう言って列車に乗り込み、理玖もそれに続いて乗り込んで列車は発車した。




