東支部へ〜7
「どこに行ってたのさリク」
セシリアとの会話を終えた理玖が宿泊先の宿に帰ると既に起きていた愛莉珠が不貞腐れた様な表情でベッドの上から彼女を出迎えた。身体を動かすのも辛いのか若干動きがぎこちなかった。
いくら人の常識を遥かに超えた身体能力の持ち主の特級戦乙女でも3日間の猛攻には流石にキツかったというわけだ。
「外の散策とセシリアさんにお呼ばれされて植物園で少し話してた」
「セシリア?誰だっけそれ」
「車椅子の人で東支部支部長のハウンド」
「あー!あの子か!植物園に居たって事は今日は調子良かったんだね」
「…………どういう事?」
「……あの子、昔両脚取られた時に契約前のリクの時みたいな暴走起こしてズタズタになっちゃってね」
「…………」
「幸いって言っていいのかわからないけど、命に別状はなくてね。ただ、異能を使うとかは問題ないんだけど、あまりベッドから動けない身体になっちゃったんだよね。アーミラは色々手を尽くしたんだけど」
「………そうだったのか」
「まぁ、暗い話はこの辺で終わらせて。さてリクさんや水を取ってくれないかな?どっかの誰かさんのせいで身体を動かすのもキツいんだよ〜」
「……わかったよ」
愛莉珠はセシリアについて軽く話した後、近くの水差しを指差しながら理玖に向かってそう言った。理玖はやらかした自覚がある為、若干目を逸らしながら従った。
「ほらほらリクさん〜?僕に水を飲ませてくれないかなぁ〜?」
愛莉珠はそう言ってニヤニヤと笑みを浮かべた。理玖はそんな彼女と手に持った水差しをしばらく交互に見つめた後、水差しの口をそのまま愛莉珠の口に突っ込もうとした。
「待て待て待てッ!?いや待って!?」
「水が飲みたいんだろ?なら………」
「口移しがいいッ!」
はっきりと力強くそう叫ぶ愛莉珠に理玖は半目になった。しばらく両者の睨み合いが続いた後、先に折れたのは理玖だった。
「……………………………はぁ」
理玖は長い間を置いてため息を吐くと水を口に含むと躊躇いも無く愛莉珠に口付けして直接流し込んだ。彼女の口内に舌を侵入させるとその舌を絡めとり水を流し込んでいく。
そして流し込む理玖はついでに愛莉珠の背中に回しておいた腕に力を込めて彼女の身体を起こした。
起こされた愛莉珠は驚いたのか僅かに目を見開いたが、すぐに笑みを浮かべると逆に理玖の身体をホールドして逃がさない様にした。
既に本来の目的である水の口移しは終わっている。それでも2人はしばらくの間、お互いの舌を絡め合う濃厚な接吻を続いた。
そして長い口付けは終わり、今度は愛莉珠が理玖から口を離した。僅かに二人の間に銀色の糸が引かれた。
「普通にする様になったねぇリク。前は恥ずかしがっていたのにさ」
「毎日やれば慣れはする。……それで?充分か?」
「うん、バッチリさ」
そう言って愛莉珠は夜戦 (意味深)の筋肉痛を治癒魔法で治してベッドから立ち上がった。
「明後日にはここを出立するから準備しときなよ」
「わかった」
「さてさて、夕飯でも食べに行くとしようじゃ無いか。昼間周っててなんか見つけた?」
「美味しそうなビリヤニの店があった」
「じゃあ、そこにしようか」
そうして2人は陽が落ち始めた都市に出かけるのであった。




